ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第15章・古座川町編

密室の殺人者(アサシン)③

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 現場に全員で向かう途中、ある男性が呟いたのである。


 「お前ら、俺は『セトラ新平しんぺい』だ。俺は貴様達の探偵ごっこに付き合う気はねえ。」


 この男性は若いが背中に古代文字らしきものがプリントされたリュックを背負っており、彼の右目の上に横に抜糸の跡が見られた。するとアルタは新平の姿を見てこう言ったのである。


 「…………私も君も今は“犯人候補(容疑者)”だ。仕方ないが探偵ごっこに付き合わなければならない。」


 アルタは彼にそう言うとなぜか新平は落ち着いたのである。


 「あんたが……そういうならもう探偵ごっことかは言わない。」


 二人の会話を聞いた妙造はあることを思ったのであった。


 「(二人は知り合いだろうか……?)」


 さすがに深追いはしないようにしようとしたが、その時妙造の横にいた男性が彼に声をかけてきたのである。


 「はじめまして、俺っちを知ってるかい?」


 「はじめまして……すみませんが分かりません。」


 「な……何てこったい!!俺っち、無名なのか!?俺っちは自称・作家の『周参見野すさみの長利おさとし』だ!!母方曾祖父は元皇帝なんだぜ!!」


 「す……すごいな君!!」


 なんと彼の曾祖父は先々代の皇帝だったのである。彼は飲んだお酒によって色々な力を行使できる能力者リミッターだ。だが彼は皇帝のひ孫にも関わらず、貴族のような上品な雰囲気を見せず普通の人のような気さくな雰囲気を持っていた。


 「あとで俺っちと話しような。」


 「うん!!」


 するとその時、新平はカンイチを睨み付けて呟いたのである。


 「貴様達のような権力者によって我々の祖先の文化や記録は滅ぼされ、今や文化も消された。必ず貴様達を我々の手で打倒してやる。」


 カンイチは新平の方を向くも黙り、何も語らなかったのである。妙造も正直新平が何を言いたかったのか理解できなかったのである。


 「(何だこのおっさん、何絡んどるねん……)」


 すると先程の男性が妙造に近付いてきたのだ。


 「先程は友達になって下さりありがとうございます。自己紹介が遅れましたが“トルドマーク島”出身の『烏帽子谷えぼしやとおる』といいます。これからもよろしくお願いします!!」


 「ああ……よろしく。」


 改めて徹が自己紹介をしてお互いに名前を知ることとなった。そして絆を深めた二人をある中年の男性が睨み付けていたのである。彼は“陽炎かげろう斬りのマサチカ”という人物である。『マサチカ』としか名乗らないようだ。


 「お前……は何だ?」


 「、名乗る気はねえ。」


 コーンロウの髪型で髭がたくましい(?)カンイチの部下の『フリオ』がマサチカに質問をしたが、マサチカは答えるのを拒否したのであった。それに対してフリオは少しピリピリしていた。そして全員事件現場の部屋に到着すると容疑者10人の名前の確認が行われるのであった。
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