ヒナの国造り

市川 雄一郎

文字の大きさ
449 / 762
第15章・古座川町編

密室の殺人者(アサシン)⑧

しおりを挟む
 怒りが先程から収まらない新平はまだ言い続けた。


 「時代っちゅうのはな……自然に流れるものや。それなのにお前達が我々祖先の築き上げた文明を無茶苦茶にしておきながら自分達が勝ち誇って『我々が歴史を作ってきた』とか本当になめているのか?」


 「…………いや、そういうつもりは…………文化を乱したことは悪かった……」


 「無意識に乱したとすればだな。これが世界のかいな。」


 「…………」


 「何とか言ったらどうだ?」


 カンイチを責め立てる新平をある人物がなだめたのである。


 「いや、もう良いだろう。その話はまた私がゆっくり聞こうじゃないか。その話は私にとっても重要な話なのだから……」


 声の主はなんとアルタである。つまり新平の話は重要な話なのである。


 「ならこれ以上問い詰めねえ。」


 新平の追及が重い空気を作り出してしまったのである。残りの聴取は四人(ユアン・ニャシャ・ノリカ・妙造)である。その前にカンイチは左手を天にかざした。すると旅館の周りに結界が張られたのである。


 「私は“結界使い”です。これなら犯人は逃すことは出来ません。結界に触れようものなら電撃を浴びますからね。」


 「ちっ、能力者かよ。」


 新平はまだ苛立っていた。カンイチが能力を持つことが気にくわないのだろうか。しかしカンイチのおかげで何とか犯人逮捕は出来そうである。


 「ニャシャさんは何をされていましたか?」


 「僕は6時に食事と入浴しましてそこから少し仮眠していました。8時過ぎには目が覚めていますね。」


 「ほう……」


 「……?……何か……?」


 「いや、何でもない……」


 そして気になるユアンへの質問が行われた。


 「ユアンさんは何を?」


 「私は……8時まで羽を伸ばしていました。部屋は出ていません。」


 「ノリカさんは?」


 「私は6時に起床して兄の部屋をノックすると「起きてるよー」と声を聞きました。そして8時半ごろまでは入浴と食事を済ませて再び兄の部屋に行き、ノックしても反応がないので小窓を開けたら兄が…………」


 突然ノリカは号泣したのである。相当辛いようだ……


 「辛いときに済まない……」


 「いえ……私こそ申し訳ございません。必ず犯人が分かることを信じています。」


 するとついに妙造に質問の番が回ってきたのである。


 「南兵軽さんは確か村を出ようとしていましたね。あれは9時前後でしたか。」


 「正式には9時過ぎです。そもそも僕は6時に起きて入浴・食事を済ませてから8時前には剣技を教えた子を見送っていましたから事件当時はこの現場の部屋は一度も通っていませんよ。」


 「それは確かに犯行出来ないなあ。」


 「僕も一応犯人の可能性があるので事件解決に協力しますよ。」


 妙造は真剣だった。事件解決のために協力したいと申し出て、カンイチはそれを了承したのである。疑われてたまるか……その気持ちが妙造の心底にあったようだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

処理中です...