ヒナの国造り

第１５章・古座川町編

色々な状況

　樵と電話をしたナポリタンは思い出話に花を咲かせる。その頃、各地でも動きはあった。


　「ありゃ……また焦げちゃった……」


　「焦っちゃダメよ……雪ちゃん。」


　ドーリンの料理教室に通う雪は教師の『ウィントス』先生から料理を学んでいたのである。


　「ところで雪ちゃんは誰に料理を作ってあげたいのかしら？」


　「私は自分の大切な人に作ってあげたいのと世界中の人々に料理を作ってあげたいんです……」


　雪は自分なりに成長への道を進めていた。一方でもう一人別の道で成長しようとしている人がいた。


　彼女は気力系の『力の向上パワーアップ・オーラ』の能力を得た“周参見野すさみの凛りん”であった。


　「私、強くなるわ！！」


　ゴーザの孤児院のトレーニング室で毎日のように身体を鍛えるリンの姿を見て将志と直子先生はいつも感心してばかりだった。格闘能力も去ることながら気を使う能力に少しずつ身体が適応してきたようだ。


　「いくよっ！！『リンの気合いパンチ』っ！！」


　するとトレーニング室のサンドバッグをはじめとする物たちが揺れたのである。


　「すごーい、リンちゃん！！」


　「まあね。私も守りたいものがあるのよ！！」


　「なになに～？」


　「ヒ・ミ・ツ・よっ！！」


　リンは少し将志に怒った口調で回答したのである。だが内心ではある想いがあった。


　「(すぐに何か気づいてほしかったわ……あなたのお母さんの能力を継いだ以上、あなたの“元彼女”で終わらせたくないのよ……)」


　リンの強気に将志も直子も目を奪われていた。


　「森しん“リン”弾！！！」


　新技“森リン弾”は森の葉っぱが舞うかのように部屋の紙などが飛び散り、そのパンチは木をも倒す強さである。するとリンは技を披露すると将志を不気味な笑みで睨み付けたのである。


　「将志君！！さあ見てないで一緒にトレーニングするわよ！！」


　「ええ……！？僕、トレーニング嫌い……」


　「いいから来なさいっ！！」


　渋々将志は一緒にトレーニングをするがいつのまにか表情は母親と遊ぶ子供のような笑顔になっていたのである。やはり能力から母の面影を感じるのだろう。


　「僕も……強くなる！！」


　「さすが私の彼氏ね……！！」


　「え！？」


　「何でもないわよ！！」


　もう一人変わろうとしている人物がいた。その名は“雁部かりぶ護まもる”であった。ある森の中でたくさんの怪物に囲まれながら余裕を見せていたのである。


　「ハイデルン！！今から共闘だっ！！」


　すると二人は合体して特殊な力を護が得ると元から高い護の身体能力がさらに強化され、技に磨きがかかって怪物たちをなぎ倒していくのであった。気づけばノーダメージで怪物を全滅させたのである。


　「俺らは日々強くなる！！生まれた環境に甘えずとりあえずレベルアップを目指す。さあ行くぞハイデルン！！」


　一人一人成長を目指しているなか、ヒナもナポリタンも竜太も雪もリンも護もまたレベルアップを目指していたのであった。