ヒナの国造り

第１６章・ステラガーデン編

１０月１０日④

　場所は変わってサッキーノの交差点。ある男が歩きながら呟いた。


　「ああ、溶けてやんの……」


　すると青信号を渡る男の元にワゴン車が右折してきたのである。男は頭に来たのかワゴン車を右足で蹴り飛ばしたのである。そして近くにいた若者に声をかけた。


　「騒がしくてすまんのお。」


　すると若者は男は睨んできたので頭に来た男は若者に右足の回し蹴りを食らわしたのである。


　「なんや、こらあ！？クソガキが！！」


　「何だとコラ！？」


　すると男は懐から隠し持っていた銃を取り出して若者に銃口を突き付けて怒りを滲ませながら言った。


　「…………ガンを飛ばしたからには覚悟を決めろよ…………！！」


　“バキューン！！”


　一方で田平は大祐とヒロの二人に個別的に指示を出していたのである。


　「当日大祐君は処刑台の下で待機してヒロ君は広場の入り口で不審者の確認を……！！」


　「はいっ！！」


　「はいっ！！大祐、頑張ろうな！！」


　「ああ！！」


　そして大祐はメールを確認して部屋を出ると田平は突然ヒロに近付いて喋りかけたのである。


　「ヒロ君は何を企んでいるのかしら？」


　「実は……」


　ヒロは田平の右耳に耳打ちすると田平は驚いた直後に笑みを浮かべてヒロの左耳に逆に耳打ちしたのである。それを聞いたヒロは驚き、顔が険しくなったのである。


　「あ、あんた……まさか……！？」


　「(シーっ！私も考えを改めたの。そうしたら今の状況は私がいるべきところじゃないの…………)」



　その頃、サッキーノでは日輪は新聞を拾って読んでいたのである。


　「お、何だ……ステラガーデンにて……か……面白そうだ。このグリーンウッドフィールドという人物のガードマンでもしてやるか……でもまずはここにもう一度雪を降らそう……」


　「雪降りの実！！」


　“フォーーーン”


　「何の音色だ？ん？雲が現れてないじゃないか！？」


　「そりゃそうだ。“吹いて”雲を追っ払ったからな。」


　「誰だ！？」


　「久しぶりだな……雪野郎。俺だよ、俺！！」


　日輪が後ろを向くと怪我を負っていたはずの索谷マーティンの姿があった。彼の右手には笛らしきものがあった。


　「貴様……能力者リミッターだったのか……！？」


　「正確には“あの後に能力者リミッターになった”かな……これは古来より伝わる“雅楽ががく”という音楽文化で使う篳篥ひちりき楽器だ。俺の能力は篳篥使いで演奏して吹くことで追っ払いたいものを人、気象、物問わず払うことが出来るし素敵な音色で相手を眠らせたり戦意喪失させることもできる。ずっと練習していたんだよ。演奏が上手くなりたいのといつの日かあんたを倒すためにな！！！」


　「なら１０月１０日にステラガーデンに来いよ。そこで決着つけてやるよ。」


　「そりゃいいな。ちょうど友人の知人が処刑の危機なんだ。救出のついでにお前も倒したる！！」


　古代より伝わる雅楽において使われる楽器である篳篥を持った索谷は雅楽奏者であり、雅楽系能力の篳篥使いの能力者リミッターでもあるのだ。