ヒナの国造り

第１６章・ステラガーデン編

「親戚とは思いたくない」

　勝幸達が金竜達と話をしている頃、スーザックの周参見野家ではギネスが二人と会話していたのであった。


　「色々話が出来て良かった。少し気持ちも和らぎましたよ……」


　「それよりも……あんたの息子を守れずにいたのは本当に悔しかった。」


　高齢男性は義理の息子を守れずにいたことを強く後悔し、孫らしき男性が慰めていたのである。するとギネスの口から衝撃的発言が飛び出したのであった。


　「いや、このような事態を招いたのには我々一族にも責任があるのです。」


　「え？」


　「その事件の実行犯はただの雇われの殺し屋でしょうが恐らく指示した人間はうちの親戚だろうと思います。……いや、本音で言えば“親戚とは思いたくない”ですけどね……」


　「親戚？」


　「ええ、私の父方の祖父には妹がいまして彼女はある一族に嫁ぎました。その一族の名は……」


　「……？」


　「グリーンウッドフィールド家……」


　「グリーン……まさか……！？」


　「ええ、表向きは大地主の家系で通っていますが本当は裏の社会に通じる危険な犯罪一族です。」


　「……なぜそんなところに！？反対はなかったのか！？」


　「王家の人々に裏の世界に通じる方は一人もいませんので聞いた話では誰からの反対などありません。むしろグリーンウッドフィールド家と婚姻関係が結ばれたと好意的に捉えているようですよ。」


　「では、なんであんたがそれを……？」


　「ある友人がいましてね。彼の父親との繋がりからはじまって今では彼と非常に強い縁があって、僕自身公務と偽ってグリーンウッドフィールド家に潜入捜査をしていましたから。」


　「なるほど……で、その彼とは？」


　「優秀な方ですよ。もう仲間達と現地入りしているでしょうね……」



　……一方、捕らえられた市山・ダグラス・大堀・浦の４人の牢屋に新たに１名が加わったようである。


　「入れ……」


　「くそったれ！！犯罪者扱いしやがって！！」


　男性は牢屋に投げ入れられると怒りをぶちまけたのであった。すると男性の姿を見た一人が驚いたのであった。


　「あなたは……？」


　「あんたらこそ誰だ？」


　「あ、僕は大堀久信です。」


　「僕は周参見野ダグラスです。」


　「私は浦理心です。」


　「僕は“市山いちやま佐太郎さたろう”と申します。」


　「ぐ…………」


　皆が自己紹介するので少し戸惑いながらも男性も自己紹介をしたのであった。


　「俺は……“進寛じんかん元次げんじ”だ。弟の“元治もとはる”を連れ戻しにグリーンウッドフィールドの元に侵入したら捕まえられたんだ。あんたらみたいな興味本位で来たんじゃないぞ。」


　「いやあ……僕達は突然連れ去られて来たんで……」


　男性は弟を探しに来たようで運悪く捕らえられたようである。なぜか四人を興味本位で侵入していたと思い込んでいたようだが大堀に否定された。