ヒナの国造り

第１６章・ステラガーデン編

“脅しのコージロー”再び②

　怒りに充ち溢れる鋼次郎の表情は般若のようなものであり、殺意が強かった。まさしく“脅しのコージロー”の異名にふさわしい。


　「あまりなめてるとマジで殺す……今すぐに吐けっ！！」


　「私は絶対に言わないっ！！」


　しかしここまでヒナが“知らない”“言わない”を強調すれば裏をつかれるのは明白なのだが……


　「何か知っているか……吐かせる！！」


　すると鋼次郎はヒナの頭を鷲掴みにすると強力な電波を流したのである。


　「あ……ぐっ……う……」


　“バチバチバチバチ……！！”


　「俺は人の人格に意識を送ることができる『意識憑依使い』の力を持つっ！！！」


　「ぐっ……う……」


　ヒナは気を失うと鋼次郎は目をつむり何かをブツブツ呟いたのである。


　「…………ほっほー、こりゃこちらに不利益な情報だ……報告せねば……」


　鋼次郎はある情報を手に出来たのかニヤリとしていた。


　「俺が“脅しのコージロー”と呼ばれる由縁は表情である程度見抜けて怖い顔で大体は白状させることができる。さらにそれでも吐かないならこちらから情報を強引にでも回収させれるから絶対に吐かせる……つまり存在自体が“脅し”なんだよ。」


　ヒナをベッドに寝かすと彼は部屋を出ていく。


　「さて……裏切者は制裁せねば……」


　ヒナは目を覚ますと無意識と思われるが怒り口調でいう。


　「そのことは聞かなかったことにしてっ！！」


　「ダメだ。裏切り者がいると分かればそれは粛清だ。当たり前だろ？味方の中に敵がいるんだぜ……！！」


　「プライバシーのない人っ！！最低っ！！！」


　ヒナは怒り狂うも鋼次郎は聞く耳を持たない。どうやら意識を覗かれた人はそれを自覚しているようだ。


　「じゃあな、死刑の日までせいぜいエンジョイしていな。」


　「待って！！あなたは……あなたは……何を企んでるの！！？」


　「何を……って？いよいよ“ボックス・ターミナル”が動く時を迎えるのさ……」


　「意味がわからな……」


　すると鋼次郎は壁を潜り抜けていなくなっていたのである。ヒナは涙を浮かべて叫んだ。


　「ヒロさん！！正成さん！！」


　ヒナに協力的だったヒロと正成は間違いなく裏切り者である。そのため鋼次郎に狙われる可能性は高いのだ。しかし鋼次郎はこの時ある由断をしていたのであった。それは鋼次郎らしからぬものであった……