ヒナの国造り

第１６章・ステラガーデン編

どないすんの？③

　信至が去った後、息長は電車の中で仮眠をしてしまったのである。


　「グー、グー」


　気持ちよく寝ていると電車は周参見駅へと到着し、そこから乗車した男性が息長の隣に座ったのである。


　「グー、グー」


　「・・・・・・」


　男性は寝ている息長を見つめ、少しため息をついた。しかし息長の隣に座る面々はいずれも意味深な存在であり、なにか謎を背負っているようにも伺える。そして息長は目を覚ますと隣の人物と目が合ったのである。


　「あ・・・あなたは・・・？」


　「フフフ・・・私は周参見野という者だ。」


　「どうも・・・ところで私に何か用で？」


　「いや・・・あなたから不思議な気を感じて、それに導かれて乗車したまでだ。」


　「(この人・・・何なんだ！？というよりこういう状況ってどないすんの！？)」



　その頃、とある監獄にて。ある見覚えのある男性が看守と何らかの話をしていたのであった。


　「お前達・・・」


　「ああ・・・またお前か・・・もう起訴されたからには死刑も覚悟しとけよ。」


　「そんなもんわかっているわい。そのようなことより俺はどうすればいいんだ？」


　男性は看守の男性に突然質問をぶつけたのである。当然看守は頭の中がクエスチョンだらけになり、戸惑っていた。


　「あのさ・・・お前が『どうすればいい』のか私の知ることか。」


　「“私の知ることか”・・・だと？無知の分際で・・・！！」


　「てめえ・・・！！」


　必要以上に看守を挑発する男性だが、彼の正体は・・・


　「なあ看守さんよ・・・俺の名前は知っているよな？」


　「ああ、日紙ひかみ直伸ちょくしんだろ？」


　「このビッグネームの俺がこのまま終わると思っていたのか？」


　「・・・さあな。」


　この人物は日紙直伸である。以前入っていた監獄から起訴を理由に別の監獄に護送されたようであった。尚、過去の殺人を踏まえると死刑回避は不可能のようだ。


　「いよいよ、やつのお祭りが始まるらしいな。」


　「ああ・・・あの件か・・・」


　「それまでに脱獄しなければならないな・・・」


　「そうはさせねえ・・・！！」


　看守は脱獄宣言をした直伸に厳しい視線を浴びせていた。