ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第17章・ステラガーデン死刑台編

4の交わり

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 一方、アラドシティの役所の前に連日の野次馬でいっぱいであった。


 「町長を出せ!!」


 「話し合いをしたい!!」


 その野次馬の様子を見つめながら町長は涙を流すのみであった。しかしそれを見ていた秘書のモンドールは町長に対して口調を荒くして激怒したのである。


 「泣いていて何が始まりますか!?何も始まりませんよ!!町長・・・いや、お義父さん!!戦いましょうよ!!!アラドシティを守るために・・・!!」


 「しかし・・・モンドール君・・・わたしは・・・」


 「何をへろへろしているんだ!!あんた!!あんたはアラドシティ町長・【高原たかはら徳丸とくまる】だろっ!!町長のあんたが弱腰じゃダメだっ!!!強気見せんかいっ!!」

 弱腰の町長に怒りを示すモンドールに対して町長に変化が訪れた。それは口を引き締めた表情で分かる。


 「町長に対して秘書とは思えない口調だな。しかも君は鳥海寺家から娘婿として高原家に来ただろう。そんな君に言われなくても私は戦うよ!!」


 「それでこそ・・・だぜ、お義父さん!!」


 高原町長の変化にモンドールは笑みを浮かべたのであった。そして役所の前に現れて野次馬達と対峙した。


 「あんたら・・・責任は取れよ。やっちまえ野郎共!!」


 なんと野次馬は襲撃目的の模様で一斉に襲いかかって来た・・・が・・・


 「モンドール君・・・を頼むよ!!」


 「了解しました!!」


 するとモンドールは右腕を宙で振り回したのである。


 「必殺・・・“皇帝振爆カイザープンパチ”っ!!」


 モンドールは叫んでその右の拳を地面に叩きつけると巨大な衝撃波が発生し、野次馬全員が吹き飛んだのである。


 「やるな・・・モンドール君。ありがとう。孫が大きくなったらお父さんの勇姿を教えてあげるよ。」


 「ありがとうございます・・・お父さん・・・いや、町長!!」


 会話中に一人が町長に棒を持って攻撃するも町長のパンチと蹴りで撃退されていた。モンドールはそれを見て感心した。


 「強いじゃないですか!!」



 一方、平井は死刑台の柱をずっと右手で触れていたのである。


 「・・・もうそろそろだな・・・」


 そして柱から手を離すと近くに落ちていた鉄板に手を触れると鉄板はみるみるうちに錆びていったのである。


 「(・・・これで大丈夫だな・・・)」


 すると平井の元にあの蕎麦屋の店長がやって来たのである。


 「お疲れさん。お茶でも飲むか?」


 そう言うと店長はお茶のペットボトルを差し出したのである。とりあえずそれを受けとるとノドが乾いていたのか平井はすぐに飲み干したのである。


 「うまかった、ありがと・・・って何を・・・入れやがった!?」


 「フフフ・・・私はグリーンウッドフィールド様のスパイでウィングフィールド地区のスパイ担当の【菰切こもぎり八右衛門はちえもん】という。私は触れた水に劇薬を入れることができる“劇薬使い”だ。飲み物を入れた容器に触れるだけで不思議な劇薬を投入出来るんだ・・・君は怪しいと前から睨んでいたんだよ。油断したね。」


 「・・・き、貴様・・・!!!」


 菰切への怒りを見せた平井だがすぐに意識を失って倒れたのである。意識を失った平井の身体の上に足を置いて菰切は言う。


 「君が何をしようとも誰が何を企もうとも私・・・いや、あっしはグリーンウッドフィールド様の忠実な部下なのだよ。」


 そして再び竜太とある人物とのやり取りに戻る。


 「あんたに・・・心配される筋合いなど・・・ぐっ・・・!!」


 「あら・・・悪化したんじゃない?」


 「うる・・・せえ・・・!!大丈夫・・・じ・・・や・・・う・・・」


 「あら・・・意識を失っているわ。」


 ここで竜太も意識を失ったのである。しかし女性は諦めなかったのか彼の身体をさわって腹の辺りに手を当てたのである。


 「神経細胞をああして・・・こうして・・・よしっ!!」


 すると竜太は目が覚めたのである。


 「あれ、目が覚めたぞ。どうしてだ?苦しんで意識を失ったはずなのに・・・」


 「はい、これを食べてね。」


 すると竜太が渡されたのは【解毒の実】であった。


 「え・・・?」


 「早く食べて!!早くしないと元に戻るわよ!!」


 「!?・・・わかった。」


 竜太は急いで解毒の実を食べたのである。すると身体に痛みが再び走り始めたのであったが解毒の実の効果が現れ、身体が回復したのであった。


 「ありがとう・・・君は一体?」


 「私の力は神経の信号を少しの時間だけ変えることが出来るのよ。」


 「なるほど・・・能力者か・・・」


 竜太は納得したのだが彼は彼女の顔をなぜか見つめていたのだ。


 「君・・・どこかで・・・」


 「は、初対面だよ!!」


 彼女は竜太とは初対面と主張したのである。
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