ヒナの国造り

市川 雄一郎

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第17章・ステラガーデン死刑台編

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 周参見野連は太地護兄妹と対峙すると服の内側ポケットからロケットペンダントを取り出して中の写真を見せたのである。写真に映るのは野球帽をかぶり茶色ピンストライプの野球ユニフォームを着てバットを右手に持ちながらかがむ男性の姿であった。


 「誰か覚えているよなカンピオーニ・・・?」


 「誰だっけ・・・?」


 「とぼけるな!!この方は“キャバリアの若旦那”と呼ばれた【杉山すぎやまわかし】さんだっ!!忘れたとは言わさんぞ!!」


 「ああ・・・ね。懐かしいなあ。元気にしているかい?」


 「て・・・てめえ・・・ふざけているのか!?ぶ・・・ぶ・・・ぶっ・・・いや、倒してやるっ!!」


 「まあ、落ち着きなよ連。あれは三重野みえのさんも言っていただろう?仕方がなかったんだと・・・」


 「仕方がなかった・・・だと!?てめえらは自分達のから逃れようとしているだけだろう!?」


 「そうピリピリするなよ・・・?」


 「き・・・貴様・・・!!」


 連のロケットペンダントの写真の人物は連や太地護兄妹と何らかの繋がりがあったとされる。連の怒りは尋常ではなかったことから何かがあったようだ。


 一方、村山は相変わらず血に飢えていたのか直接誰かを自分の手でやりたいと考えていたようだ。


 「俺が・・・誰かを自ら手を下せば気分が晴れるだろうなあ。」


 祖父の石原は別の用事に出向いて一人きりの村山。そして机の上に置かれていた一枚の写真を優しくも裏があるような表情で眺めていたのである。


 「(親父・・・もう少し待ってくれよな。もう少ししたらあんたの高祖父二人・・・【花江はなえグラント】と【日堂ひどう傳朗つてあきら】の悲願の夢である巨大計画だった“夢の国計画”が実現するから・・・な・・・)」


 すると・・・


 “トントン”


 「どうぞ!!」


 突然村山の元を訪問したのは【三重野みえの直陶ちょくとう】であった。


 「あ・・・三重野さん。こんにちは・・・」


 「やあ、村山くん。残忍さは相変わらずかい?」


 「突然何を言い出すのやら・・・」


 「それよりも初代の立てたが6代目の君の代で実現しようとするんだな・・・」


 「長かったですよ。もう少し早く終わらせたかったのですが邪魔者が多く、なかなか順調に計画がはかどりませんでしたから。特にあの“若旦那”が厄介でしたね・・・!!」


 村山はニヤリとした表情で経緯を語ったのであった。
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