ヒナの国造り

第１７章・ステラガーデン死刑台編

見抜かれていた裏付き合い

　諜報部隊の話をしていて恐怖に震えるライコウに寿明は言う。


　「まあ・・・危ういところまでいかなければ関わることもない世界だ。安心すると良いよ。」


　寿明にそう言われるとライコウはため息を吐いたが急に身体をピクッとさせたのである。


　「トシさん・・・トイレ行きたいです・・・」


　「ああ、行っトイレ！！」


　ライコウに対して親父ギャグを放つ寿明。気がつけば３人は笑っていた。



　そして会場のトイレで小さな用を足していたライコウの隣にある眼鏡をかけた男性がいたのである。ライコウは男性の方を向くとなにかを思い出したかのように驚いたのである。


　「(あ、この人・・・ガキの頃に見ていた『勉強になる学者議論会』って番組の初期に出演していた天才学者の【六十谷むそた礼喜れいき】先生だ。何か問題があって降板したけど何故ここにいるんだろう・・・？)」


　すると男性はライコウの方を見ると睨み付けるような形相で喋りかけてきたのである。


　「何だね君は？私の顔に何かついているのかね？」


　「い・・・いえ・・・何もついていませんが・・・」


　迫力のある六十谷にライコウはただタジタジであった。


　「ところでこの会議に参加するのか君は？それと何という名前だ？」


　「はい、鳥海寺ライコウです。よろしくお願いします・・・会議も初めてではありますが参加します。」


　「・・・！？ライコウ・・・君は確か石原先生が以前語っていた子か？」


　「はい！！石原先生にはお世話になっています！！」


　「それなら良い。私も石原先生や宇治橋先生とも古い付き合いだからな。ところで・・・」


　「？」



　六十谷がライコウに何かを聞こうとしていた頃、寿明は拓人にあることを話していたのである。


　「タックン、この会議に曲者が集まるのは承知の上だが・・・一人だけ相当な曲者がいる・・・」


　「太地護の兄弟？」


　「あれは対して問題ない。俺が問題視しているのは・・・」


　「・・・？」


　「【六十谷】という学者だ！！」


　「む・・・六十谷・・・まさか・・・！？参加しているのか・・・！？」



　一方、トイレにて。六十谷はライコウに問いかけていたのだ。


　「君は・・・周参見野寿明氏達と関わりがあるだろう。」


　「・・・！？いえ・・・そんなことございませんよ・・・」


　少し顔をピクピクさせながら笑顔で返すライコウではあったが終始険しい表情の六十谷はライコウを一瞬だけ強く睨み付けるとこう言ったのである。


　「もし君が周参見野軍艦家の子息や寿明氏らと関わりを持っていれば君を抹殺するつもりだからよろしく・・・！！」


　「！！？」


　六十谷の表情はライコウを震え上がらせるほど険しくなって威圧感があった。ライコウはただ苦笑いするしかなかったのであった。