ヒナの国造り

第１７章・ステラガーデン死刑台編

少人数の精鋭①～プライドなき王者の崩壊～

　新宮地が舌打ちをした頃、周夫は数ヵ月前のことを思い出したようである。そして彼は優斗に話しかけた。


　「なあ兄貴・・・数ヵ月のことをおぼえているな？」


　「チーちゃん、勿論だ。たった数人の我々が自称王者を沈没させたときのよろこびを忘れるわけがないだろう。」


　「だよな・・・！！」


　優斗の言葉を聞いた周夫の目は勝者の目となっていたのであった。


　数ヵ月前・・・とある島。少人数の周参見野軍艦家は大人数の軍勢を敵に迎えていたのである。


　「おい、大将はどこだ？」


　周夫が質問をすると初老の女性が現れたのである。


　「わしじゃ・・・」


　「あんた、卑怯ものらしいな？王者を名乗りながら仁義もくそもないやり方で王家を潰そうとしたそうだな。」


　「それがなんだいね！？」


　「お前らに見せてやるよ・・・真の“最強”とやらを・・・！！お前らがこのフィールドの四天王の一角扱いされていることが間違いだと世間に認識させてやるのさ！！」


　「ばかめ・・・わしらには暗黒の人脈が・・・」


　すると周夫の隣の５１男の銀汰ぎんたが笑いながらいう。


　「あいつら・・・・か？今さっき俺一人で潰した・・・・・・。弱かったぜ・・・！！」


　「だってさ・・・大将さん(笑)。」


　「な・・・あの闇世界のトップ達を・・・！？」


　相手の大将は顔が青ざめていたのである。


　「あれがトップなんですか～？予想以上のカスでしたぜぇ～(笑)！！」


　「銀・・・チカ・・・相手を挑発するな・・・我々は王者になる一族だ。謙虚な姿勢を忘れるな・・・！！」


　「シュウの兄貴・・・」


　「卑怯なやつらにはヤキ・・を入れたら良い！！」


　二人が忠告を聞いた相手は３７男の焼売しゅうまいであった。焼売の目付きからは強い殺意が沸いており周夫達は戦慄を覚えるほどであった。


　「お前達・・・我々は一筋縄でいく敵ではないぞ！！仁義すら持たない貴様達に我々は負けないっ！！」


　その横で正が呟いた。

　「俺の真の実力を見せれるられるな・・・！！」


　「僕の真の実力も見せれるよね～！！」


　正に俊顕も同調する。


　「わしらに歯向かう連中どもは地獄に落としてやる！！」


　「うぉぉぉーーーっ！！！」


　大将の怒りとともに周参見野家に突撃する大軍であった・・・が・・・


　「引っ掛かったな・・・ばかめ！！」


　焼売は両手を横に伸ばすと軍勢の一人にそのまま体当たりをしたのである。そして体当たりされた男性が顔を両手で押さえて悶え苦しむ。


　「ぐぁ！？熱いっ！！！」


　「そうだろ・・・熱いだろう？」


　「やっちまえっ！！」


　焼売は自分に飛び付く連中共に回し蹴りを食らわすと食らった連中も叫ぶ。


　「あっつー！！」


　「いだ～っ！！」


　正は兄の姿と苦しむ敵の姿を見て笑う。


　「(そりゃ熱いだろ。シュウ兄さんは鉄板使いの能力者リミッター！！触れたら焼けるに決まってるだろうが！！さて兄貴一人ではあれだ・・・加勢せねば。)」


　そして銀汰も静かに動きだした。焼売を背後から棍棒で殴ろうとした女性の右手首を掴んだのである。すると女性の右手首は黒くなったのである。


　「私の・・・手首が・・・腐食してる・・・！！？」


　「ごめんね～、レディに乱暴はいけないからこうする・・・・しかなかったんだ。僕は“銀使い”だよ！！銀は使い方次第によっては劇物にも抗菌にもなるのさ・・・」


　すると危機感が強くなったか大将は顔を赤くしたのであった。


　「しっかりしろよ！！」


　「バカだねえ～！！」


　それを聞いた俊顕は冷ややかに笑っていたのだ。