乙女ゲームのはずなのに、どうしてこうなった?

松平悠里

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このゲームは違います

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 逃げ回ってたのに、私は夢野乙女に捕まってしまいました。

 いつもなら私の前世知識で回避できるのに、、やっぱり強制的運命にさからえないのかしら。

 そんなことを考えていると、夢野乙女が不思議そうな顔で私に言いました。

 「えーっと、もしかして白鳥さんも前世の記憶があるの」

 私はその瞬間固まってしまったのです。

 夢野乙女も前世での記憶持ちの場合私の負けが確定したからです。

 主人公に勝てるスキルなどない。

 もう暗い運命確定なんだと思うと涙があふれてきました。

 ひばらくすると、わんわん泣くわたしに夢野乙女が話しかけてきたのです。

 「いやだよねーあんなエンド!だから逃げ回ってたのか」

 そうです。でもこれで終わりなんですね。

 強制的に何かやらせるつもりなのかしら。

「あーあのさ、もう攻略どうでもよくなったし、白鳥さんを不幸にはしないようがんばるからさ」

 にぱっと主人公スマイルで笑いました。

 これは罠なんでしょうか、前世記憶持ちならあなどれません。

 「だって、甘い恋愛ゲームのはずなのに、生徒会長はどっかのグループの勢力図とかの話ばかりだし、あのヤンキーは姉さんカチコミはまだですか!って感じだしこの先も、だめそうな気がする」

 それは私も思います。

 ご褒美イベントの昼のランチタイム風景は、本来なら、お花いっぱいキラキラの風景のはずなんですが、どっちかと言うと、花と竜とか任侠的な何かがバックに見えたり(幻視でしょうか)、目つきの悪い人達が回りと取り囲み、キラキラな花と星の恋愛ゲームとは、まったく違う絵図らなのです。

 私の後ろから男の声がしました。

「なるほど、前世記憶持ちだったんですね二人とも、ちっとも攻略がすすまないと思いましたよ」

 それはこの学園の憧れのまと生徒会長で主人公の取り巻きの一人です。

 黒い瞳に理知的でクールな顔つき、眼鏡男子好きにはたまらないキャラです。

 ゲームの時にはまじめでクールなキャラだと思っていましたが、

 この世界では、はっきりいって腹黑眼鏡ってこのことだわと思いましたね。

 でも、と言うことは彼も前世記憶持ちなのですね。

「あなたも、そうなんですか」

「まあ、そうなんですが、どうもおかしいと思ったんですが、あなたたちの会話から相互の認識が違うことがわかりました」

 私に返事をする腹黑眼鏡がクイとメガネを中指であげました。

「このゲームが恋愛ゲームとか聞こえましたが」

「そうよ、王道究極の逆ハーレムなんだけどね」

「それはどんなものですか?」

 そこで私達は腹黑眼鏡にこのゲームのあらましを説明しました。

 しばらく黙ったあと彼はいいました。

「おかしい、僕の知ってるゲームは、、夢野乙女が世界を制覇するゲームですよ」

 そんなバカな!私と夢野さんと叫びました。


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