終焉の教室

シロタカズキ

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裏切り者のモノローグ

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 「……ごめんね、神城くん。」

 私は、誰にも気づかれないように、そっと俯いた。

 目の前で沈んでいった彼の姿が、まぶたの裏に焼きついている。
 でも、私は泣かない。

 だって、私が“裏切り者”だから。

 このゲームが始まった時、すぐに気づいた。
 私だけが、この教室に閉じ込められた理由を知っている。
 他の皆は、ただ巻き込まれた“駒”に過ぎない。

 私は“退場”するわけにはいかない。
 だから、私はこのゲームに乗るしかなかった。

 橘 陽向くんが指名された時、心が少しだけ痛んだ。
 彼は、こういう状況でも冷静で、賢かった。
 もしかしたら、真実に辿り着くことができたかもしれない。

 でも、だからこそ、彼を殺す必要があった。

 彼が生きていたら、いつか私を疑うかもしれなかったから。
 だから、神城くんが陽向くんを指名した時、私はほっとした。
 それなのに……その神城くんが、次に疑われることになるなんてね。

 私が、彼を指名するように誘導したんだもの。

 「……もう、どうすればいいのかわからない……」
 「だったら、冷静に考えろ」

 御影くんを利用するのは簡単だった。
 彼は合理的な思考をするから、間違いを犯した神城くんを疑うのは当然の流れ。
 私が少しだけ言葉を挟むだけで、彼を疑う空気は簡単に作れた。

 神城くんが選ばれた時、私の心はすでに冷たくなっていた。

 「私は悪くない。私は生き残るためにやってるだけ。」

 それに、彼らが間違った選択をしたのは、私のせいじゃない。
 決めたのは、彼ら自身の意志だった。
 私は、ただその流れを少しだけ作っただけ。

 “裏切り者”として生き残るために。

 今、クラスの人数は26人。
 でも、私は焦らない。

 まだ、ゲームは終わらない。
 まだ、私はここにいる。

 そして、私は思う。

 「次に消えるのは、誰?」
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