魔王の腹心だけど、実は王国のスパイです。

シロタカズキ

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蒼炎の果て

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虚無界より地上へ戻ったルシアンの足が、大地を踏むと同時に、空気が変わった。

焦げた硝煙と鉄の臭い。風は静まり返り、異様な気配だけが地を満たしている。

「……エドワード?」

そこに横たわっていたのは、《蒼炎の魔導士》エドワード・クライヴ。その躯は、既に息絶えていた。

両腕は無残にへし折られ、胸部には巨大な裂傷。灼熱の魔力が逆流した痕跡と共に、その身は地に伏していた。彼の代名詞だった蒼き炎は、もはや微塵も残っていない。

(ガルヴァス……!)

地面には巨大な爪痕と踏み込みの跡。周囲の岩壁には、ガルヴァスの大剣による圧裂の痕が刻まれていた。

「……エドワード、お前……あの巨獣と正面からやり合ったのか」

その愚直さが、命取りだった。

だが――

(ガイルは……どこだ?)

エドワードの傍らには、戦友である《剣士》ガイル・ストラウスの姿がなかった。剣戟の痕跡はある。だが、彼自身の血も、倒れた形跡も存在しない。

その代わり、地に転がるのは折れた剣の欠片。ガイルの予備の短剣か、あるいは敵から奪ったものか。

(生きているのか、逃げたのか、それとも……)

ルシアンは静かに膝をつき、エドワードの目を閉じてやる。その目は、最後まで“誰か”を見つめていた。恐怖でも、怒りでもない。覚悟――それだけが、そこにあった。

「無念だ。……お前は、誇り高かった」

拳を固めたルシアンの手に、微かな震えが走る。
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