魔王の腹心だけど、実は王国のスパイです。

シロタカズキ

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漆黒の終焉竜を討て

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魔王城の前――吹きすさぶ漆黒の風が地をえぐる中、その巨影はゆっくりと姿を現した。バジリス・オブシディアは、城門前の広大な広場に鎮座し、その全身から静かに殺気を放っていた。
黒い鱗に覆われた巨体、圧倒的な威圧感。口から零れる紫黒の息は、地面を焼き、空気を歪ませる。

「この魔力……っ、まるで災厄そのものだ」
レオネルが歯を食いしばり、雷槍を構えた。

クラリスは即座に指揮を飛ばす。「セレナ、右翼を制圧。ルーク、距離を取って支援を。オルフェとランドルフは前衛、私とレオネルで中央突破。合図と同時に――」

バジリスが咆哮した。

《冥府の咆哮》――その一撃で空間が歪み、兵士たちが恐怖に膝をつく。が、オルフェの《大盾防壁》が一線を引いた。

「恐れるな! この盾の内にいる限り、死は届かん!」
巨盾が咆哮を受け止め、王国の勇士たちは前進を再開する。

バジリスが翼を広げた。黒炎が巻き上がり、《黒炎のブレス》が全方位に放たれる。ルークがその動きを読み、《貫穿の魔矢》を竜の眼に撃ち込んだ。

「視界を潰した、今だ!」

セレナが叫ぶと、レオネルが疾駆する。《蒼雷突》――雷を纏った槍が光となり、バジリスの胸鱗を抉る。しかしその鱗は《魔力吸収》で魔力を喰らい、反撃の尾がレオネルを弾き飛ばした。

「――なら、力ずくで剥がすまでだ!」
血まみれのランドルフが咆哮する。《血鉄の突撃》。燃える赤黒いオーラをまとい、バジリスの胸元へ突進。

巨体の下で閃いたのは、クラリスの策略だった。

「セレナ、今!」
セレナの《氷刃の視座》が全戦況を凍てつく視界に変え、敵の反応速度を鈍らせる。その隙を縫って、クラリスが魔術を展開。

「迷うな。ここで進まなければ、私たちの戦いに意味はない。」

ルークが第二の矢を放ち、ランドルフの剣が鱗を割り、レオネルが雷を纏って再突撃。ついに、バジリスの胸にある魔核が露わになった。

「これで終わりだ、化け物!」

雷と炎、氷と鉄が交錯する。最後にランドルフが血まみれの剣を振り下ろし、魔核に一撃を叩き込む――

バジリス・オブシディアの咆哮が、断末魔へと変わった。

その巨体が崩れ、魔力の奔流が空へと解き放たれた瞬間、王国の英雄たちは膝をつきながらも、その勝利を確信していた。
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