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堕ちた光に託す焔
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ジーク・ヴァルトハイムは、静かに膝をついていた。
そこは黒い岩肌と魔力の霧に覆われた、かつて“聖域”と呼ばれていた場所。今では、誰も近づかぬ禁忌の魔法遺構に過ぎない。
その彼の傍らに立つのは、無精ひげを蓄えた剣士、ガイル・ストラウスだった。彼の手からは、朱金色の魔法の炎がゆっくりと揺れている。
「――本当に、戻れないぞ。ジーク」
ガイルの声は、これまでにないほど静かだった。
「構わない。正義を掲げて、何も救えなかった。ならば……俺は秩序となる」
ジークの瞳にはもう、かつての柔和さも、迷いもなかった。ただ、虚無のような覚悟と、新たな“答え”が宿っている。
ガイルはしばし沈黙し、そして懐から小さな結晶を取り出した。
「これは、《炎の転写核》だ。俺はこの火をお前に託す」
剣士は、結晶をジークの胸元に押し当てた。
瞬間、焔が爆ぜた。
「――ッ! ……ぅ……ぐ……!」
黒い魔力と黄金の加護が融合し、ジークの身体を苛烈に変容させていく。彼の体から蒼白い聖光が剥がれ落ち、代わりに赤黒い輝きが立ち上る。
聖剣エクレシアは軋み、ついにはその形を変えた。新たな剣《神魔剣エクレシア・ノクス》が、ジークの背に現れる。
鎧もまた、天上の白から、禍々しい深黒の装甲へと変貌していった。
ジークは、もはや「勇者」ではなかった。
だが、彼の眼差しは、むしろ以前よりも澄んでいた。
「……ありがとう、ガイル。これでようやく、全てを断ち切れる」
「勘違いするな。俺は、お前に“終わらせろ”なんて頼んじゃいない。――お前の意思で、進め。ただそれだけだ」
ジークはゆっくりと立ち上がり、剣を携えて空を見上げた。
そこには、蒼くも黒い、二つの月が並んでいた。
そして彼は、歩き出す。
かつての“勇者”ではない。神にも、魔にも与しない、新たな秩序の執行者として。
そこは黒い岩肌と魔力の霧に覆われた、かつて“聖域”と呼ばれていた場所。今では、誰も近づかぬ禁忌の魔法遺構に過ぎない。
その彼の傍らに立つのは、無精ひげを蓄えた剣士、ガイル・ストラウスだった。彼の手からは、朱金色の魔法の炎がゆっくりと揺れている。
「――本当に、戻れないぞ。ジーク」
ガイルの声は、これまでにないほど静かだった。
「構わない。正義を掲げて、何も救えなかった。ならば……俺は秩序となる」
ジークの瞳にはもう、かつての柔和さも、迷いもなかった。ただ、虚無のような覚悟と、新たな“答え”が宿っている。
ガイルはしばし沈黙し、そして懐から小さな結晶を取り出した。
「これは、《炎の転写核》だ。俺はこの火をお前に託す」
剣士は、結晶をジークの胸元に押し当てた。
瞬間、焔が爆ぜた。
「――ッ! ……ぅ……ぐ……!」
黒い魔力と黄金の加護が融合し、ジークの身体を苛烈に変容させていく。彼の体から蒼白い聖光が剥がれ落ち、代わりに赤黒い輝きが立ち上る。
聖剣エクレシアは軋み、ついにはその形を変えた。新たな剣《神魔剣エクレシア・ノクス》が、ジークの背に現れる。
鎧もまた、天上の白から、禍々しい深黒の装甲へと変貌していった。
ジークは、もはや「勇者」ではなかった。
だが、彼の眼差しは、むしろ以前よりも澄んでいた。
「……ありがとう、ガイル。これでようやく、全てを断ち切れる」
「勘違いするな。俺は、お前に“終わらせろ”なんて頼んじゃいない。――お前の意思で、進め。ただそれだけだ」
ジークはゆっくりと立ち上がり、剣を携えて空を見上げた。
そこには、蒼くも黒い、二つの月が並んでいた。
そして彼は、歩き出す。
かつての“勇者”ではない。神にも、魔にも与しない、新たな秩序の執行者として。
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