田舎土魔法使いの成り上がり ~俺は土属性しか使えない。孤独と無知から見出した可能性。工夫と知恵で最強に至る~

waru

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第36話 Fクラスの危機

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ギルドで過ごした数日間で、レベルも上がり戦闘経験も増えたアルは、上機嫌でFクラスの級友を待った。

「皆、元気かな・・・。リンやアズ、モモ、カナ・・・。長らく会ってない気がする。早く友達に会いたいものだ。」

そう願って待つも、事前に聞いていた時間になっても馬車が学園に来ない。何かがあったかと心配するも、その心配を解消する手段がない。A~Eクラスの教諭や生徒に聞いても冷たくあしらわれるだけであった。特にA級の赤髪君に話し掛けてしまったのは最悪だった。

「てめえ、また何か用かよ!!ああ?Fクラスぅ?死んでんじゃねえの?雑魚しかい・・・・・ぶべらああああああああああ!!!!」


また殴ってしまう。ごめん。赤髪君。話し掛けたのは俺なのに。…きっと、そう言うと思ったのに。


直ぐにA級の先生に止められる。

「お前のようなFクラスのクズ等に殴られていい子じゃないんだ!!」とそう怒ってくる。こいつは尊敬できない奴に認定した。

その後も学園の門の前で待つも、帰ってこない級友たち。どうしようか迷っていたら、後ろから声をかけられる。


「アル君、1年生達が帰ってこないって聞いたけど・・・」クリスさんと3年生達であった。

「クリスさん、どうしよう・・・心配だ、俺。」

「キャンプ地は知っているわ、行ってみる?」

そう言ってくれたお姉さんは模擬大戦の時に、運んでくれたお姉さんだった。

「アル君には模擬大戦の恩があるからね、私の家は貧乏なの。次の大戦も頑張ってくれるなら手伝うわよ?」

「…やる!絶対活躍する。」


「…良い子ね、急ぐわよ!!」
そうして俺を掴んで、飛んでいくお姉さん。

「私は風属性の中でも、攻撃が殆ど出来ない…出来損ないよ。それでも飛行魔法はA級にも負けないわ。名前はセリ。覚えてる?」


「・・・・うう。」
「だと思った。」
印象に薄いんです。ごめんなさい。

「良いのよ。でも私は貴方を鮮明に覚えた。お金の面でも助かったし、何よりかっこよかったよ?年上は嫌い?」


そう言われ、真っ赤になるアル。

「・・・なんて言ったら良いのか。」

「そんな時は好きです!先輩しか見えません!で良いのよ。」

「そんな急には言えません。」

「けちー。」


「あ、もう付きそうね。ココよ。【グラムの迷宮】。防御に優れた魔物が多いダンジョンで未だ攻略はされないでいる場所。」


グラムは聞いたことが有るな。



・・・・・そうだ。

このグラムの額布の人だ。過去の大戦で活躍した土魔法の壁役だと聞いた気がする。その人の名がついたダンジョン。どういう事だろう。


そのダンジョンに入っていく。中には武器が多く散乱しており、魔物の残骸が散らばっていた。



違和感がある。…言葉に出せない違和感が。とんでもなく嫌な感じがする。

そう思うと、皆が心配で足が早まっていく。


奥にどんどん進んでいくと、魔物の残骸が少なくなっていく。

それと同時に血飛沫の後のような場所が増えていく。

胸騒ぎが止まらず、セリ先輩を置いていく。

「ちょっと待ってよ、私狭い所じゃ何もできないのよ」


そう言われても進んでいくと。扉が開いている場所に来た。

そこには戦士の魔物と、サガを前衛としたFクラスの皆が居た。その時の光景を俺は忘れない。その時のサガを。





「…ッ!!?」



あんなに若々しかった髪が全て白くなり、全身から生気が無くなっている。その状態でも風の障壁を張り続け、Fクラスの皆を守っている。サガ一人で守っているのだ。



そのサガが張り続ける風の障壁を、攻撃し続ける重戦士が居た。


「サガあああああああああ!!!!」

アルは声が枯れる程に叫んだ。それを見た重戦士がこちらを向いた。


「サガから離れろおおおおおお!!!!」

俺は自分でも驚くスピードで重戦士に飛び掛かる。その重戦士は土壁を出して妨害してくるが、それを避けて兜を蹴り上げる。その一撃で兜が落ちる。

そこに立っている男にも驚いた。人の優しそうな男だ。そして透けている。




「・・・お前も土属性か?」
透けた男が聞くもアルは耳に入らない。

「サガを襲いやがって!絶対許さねえ!!」


そして剣戟が始まる。
土属性同士の為、土壁を出し合い牽制しつつギロチンやナイフが飛び交う。


「よくも!!よくもサガを!!」

「今の時代の土属性か。やはり優しそうだな。人の為に泣ける人間か。」



「五月蠅いな!!お前を倒して直ぐにサガを助けるんだ!!早く倒れろよぉ!!!」


重戦士は返す。
「まだ青い…か。聞け。今代の土よ。そこの風属性はこの2日間、生徒を守り続ける為にひと時たりとも障壁を止めなかった。今、我が離れている今もだ。」



「そう思うなら攻撃すんなよぉ!!サガが死んじまう!!」

「我は死後にネクロマンサーに操られた。その後、ここの番人とされた。我が意思ではこの身体を止められん。」


「何だよそれ!!アンタも何なんだよぉ!!」

「若い土よ。早く我を切れ。我はもう人を殺めたくない。」

「うるせえ!!!俺だって必死だ!!」

サガはまだ障壁を張っており、その中の生徒たちはサガに何かを訴え続けている。


早くしないと死んでしまう。その事がアルを追い詰める。

「クソがああ!!!倒れろ!倒れろよぉ!頼むからあ!!」


重戦士は冷静だ。
「若いの、それではいかん。土は冷静でなければ上手く戦えん。我の攻撃を盾で防ぎきるのでは無く、受け流すのだ。それにより相手の姿勢を崩し次の攻撃をするのだ。」

そう言いつつも逆の行動を取る重戦士。アルの攻撃を受け流し、体勢が崩れた所を攻撃してくる。

「うぐぅ!!おい、アンタぁ!!言ってる事とやってる事が反対過ぎないか!!」


「仕方ない。ネクロマンサーがそうさせたのだ。我が名はグラム。土のグラム。魔族との大戦で死んだが、帝国のネクロマンサーに操られこの地の番人となった。この身体は経験が詰まっている。この経験を越えよ、若いの。お前は次の世代を生きる者。過去に負けてはいかん。」


「わかってんだよ、畜生ぉぉお!!!」
地雨を振り、賢硬で攻撃を流していく。そこで崩れた所をギロチンで狙うも避けられる。

「甘い。もっと相手を崩しきろ。小技を絡め隙を付け。思っている程にこの属性は弱くないと我は思うぞ?応用力が強い。」


「知ってらあぁ!!誰にも負ける気がしない!!お前にも!!!サガの為にぃ!!」


どんどん動きを良くしていく。徐々に相手より土壁の生成や、短剣の攻撃で上回っていくアル。

「そうだ、それでいい。若い土よ。惑わされるな。人の犠牲となるな。お前はお前の人生を作れ。…その額布は。・・・・その額布は我が師匠からの贈り物だった。懐かしいモノを見せてくれる。」

そう言って涙を流す重戦士。アルはその首を跳ねる。

「すまん、先人の土。俺はサガを助けたい・・・」


重戦士が絶命したのを確認し、サガの風の障壁に近付く。

「おい!!!サガ!!!もう大丈夫だ!!この障壁を止めろ!!死んじまう!!」

声が聞こえないのだ。真っ白になったサガが笑っている

何度も破壊を試みるも風の障壁に拒まれる。

「クソが!!絶対に諦めねえ!!正面が駄目なら・・・・コレだ!!」

下から上から最硬度にした壁を出し、それで障壁を成す風を止める。殆ど一瞬だったがそれでいい。その一瞬で障壁の中に入るアル。


「アル!!先生が!!私達を守って・・・こんな事に・・・」

リンが駆け寄ってくる。
「大丈夫だ、リン。今止める」

そう言って障壁を作り続けるサガを必死で抱きしめる、

「サガ!終わった!俺が魔物を倒した!!お前は休めよ!!!このクソ教師ぃぃ!!」

「・・・・ア・・ル・・・?・・・・アルか?」


「…サガ?…サガ!!俺だよ、アルピエロだ!!助けに来たよ!!」

「お前は・・・・本・・当に・・・頼りに・・・なるなあ。皆は・・・無事・・・か?」


「ああ!サガのおかげだ。もう皆大丈夫だ!!」

「良・・・かっ・・た。」
「おい!サガ!サガあああああああああ!!!!」



そこで地面が光る。
ミノタウルスを倒した時の様だ。



思い出す。

あの時、神様に出会って。
右腕を治してもらった。





「…サガ、少しだけ待っててくれ。」

神様に願い事を。親愛なる隣人を助けて欲しいと願う為に。少年は光の方へ進んでいく。


「アルが・・・消えた?」

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