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魔王と大蛇
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「やるせねーよな。」
時計塔の屋上から、ルミナはぼんやり景色を眺めていた。ルミナにとって、時計塔は一番心を解放される場である。その時計塔には、いつの日からか猫が住み着いているのだ。
他者に対して一切心を許さず、弱みを見せない彼女だが、この猫の前では何故か弱みや赤裸々な気持ち、ありのままの自分をさらけ出せるような感じがしている。凍りきった心を解かしてくれる、そんな親友のような存在となっていたのである。
今まで自分の周りの物達が次々となくなった。産みの親ー。育ての親ー。親友ー。そして、かつての愛した男ー。もしかして、自分と関わった者は不幸になる運命なのではと思わざる終えないー。子供のころから自分は周囲と違っていたー。周囲は自分をおぞましい化け物でもー、悪魔でも見るかの様な顔つきで、見てきた。今までずっといろんな人から邪険に扱われたのはは日常茶飯事であった。今まで、何人もの仲間が亡くなる事もあった。そんな事もあってか、仲間は次第にルミナと距離を置くようになったのだ。ルミナは常に一人であった。心に氷の鎧を着ていたのだ。ルミナはそういった恐怖と対人嫌悪かから次第に他者との関わりを避けるようになっていった。アルファになり仲間が出来たが、親友と愛した男の死から益々対人に置ける恐怖と嫌悪感が加速されてしまっていた。心の疲労感からくるものと、仲間をもうこれ以上失いたくはないー。誰も不幸になってほしくはいと言う思いが強かった。時々、寂しく感じる事があったが、自分には本当の仲間なんているはずもないし、周りのの幸せの為には自分が身を引くべきなのだと心をドライアイスの様にカチコチに凍らせ、わざと他人にキツく当たり、人を遠ざけた。それが今でも変わらないー。ルミナは他の仲間達より戦闘能力も格段につよいー。しかし、何で自分だけがこんななんだろうかと、不思議に感じることが多いー。それもあってか、彼女は益々孤立するようになる。
そんな昔ー、ルミナの養母はダークネスじゃないのかという噂があったが、真相は定かではないー。ただ、一つ確実に言えることは、養母はとてつもなく強く、そして不思議な力で自分のことを確実に脅威から守ってくれるて言う事である。養母は厳しい人であったが、今思えば、厳しさのなかには愛情で満ちあふれていた人なのだと言うことである。しかし、何故自分と距離を取りたがり、あんなに厳しかったのかは定かではない。
眼下にはメリッサとエリアムの姿がある。二人は何か話ながら歩き、そして従者の運転する車に乗る。
「ー仲直りしないの?しばらく会えなくなるわよ。彼女エリアムに。」
振り向くと、そこにはサラがいた。
「ーいいんだ。何かあいつ、苦手でさぁー。そいで、また怒られちまった。私は堅苦しい奴が大の苦手なんだよ。」
ルミナは口からタバコの煙を吹き出しながら、ぼんやり下の景色を眺めていた。
「あら、彼女、いつもあなたの事を気に掛けてるわよ。あなた達、旧知の間柄でもあるでしょ?それに、ドール化が進んでるんじゃないの?」
サラはルミナの右隣に来ると、手すりにもたれ掛かる。ルミナはハッとする。
「ーどうしてそれをー?」
「知ってたわよ。とっくの前からね。」
「何だってー?」
「だから、こうやって彼女、あなたとクロスを引き離そうとしてるでしょ。近づけない様にね。」
「だから、それがおせっかいなんだよ。はぁー、面倒くさい奴ー。」
ルミナはズボンのポケットからタバコを取りだしくわえると、ライターでカチカチ火を燈した。
「はい。これ、例の抑える薬だから。」
サラは上着のポケットから青緑の液体の入った小瓶を取り出し、ルミナに手渡す。
「おい、そう言えばお前ー、私を助けた時、シエルを殺さなかったなー。お前の事だから、サクッととどめを刺すものとばかりにー。」
ルミナは煙りをはきだし溜息をつきながら、遠くを眺めているー。
「馬鹿ね。出来たら苦労しないわよ。」
サラも一緒に空を眺めている。
「そうだよなあ。これでも一応、仲間なんだからな。」
「それもあるけど、彼女のバックに何か気配を感じてね。手出しがしづらかったのよ。それに何か紅いオーラに守られてる気がしてー。」
「ー心当たりは、あるのか?」
「ー私、昔対峙した事かあるわ。紅のシルクハットとコートの、謎の女ー。」
「おい、まさか、ソイツはダークネスじゃないだろうな?」
「ーそのまさかよ。」
サラは黒目を細めた。
「その事ー、他に知ってる奴はー?」
「メリッサと、エリアムと、まあ、グループのメンバーは殆ど知ってると思うわ。」
「何で、私に黙ってたんだ?」
ルミナはかっとなりサラの方を向いた。
「あら、その事、あなたが自分自身でよく分かってる事なんじゃないの?あなたは、暴走機関車だもの。」
サラは、ショートボブの髪をかきあげた。
「ーでも、あいつ《シエル》の事は言うべきだったぜ。」
ルミナは薬を飲み干し、声のトーンを急に落とした。
「だったら誓って。もう二度と勝手に単独で動かないで。」
「ー」
ルミナは無言で下の景色を眺めていた。
ーいいかい。お前の名前は今日から『ルミナ』だー。あと、私の事はあまり他人に話すんじゃないよー
その事は、養母がよく言っていた言葉だ。
ルミナは幼少の頃ー、養母と深い森の中の丸太の家で暮らしていた。ルミナは外出を規制される事が多かった。半ば監禁されていたかのような感じもしたが、がー、それは今となって分かるような気がするー。私は化け物なのだー。強すぎるのだー。異常者だからなのだー。だから、周囲から、傷つけられないよいに養母は自分の事を守ってくれていたのだとー。
しかし、そんな堅苦しい日常の中にも平和で安らぎの時間があった。
それは、初めて友達ができた時である。彼女はアルファの卵であり、戦闘見習いの立場なのだと言っていた。彼女に、自分もアルファになりたい、一緒に戦いたいと言っていた事があったが、彼女は頑なに首を横に振った。
ールミナには、幸せになってほしいー。私のようにはなって欲しくはないー。
そう言ったのを覚えている。その意味が良く分からなかったが、その後、自分がアルファになったとき、その意味が痛いほど良く分かるのである。
そんなある日、養母は呪文を唱えた。何言ったかあまりよく覚えてないが、ブツブツ分からない言葉を唱えていた。
すると、その瞬間養母は青紫の炎を纏いながら、無言で命を落とした。それは、どんな意味の呪文だったからはっきりとは覚えていない。何で養母はその呪文で命を落としたのかは分からない。しかし、養母は何か大切なものー、自分の絶対に譲れない確固たる信念を守るために自分を犠牲にしたのだ。
そういう気がしてならないー。
ルミナは養母が亡くなった時、何か硫黄の様な腐負臭がしたのを覚えている。うるおぼえだが、黄色い服を来た化け物がふわりと宙を舞い、黄金色の炎を纏い風に乗って何処かに消えたのだったー。
ソイツのせいで、養母が亡くなったのは確かなのだがー、顔は布で隠れていて見えなかった。ただ、印象的だったのは、布には赤い風車のような模様が印されてあったということだ。メリッサやサラに聞いても彼女達でさえ、知る手掛かりが掴めないのであるー。
ー黄色い服を着た化け物ー。それは、通称ー、『黄衣の王』であるー。
時計塔の屋上から、ルミナはぼんやり景色を眺めていた。ルミナにとって、時計塔は一番心を解放される場である。その時計塔には、いつの日からか猫が住み着いているのだ。
他者に対して一切心を許さず、弱みを見せない彼女だが、この猫の前では何故か弱みや赤裸々な気持ち、ありのままの自分をさらけ出せるような感じがしている。凍りきった心を解かしてくれる、そんな親友のような存在となっていたのである。
今まで自分の周りの物達が次々となくなった。産みの親ー。育ての親ー。親友ー。そして、かつての愛した男ー。もしかして、自分と関わった者は不幸になる運命なのではと思わざる終えないー。子供のころから自分は周囲と違っていたー。周囲は自分をおぞましい化け物でもー、悪魔でも見るかの様な顔つきで、見てきた。今までずっといろんな人から邪険に扱われたのはは日常茶飯事であった。今まで、何人もの仲間が亡くなる事もあった。そんな事もあってか、仲間は次第にルミナと距離を置くようになったのだ。ルミナは常に一人であった。心に氷の鎧を着ていたのだ。ルミナはそういった恐怖と対人嫌悪かから次第に他者との関わりを避けるようになっていった。アルファになり仲間が出来たが、親友と愛した男の死から益々対人に置ける恐怖と嫌悪感が加速されてしまっていた。心の疲労感からくるものと、仲間をもうこれ以上失いたくはないー。誰も不幸になってほしくはいと言う思いが強かった。時々、寂しく感じる事があったが、自分には本当の仲間なんているはずもないし、周りのの幸せの為には自分が身を引くべきなのだと心をドライアイスの様にカチコチに凍らせ、わざと他人にキツく当たり、人を遠ざけた。それが今でも変わらないー。ルミナは他の仲間達より戦闘能力も格段につよいー。しかし、何で自分だけがこんななんだろうかと、不思議に感じることが多いー。それもあってか、彼女は益々孤立するようになる。
そんな昔ー、ルミナの養母はダークネスじゃないのかという噂があったが、真相は定かではないー。ただ、一つ確実に言えることは、養母はとてつもなく強く、そして不思議な力で自分のことを確実に脅威から守ってくれるて言う事である。養母は厳しい人であったが、今思えば、厳しさのなかには愛情で満ちあふれていた人なのだと言うことである。しかし、何故自分と距離を取りたがり、あんなに厳しかったのかは定かではない。
眼下にはメリッサとエリアムの姿がある。二人は何か話ながら歩き、そして従者の運転する車に乗る。
「ー仲直りしないの?しばらく会えなくなるわよ。彼女エリアムに。」
振り向くと、そこにはサラがいた。
「ーいいんだ。何かあいつ、苦手でさぁー。そいで、また怒られちまった。私は堅苦しい奴が大の苦手なんだよ。」
ルミナは口からタバコの煙を吹き出しながら、ぼんやり下の景色を眺めていた。
「あら、彼女、いつもあなたの事を気に掛けてるわよ。あなた達、旧知の間柄でもあるでしょ?それに、ドール化が進んでるんじゃないの?」
サラはルミナの右隣に来ると、手すりにもたれ掛かる。ルミナはハッとする。
「ーどうしてそれをー?」
「知ってたわよ。とっくの前からね。」
「何だってー?」
「だから、こうやって彼女、あなたとクロスを引き離そうとしてるでしょ。近づけない様にね。」
「だから、それがおせっかいなんだよ。はぁー、面倒くさい奴ー。」
ルミナはズボンのポケットからタバコを取りだしくわえると、ライターでカチカチ火を燈した。
「はい。これ、例の抑える薬だから。」
サラは上着のポケットから青緑の液体の入った小瓶を取り出し、ルミナに手渡す。
「おい、そう言えばお前ー、私を助けた時、シエルを殺さなかったなー。お前の事だから、サクッととどめを刺すものとばかりにー。」
ルミナは煙りをはきだし溜息をつきながら、遠くを眺めているー。
「馬鹿ね。出来たら苦労しないわよ。」
サラも一緒に空を眺めている。
「そうだよなあ。これでも一応、仲間なんだからな。」
「それもあるけど、彼女のバックに何か気配を感じてね。手出しがしづらかったのよ。それに何か紅いオーラに守られてる気がしてー。」
「ー心当たりは、あるのか?」
「ー私、昔対峙した事かあるわ。紅のシルクハットとコートの、謎の女ー。」
「おい、まさか、ソイツはダークネスじゃないだろうな?」
「ーそのまさかよ。」
サラは黒目を細めた。
「その事ー、他に知ってる奴はー?」
「メリッサと、エリアムと、まあ、グループのメンバーは殆ど知ってると思うわ。」
「何で、私に黙ってたんだ?」
ルミナはかっとなりサラの方を向いた。
「あら、その事、あなたが自分自身でよく分かってる事なんじゃないの?あなたは、暴走機関車だもの。」
サラは、ショートボブの髪をかきあげた。
「ーでも、あいつ《シエル》の事は言うべきだったぜ。」
ルミナは薬を飲み干し、声のトーンを急に落とした。
「だったら誓って。もう二度と勝手に単独で動かないで。」
「ー」
ルミナは無言で下の景色を眺めていた。
ーいいかい。お前の名前は今日から『ルミナ』だー。あと、私の事はあまり他人に話すんじゃないよー
その事は、養母がよく言っていた言葉だ。
ルミナは幼少の頃ー、養母と深い森の中の丸太の家で暮らしていた。ルミナは外出を規制される事が多かった。半ば監禁されていたかのような感じもしたが、がー、それは今となって分かるような気がするー。私は化け物なのだー。強すぎるのだー。異常者だからなのだー。だから、周囲から、傷つけられないよいに養母は自分の事を守ってくれていたのだとー。
しかし、そんな堅苦しい日常の中にも平和で安らぎの時間があった。
それは、初めて友達ができた時である。彼女はアルファの卵であり、戦闘見習いの立場なのだと言っていた。彼女に、自分もアルファになりたい、一緒に戦いたいと言っていた事があったが、彼女は頑なに首を横に振った。
ールミナには、幸せになってほしいー。私のようにはなって欲しくはないー。
そう言ったのを覚えている。その意味が良く分からなかったが、その後、自分がアルファになったとき、その意味が痛いほど良く分かるのである。
そんなある日、養母は呪文を唱えた。何言ったかあまりよく覚えてないが、ブツブツ分からない言葉を唱えていた。
すると、その瞬間養母は青紫の炎を纏いながら、無言で命を落とした。それは、どんな意味の呪文だったからはっきりとは覚えていない。何で養母はその呪文で命を落としたのかは分からない。しかし、養母は何か大切なものー、自分の絶対に譲れない確固たる信念を守るために自分を犠牲にしたのだ。
そういう気がしてならないー。
ルミナは養母が亡くなった時、何か硫黄の様な腐負臭がしたのを覚えている。うるおぼえだが、黄色い服を来た化け物がふわりと宙を舞い、黄金色の炎を纏い風に乗って何処かに消えたのだったー。
ソイツのせいで、養母が亡くなったのは確かなのだがー、顔は布で隠れていて見えなかった。ただ、印象的だったのは、布には赤い風車のような模様が印されてあったということだ。メリッサやサラに聞いても彼女達でさえ、知る手掛かりが掴めないのであるー。
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