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第20話 ダークサイド
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とある夕暮れ時ー、オズワルド・ホークショーは、こじんまりとしたバーで酒を呑んで微睡んでいた。
そういえば、この前の記憶がない。自分は買い物に行き、突き当りの門で見知らぬ女二人組に遭遇して、突き飛ばされ手地面に顔面を叩きつけられたことしか覚えてない。それから意識はなく、起きたら自分は路面にうつ伏せで倒れていた。
彼は、昔から突然意識が飛ぶ事が多かった。そして起きると強い倦怠感と目眩に襲われるのだ。そして鏡に映っている自分の姿をみたころ、所々に傷やあざの跡がついているのだ。
バーテンダーの女は優しく微笑み、シェイカーにリキュールと炭酸をに入れ、上下に振った。店内には、他に客は居なく、一昔前の陽気なジャズの音楽が響き渡った。
「あら、今日はペースが遅いのね。」
女はグラスに酒を注ぐと、オズに手渡した。
「いや、今日は特別な日でして、無性にゾクゾクしてるんですよ。」
オズはグラスの酒を一気に飲み干すと、
「あら、奇遇ね。実はわたしもぞくぞくしちゃってるの。超激レアなごちそうが目の前にあるんですもの。」
バーテンダーの女は口がぱっくり割れ、舌がちょろちょろ見え隠れしている。
オズはカウンターから離れ間を置くと、足元からバズーカーを取り出すと女に発砲した。女は声を低くうなはせカウンターから出ると、ゆらゆら歩いた。
すると女の身体はビキビキ膨れ上がり、全長3.5メートル程の女郎蜘蛛が出現したのだ。女郎蜘蛛は天井を這うと、尻から直径5センチほどの糸を放出したのだ。
オズは糸を避けると、バズーカを取り出し連射した。
蜘蛛女は、弾丸を蟻の様な素早さで華麗に躱す。オズはジャンプすると女郎蜘蛛の溝落ちを殴りかかろううとした。しかし、女郎蜘蛛は踊り子のように軽やかに躱かわ首を45度傾げ、そしてオズの首を掴んだ。前足は蛇の様にグニャグニャ螺旋を描き、オズの身体に巻き付いた。彼女は身体を自由自在に変形できるところから、内部は液体かスライムの様な造りになっているのだろう。オズはバタバタもがき、女郎蜘蛛の首を掴みかかろうとした。オズは深く息を吸った。するとオズの右腕が朱色に光輝いた。女郎蜘蛛の身体は、カクカク小刻みに揺れ震えた。
そして、女郎蜘蛛は動きを停止した。無作為に放たれた糸が日光に反射して女郎蜘蛛に降り注ぐ。彼女の周囲には光が覆い尽くし、そして部屋中に反射した。
「ーそんな…日光が…」
「油断していたのがマズかったね。あんたはご主人様に守られているみたいだけど、俺の鉤爪には特殊な構造があってね・・・」
オズの右腕はメラメラ燃え、女郎蜘蛛の身体を溶かしていく。
「貴様・・・、騙していたのか?」
女郎蜘蛛の身体は徐々に溶け始め、そして蒸発した。
オズは店を出ると、近くの広場に足を運んだ。外は雨で、人もまばらだった。うっすらと霧がかかっている。
すると目の前に、見慣れた少女が通り過ぎた。
「よう。」
「お前、オズかー?」
金髪の美少女は瞳孔を小さくすると、オズに近寄った。
「ああ。お前、久しぶりだなぁ。」
オズは陽気になり、美少女に手を振った。
「お前、相変わらずだなぁ。」
オズはそう言うと、美少女を傘の中に入れた。
「ああ。お前、今まで何してたんだよ?」
「話すと長くなるが、いつも通り、殺伐とした毎日さ。」
「何か、物騒な物言いだな。」
オズは苦笑いをした。
「仕方ないだろ。好きでこうなったわけじゃないんだから。」
ルミナはパイプに火を灯すと、不愉快そうに吸った。
外は次第に雨が強くなってくる。
「なあ、お前んとこの宿に泊まってもいいか?」
「ああいいが、少し遠いぞ?」
「構わないさ。そういうのに慣れっこだし。」
美少女は当たり前に話す。彼女は人外で人智を超えた存在だから、こういうことは慣れっこなのだろう。しかし、時折、感覚が麻痺してくる。現に、雨に打たれても傘を差さず、平然としていた。
「分かった、あの突き当りの先に駐車してるから。」
オズは軽く溜息をつくと、美少女を引き連れ大通りへと向かった。
大通りのつきあたりに小柄な少女がスーツケースを抱え、ちょこんと立っていた。
「よ、待たせたな。」
美少女はそういうとその少女に瓶ビールと雑誌を手渡した。
「え?この子も仲間なのか?」
オズは驚いた。この子から魔力は一切漏れていない。どこからどう見ても人間の少女である。
「ああ、リータっていうんだ。色々助けてもらったよ。」
ルミナは当たり前のように話すと、ビンのキャップを開けるとビールをがぶがぶ飲み干した。
「ルミナ、遅いよ。何してたの?」
リータは雑誌を読み、瓶のふたを開け、飲み干した。
「ああ、久しぶりに旧友と再会してな。色々思い出話に盛り上がっていたところだ。な?」
ルミナは、オズをギッと睨みつけ目くばせした。
「・・・あ?ああ・・・」
オズは訳も分からなく、適当に空返事をした。
ーこの少女と何かあったのだろうか?ー
オズは訝しがったが、雨が次第に強くなったので二人を引き連れ、駐車してあった車に乗り込みアクセルを踏んだ。
大通りをしばらく走り、郊外に出ると雨は滝のように強く降り注いだ。
「・・・なあ、この子と何があったんだ?俺は面倒なのはもう嫌だぜ。今まで散々
お前に振り回されてきたんだ。」
オズはバックミラーで後部座席のリータをチラチラ見ながら、小声で助手席のルミナに話しかけた。
「・・・黙ってろ。ここじゃまずい。今、まわってきてるところだろうから・・・」
ルミナは顔をしかめると、軽くオズを睨みつけた。
「ーまわるー?アルコールの事かー?」
オズは再びバックミラーを確認する。
「そんなにチラチラ見るなよ。ここじゃ泡の中だ。」
ルミナは再びオズを睨みつけた。
しばらく車を走らせ、森の中を走り空き地に豪勢な屋敷にたどり着いた。
「おい、着いたぞ。」
オズはそう言い車を出ると、車のトランクからスーツケースを取りだした。
ルミナは車から降りるとリータを確認した。
リータは酔いが回っているのか、横になって眠っていた。
「おい、さっきの何がどうなってるんだよ?」
オズはルミナに詰め寄った。
「・・・こいつ、ダークネスかもしれないんだ。」
ルミナはリータを見ながら、ぼそっと言い放った。
「・・・は?ダークネスだって・・・?お前、何でこういつも難題持ち込めるんだ よ?」
オズは歯ぎしりをすると軽く貧乏ゆすりをした。
「うるさい。こっちだって好きでこうなってんじゃねえよ。」
ルミナは軽く舌打ちするとスーツケースを受けとり、屋敷へと向かった。オズはドアを開けリータを抱きかかえた。
屋敷の中は豪華な造りになっており、天井には華やかなシャンデリアが吊るされていた。窓から隙間風が吹いていた。
「悪い。直ぐ閉めるから。」
オズはそう言うと階段を上り、二階の部屋にリータを運んだ。
その夜、オズは一階のキッチンでルミナに事情を聞いた。
「何で、お前はいつもいつもいつもこうなんだ?この宿だって何回壊したら済むん だ?修繕費馬鹿でかいんだぞ。お前、きっちり払ってもらうぞ。あと200万だからな。」
オズは二つのジョッキにビールを注ぐと、乱暴にテーブルに置いた。
「うっせぇな。好きでこうなったんじゃないって。何度も言わせるなよ。」
ルミナはあくびをした。
「ーで、あのダークネスはどうするんだ?」
オズは軽くグラスに口付けた。
「ーあの瓶の中にっこそり薬草のエキスを注入したんだ。これで奴は感覚が麻痺して弱体化する筈だよ。」
ルミナもジョッキに口をつけ、口に付いた泡を拭った。
「薬草ー?どんな薬草だ?」
「とある友人から貰ったものだ。すごい効力がある。これで奴もおしまいさ。」
「このダークネス、そんなにやばいのか?」
「あの娘の周りにはいつも人がいないんだ。人間はダークネスの気配なんてわからないだろう?近づかない理由がないんだ。もしかしたら、大量に喰らっている可能性がある。それに、こいつは奴の配下かも知れない。魔力に既視感を感じたんだ。」
そういうと、ルミナはジョッキを飲み干した。
「奴ってー?」
「例の魔王だよ。黄色のマントを着たー。」
ルミナのその言葉にオズはぎょっとした。
「まじか・・・?じゃあ、何でこの子を連れてきたんだ?」
「あとでメリーに来てもらい、適切に対処するするんだよ。こいつを野放しにしたら、人間どころか私の同胞にまで危害が加わるだろ?」
「その・・・メリーはいつ来るんだ?」
「広場にいたとき、メリーに連絡した。もうじき来るはずさ。」
ルミナはそう言うと、ライターに火を灯した。
すると奥の方から、重苦しい気配を感じた。リータだ。
「ごめんなさい・・・。やっぱ、私は酒に弱いみたいね。」
リータは眼をこすりながら軽くあくびをした。ルミナは瞳孔を小さくすると、すぐに平然を装った。
「ああ・・・お前、起きたのか?まだ横になっててもよかったんだぞ?」
「ううん。もういいの。あんまり疲れてないから。」
リータはそう言うと、階段を降り、二人に近づいた。
オズは足元にあるバズーカをこっそり引き寄せた。すると、ルミナの両足が小刻みに震えているのが見えた。
「ああ。そうか。お前、お腹が膨れてるな。何か食べたのかー?」
ルミナは恐怖を堪え、必死に平然を装う。オズはリータをまじまじ見るが、特に何も変わったところがない。しかし、ルミナには見えるのだろう。すると一瞬、リータと目が合った。一瞬、きつく睨みつけたかのような冷ややかな視線を感じ、オズは身震いをした。それは、悪魔の様なドスのきいた眼光だった。
オズとルミナは、氷のように固まっているのだった。
そういえば、この前の記憶がない。自分は買い物に行き、突き当りの門で見知らぬ女二人組に遭遇して、突き飛ばされ手地面に顔面を叩きつけられたことしか覚えてない。それから意識はなく、起きたら自分は路面にうつ伏せで倒れていた。
彼は、昔から突然意識が飛ぶ事が多かった。そして起きると強い倦怠感と目眩に襲われるのだ。そして鏡に映っている自分の姿をみたころ、所々に傷やあざの跡がついているのだ。
バーテンダーの女は優しく微笑み、シェイカーにリキュールと炭酸をに入れ、上下に振った。店内には、他に客は居なく、一昔前の陽気なジャズの音楽が響き渡った。
「あら、今日はペースが遅いのね。」
女はグラスに酒を注ぐと、オズに手渡した。
「いや、今日は特別な日でして、無性にゾクゾクしてるんですよ。」
オズはグラスの酒を一気に飲み干すと、
「あら、奇遇ね。実はわたしもぞくぞくしちゃってるの。超激レアなごちそうが目の前にあるんですもの。」
バーテンダーの女は口がぱっくり割れ、舌がちょろちょろ見え隠れしている。
オズはカウンターから離れ間を置くと、足元からバズーカーを取り出すと女に発砲した。女は声を低くうなはせカウンターから出ると、ゆらゆら歩いた。
すると女の身体はビキビキ膨れ上がり、全長3.5メートル程の女郎蜘蛛が出現したのだ。女郎蜘蛛は天井を這うと、尻から直径5センチほどの糸を放出したのだ。
オズは糸を避けると、バズーカを取り出し連射した。
蜘蛛女は、弾丸を蟻の様な素早さで華麗に躱す。オズはジャンプすると女郎蜘蛛の溝落ちを殴りかかろううとした。しかし、女郎蜘蛛は踊り子のように軽やかに躱かわ首を45度傾げ、そしてオズの首を掴んだ。前足は蛇の様にグニャグニャ螺旋を描き、オズの身体に巻き付いた。彼女は身体を自由自在に変形できるところから、内部は液体かスライムの様な造りになっているのだろう。オズはバタバタもがき、女郎蜘蛛の首を掴みかかろうとした。オズは深く息を吸った。するとオズの右腕が朱色に光輝いた。女郎蜘蛛の身体は、カクカク小刻みに揺れ震えた。
そして、女郎蜘蛛は動きを停止した。無作為に放たれた糸が日光に反射して女郎蜘蛛に降り注ぐ。彼女の周囲には光が覆い尽くし、そして部屋中に反射した。
「ーそんな…日光が…」
「油断していたのがマズかったね。あんたはご主人様に守られているみたいだけど、俺の鉤爪には特殊な構造があってね・・・」
オズの右腕はメラメラ燃え、女郎蜘蛛の身体を溶かしていく。
「貴様・・・、騙していたのか?」
女郎蜘蛛の身体は徐々に溶け始め、そして蒸発した。
オズは店を出ると、近くの広場に足を運んだ。外は雨で、人もまばらだった。うっすらと霧がかかっている。
すると目の前に、見慣れた少女が通り過ぎた。
「よう。」
「お前、オズかー?」
金髪の美少女は瞳孔を小さくすると、オズに近寄った。
「ああ。お前、久しぶりだなぁ。」
オズは陽気になり、美少女に手を振った。
「お前、相変わらずだなぁ。」
オズはそう言うと、美少女を傘の中に入れた。
「ああ。お前、今まで何してたんだよ?」
「話すと長くなるが、いつも通り、殺伐とした毎日さ。」
「何か、物騒な物言いだな。」
オズは苦笑いをした。
「仕方ないだろ。好きでこうなったわけじゃないんだから。」
ルミナはパイプに火を灯すと、不愉快そうに吸った。
外は次第に雨が強くなってくる。
「なあ、お前んとこの宿に泊まってもいいか?」
「ああいいが、少し遠いぞ?」
「構わないさ。そういうのに慣れっこだし。」
美少女は当たり前に話す。彼女は人外で人智を超えた存在だから、こういうことは慣れっこなのだろう。しかし、時折、感覚が麻痺してくる。現に、雨に打たれても傘を差さず、平然としていた。
「分かった、あの突き当りの先に駐車してるから。」
オズは軽く溜息をつくと、美少女を引き連れ大通りへと向かった。
大通りのつきあたりに小柄な少女がスーツケースを抱え、ちょこんと立っていた。
「よ、待たせたな。」
美少女はそういうとその少女に瓶ビールと雑誌を手渡した。
「え?この子も仲間なのか?」
オズは驚いた。この子から魔力は一切漏れていない。どこからどう見ても人間の少女である。
「ああ、リータっていうんだ。色々助けてもらったよ。」
ルミナは当たり前のように話すと、ビンのキャップを開けるとビールをがぶがぶ飲み干した。
「ルミナ、遅いよ。何してたの?」
リータは雑誌を読み、瓶のふたを開け、飲み干した。
「ああ、久しぶりに旧友と再会してな。色々思い出話に盛り上がっていたところだ。な?」
ルミナは、オズをギッと睨みつけ目くばせした。
「・・・あ?ああ・・・」
オズは訳も分からなく、適当に空返事をした。
ーこの少女と何かあったのだろうか?ー
オズは訝しがったが、雨が次第に強くなったので二人を引き連れ、駐車してあった車に乗り込みアクセルを踏んだ。
大通りをしばらく走り、郊外に出ると雨は滝のように強く降り注いだ。
「・・・なあ、この子と何があったんだ?俺は面倒なのはもう嫌だぜ。今まで散々
お前に振り回されてきたんだ。」
オズはバックミラーで後部座席のリータをチラチラ見ながら、小声で助手席のルミナに話しかけた。
「・・・黙ってろ。ここじゃまずい。今、まわってきてるところだろうから・・・」
ルミナは顔をしかめると、軽くオズを睨みつけた。
「ーまわるー?アルコールの事かー?」
オズは再びバックミラーを確認する。
「そんなにチラチラ見るなよ。ここじゃ泡の中だ。」
ルミナは再びオズを睨みつけた。
しばらく車を走らせ、森の中を走り空き地に豪勢な屋敷にたどり着いた。
「おい、着いたぞ。」
オズはそう言い車を出ると、車のトランクからスーツケースを取りだした。
ルミナは車から降りるとリータを確認した。
リータは酔いが回っているのか、横になって眠っていた。
「おい、さっきの何がどうなってるんだよ?」
オズはルミナに詰め寄った。
「・・・こいつ、ダークネスかもしれないんだ。」
ルミナはリータを見ながら、ぼそっと言い放った。
「・・・は?ダークネスだって・・・?お前、何でこういつも難題持ち込めるんだ よ?」
オズは歯ぎしりをすると軽く貧乏ゆすりをした。
「うるさい。こっちだって好きでこうなってんじゃねえよ。」
ルミナは軽く舌打ちするとスーツケースを受けとり、屋敷へと向かった。オズはドアを開けリータを抱きかかえた。
屋敷の中は豪華な造りになっており、天井には華やかなシャンデリアが吊るされていた。窓から隙間風が吹いていた。
「悪い。直ぐ閉めるから。」
オズはそう言うと階段を上り、二階の部屋にリータを運んだ。
その夜、オズは一階のキッチンでルミナに事情を聞いた。
「何で、お前はいつもいつもいつもこうなんだ?この宿だって何回壊したら済むん だ?修繕費馬鹿でかいんだぞ。お前、きっちり払ってもらうぞ。あと200万だからな。」
オズは二つのジョッキにビールを注ぐと、乱暴にテーブルに置いた。
「うっせぇな。好きでこうなったんじゃないって。何度も言わせるなよ。」
ルミナはあくびをした。
「ーで、あのダークネスはどうするんだ?」
オズは軽くグラスに口付けた。
「ーあの瓶の中にっこそり薬草のエキスを注入したんだ。これで奴は感覚が麻痺して弱体化する筈だよ。」
ルミナもジョッキに口をつけ、口に付いた泡を拭った。
「薬草ー?どんな薬草だ?」
「とある友人から貰ったものだ。すごい効力がある。これで奴もおしまいさ。」
「このダークネス、そんなにやばいのか?」
「あの娘の周りにはいつも人がいないんだ。人間はダークネスの気配なんてわからないだろう?近づかない理由がないんだ。もしかしたら、大量に喰らっている可能性がある。それに、こいつは奴の配下かも知れない。魔力に既視感を感じたんだ。」
そういうと、ルミナはジョッキを飲み干した。
「奴ってー?」
「例の魔王だよ。黄色のマントを着たー。」
ルミナのその言葉にオズはぎょっとした。
「まじか・・・?じゃあ、何でこの子を連れてきたんだ?」
「あとでメリーに来てもらい、適切に対処するするんだよ。こいつを野放しにしたら、人間どころか私の同胞にまで危害が加わるだろ?」
「その・・・メリーはいつ来るんだ?」
「広場にいたとき、メリーに連絡した。もうじき来るはずさ。」
ルミナはそう言うと、ライターに火を灯した。
すると奥の方から、重苦しい気配を感じた。リータだ。
「ごめんなさい・・・。やっぱ、私は酒に弱いみたいね。」
リータは眼をこすりながら軽くあくびをした。ルミナは瞳孔を小さくすると、すぐに平然を装った。
「ああ・・・お前、起きたのか?まだ横になっててもよかったんだぞ?」
「ううん。もういいの。あんまり疲れてないから。」
リータはそう言うと、階段を降り、二人に近づいた。
オズは足元にあるバズーカをこっそり引き寄せた。すると、ルミナの両足が小刻みに震えているのが見えた。
「ああ。そうか。お前、お腹が膨れてるな。何か食べたのかー?」
ルミナは恐怖を堪え、必死に平然を装う。オズはリータをまじまじ見るが、特に何も変わったところがない。しかし、ルミナには見えるのだろう。すると一瞬、リータと目が合った。一瞬、きつく睨みつけたかのような冷ややかな視線を感じ、オズは身震いをした。それは、悪魔の様なドスのきいた眼光だった。
オズとルミナは、氷のように固まっているのだった。
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