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戦慄と地獄のバトルロワイヤル ⑤
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辺りの緑が、みるみる早送りになったかのようにうっそうとおい茂った。
その一番手前の樹木の影から、踊り子のようなふわふわの緑のワンピースにポニーテール姿の女の子が宙を舞い姿を現した。
パックだ。
「おい、居たのか?!この鼠野郎…」
赤ずきんは、パックの襟元をつまみ上げると、鋭い形相で睨みつけた。
「いや、私は、辺りのプログラムの解析をし…巨大ムカデを眠らせていたんですよ…」
パックは、のらりくらりしながら、『 ほら』と、言わんばかりに、煙の向こう側を指さした。
煙はみるみる弱まり、そこには緑の樹木に包まれながらバタバタ倒れている巨大オオムカデの1団があった。
「そうか…お前の能力は、相手に夢を見せる事だったな。」
「はい、そうです。スヤスヤと幸せな夢を見ていることでしょう。あと、何か、敵の存在を確認しましたね。ですが、彼等は強力な魔力を有しているので、私の眠りの力は効きません。」
パックは、大袈裟にジェスチャーしながら悠長に状況を説明する。
「お前、場の空気ってのが読める?何しにこのゲームに参加したと思ってんだよ?ホントに、キグナスのメンバーだったのか…?」
赤ずきんは、大仰にため息ついた。
「あ、あれです!」
パックは、すぐ向かい側の何も無い空間を指さした。
すると、空間に湯気が沸いたかのように急にグニャリと大きく歪んだ。
それは人の姿を成し、みるみる変形していきスーツ姿の男が姿を現した。
「こ、コイツは、VXか…?」
赤ずきんは、両手にサブマシンガンを構えた。
「VXって、何なんですか?」
「VXとは、ウィルスの中でも上位クラスの存在で、魔力が膨大なのよ。」
モルガンは、杖を構えて唇を噛み締めている。
「これって、もしかして…」
赤ずきんは、眉毛を深く寄せると酷く顔を歪ませた。
「どうしたの?レティー…」
「このゲームのルールは、ウィルスの持ち込みは禁止だ。この大会の主催者が、コイツらの存在を見逃すハズは無い。だとしたら、奴らはあたし達をここで餌食にするつもりだ。」
「じゃあ、まるで無法地帯だわ…」
「ああ、そうだ。この大会は、ルールもヘッタクレも無い。あたしらは、初めから抹殺される目的だったんだよ。」
「大変ね。他のメンバーに連絡した方が良いわね。」
モルガンは、急いでアップルウォッチを起動し仲間に連絡し始めた。
「なぁ、ヒカリ、またあの力、使えそうか?協力を頼む。」
赤ずきんは、ヒカリの肩に手を掛けた。
「あ、はい。やってみます。」
ヒカリは、深く息を吸い込んで精神統一をした。
ーこの技は、嫌な事を考えると発動するのか…?
ヒカリは、前世で自分を罵倒した奴らの事を思い出した。
黒灰色の鬱蒼とした日常。
姉妹のように仲が良かった幼なじみに裏切られ、初恋の人を取られた。
どこに行っても孤独で、人間関係は上手くいかず…
バイトは中々決まらず、決まってもすぐクビになる。
ヒカリお姉さんと祖母は亡くなり…
ーダメだ…
過呼吸を起こしそうになる。
目から涙が、とくとくとながれてくる。
ーと、ヒカリの全身から熱いものがこみ上げてくる。
虹色の光がヒカリを包み込む。
辺りが、眩い光沢を放ち光り輝く。
すると、四体のVXがみるみる小さくなり、人差し指程のサイズになった。
VXは、バンバン拳銃を放っているが、豆粒が当たったような感覚がし痛くも痒くも無かった。
赤ずきんは、眉尻を寄せヒカリを凝視した。
「ヒカリ、お前、何考えてた?」
「いえ…別に。」
「まさかとは思うが、この技はそういう気持ちで発動するものなのか?」
「え…!?そ、それは、どういう意味で…」
ヒカリは、ドキっとした。
「ここは、戦場だと思え。今に集中しな。余計な事は、考えるな。今は、今だけを考えてろ。」
赤ずきんは厳しい口調でそう言うと、ヒカリに背を向けサブマシンガンを二丁構えVXの気配を探り始めた。
「…はい。」
「それ、そんなに苦しい技ならもう使うなよ。こっちまで、シラケちまう。」
「分かりました…」
彼女は、何もかもお見通しだった。
ーと、何も無い空間から次々と無数にVXが姿を現した。
「アグナス・イゾ・ゾルデ…」
モルガンは、呪文を唱えた。
杖の先端に引っ張られるかのように、辺りの樹木の枝が集まり、彼らをグルグル巻きにした。
そして、次々と現れたVXらをその要領で動きを封じた。
「クソ…次から次へと、蟻のようだな…」
赤ずきんは、舌打ちするとバンバンとサブマシンガンの引き金を引いた。
サブマシンガンは、みるみるサイズを増大させ銃口から朱色の炎を吐き出す。
その銃は、悪魔のように荒々しく怒り狂っているようだ。
炎は、激高した大蛇のように辺りを朱色に染め上げていった。
樹木に包まれたVXらは、次々と業火に飲み込まれそして消失していった。
ーと、赤ずきんの様子に違和感を覚えた。
彼女の眼光は朱色に光り、それは悪魔を彷彿とした。
「レティー…!ダメよ、これ以上は…そっち側に行っちゃダメ…!」
モルガンは、心配し叫んだ。
それは、まさか、あのサジタリウスと関係があるのだろうか…?
赤ずきんの左首筋辺りが、青白く光った。
このままでは、レティーが覚醒し化け物になりそうな、嫌な感覚を覚えた。
辺りは、朱色の業火に包まれた。
VXは、姿を表さなくなった。
「ダメだ…彼女、ウィルスで、おかしくなってるんだわ。浄化魔法を使うしかないわ。」
モルガンは、目尻に汗を流しながら呪文を唱えた。
「アグナ・イグ・ゾルデ…」
辺りの木々の枝がニョキニョキ集まり、赤ずきんに絡まりつく。
赤ずきんは、縛られながらも彷徨しサブマシンガンを打ち鳴らし続ける。
ー自分にできることは何なのだろうかー?
ーこのままじゃ、ダメだ…こんな弱い自分じゃ、ダメだ…
ヒカリの全身は、みるみる熱くなって熱を帯びた。そして、ヒカリから虹色の光が放出された。
赤ずきんは、彷徨しながらもその虹色の眩い光に包まれた。
彗星のようにバチバチとした、目を刺激する虹色の強烈な閃光が、熱波を帯びながら赤ずきんを覆い尽くした。
その一番手前の樹木の影から、踊り子のようなふわふわの緑のワンピースにポニーテール姿の女の子が宙を舞い姿を現した。
パックだ。
「おい、居たのか?!この鼠野郎…」
赤ずきんは、パックの襟元をつまみ上げると、鋭い形相で睨みつけた。
「いや、私は、辺りのプログラムの解析をし…巨大ムカデを眠らせていたんですよ…」
パックは、のらりくらりしながら、『 ほら』と、言わんばかりに、煙の向こう側を指さした。
煙はみるみる弱まり、そこには緑の樹木に包まれながらバタバタ倒れている巨大オオムカデの1団があった。
「そうか…お前の能力は、相手に夢を見せる事だったな。」
「はい、そうです。スヤスヤと幸せな夢を見ていることでしょう。あと、何か、敵の存在を確認しましたね。ですが、彼等は強力な魔力を有しているので、私の眠りの力は効きません。」
パックは、大袈裟にジェスチャーしながら悠長に状況を説明する。
「お前、場の空気ってのが読める?何しにこのゲームに参加したと思ってんだよ?ホントに、キグナスのメンバーだったのか…?」
赤ずきんは、大仰にため息ついた。
「あ、あれです!」
パックは、すぐ向かい側の何も無い空間を指さした。
すると、空間に湯気が沸いたかのように急にグニャリと大きく歪んだ。
それは人の姿を成し、みるみる変形していきスーツ姿の男が姿を現した。
「こ、コイツは、VXか…?」
赤ずきんは、両手にサブマシンガンを構えた。
「VXって、何なんですか?」
「VXとは、ウィルスの中でも上位クラスの存在で、魔力が膨大なのよ。」
モルガンは、杖を構えて唇を噛み締めている。
「これって、もしかして…」
赤ずきんは、眉毛を深く寄せると酷く顔を歪ませた。
「どうしたの?レティー…」
「このゲームのルールは、ウィルスの持ち込みは禁止だ。この大会の主催者が、コイツらの存在を見逃すハズは無い。だとしたら、奴らはあたし達をここで餌食にするつもりだ。」
「じゃあ、まるで無法地帯だわ…」
「ああ、そうだ。この大会は、ルールもヘッタクレも無い。あたしらは、初めから抹殺される目的だったんだよ。」
「大変ね。他のメンバーに連絡した方が良いわね。」
モルガンは、急いでアップルウォッチを起動し仲間に連絡し始めた。
「なぁ、ヒカリ、またあの力、使えそうか?協力を頼む。」
赤ずきんは、ヒカリの肩に手を掛けた。
「あ、はい。やってみます。」
ヒカリは、深く息を吸い込んで精神統一をした。
ーこの技は、嫌な事を考えると発動するのか…?
ヒカリは、前世で自分を罵倒した奴らの事を思い出した。
黒灰色の鬱蒼とした日常。
姉妹のように仲が良かった幼なじみに裏切られ、初恋の人を取られた。
どこに行っても孤独で、人間関係は上手くいかず…
バイトは中々決まらず、決まってもすぐクビになる。
ヒカリお姉さんと祖母は亡くなり…
ーダメだ…
過呼吸を起こしそうになる。
目から涙が、とくとくとながれてくる。
ーと、ヒカリの全身から熱いものがこみ上げてくる。
虹色の光がヒカリを包み込む。
辺りが、眩い光沢を放ち光り輝く。
すると、四体のVXがみるみる小さくなり、人差し指程のサイズになった。
VXは、バンバン拳銃を放っているが、豆粒が当たったような感覚がし痛くも痒くも無かった。
赤ずきんは、眉尻を寄せヒカリを凝視した。
「ヒカリ、お前、何考えてた?」
「いえ…別に。」
「まさかとは思うが、この技はそういう気持ちで発動するものなのか?」
「え…!?そ、それは、どういう意味で…」
ヒカリは、ドキっとした。
「ここは、戦場だと思え。今に集中しな。余計な事は、考えるな。今は、今だけを考えてろ。」
赤ずきんは厳しい口調でそう言うと、ヒカリに背を向けサブマシンガンを二丁構えVXの気配を探り始めた。
「…はい。」
「それ、そんなに苦しい技ならもう使うなよ。こっちまで、シラケちまう。」
「分かりました…」
彼女は、何もかもお見通しだった。
ーと、何も無い空間から次々と無数にVXが姿を現した。
「アグナス・イゾ・ゾルデ…」
モルガンは、呪文を唱えた。
杖の先端に引っ張られるかのように、辺りの樹木の枝が集まり、彼らをグルグル巻きにした。
そして、次々と現れたVXらをその要領で動きを封じた。
「クソ…次から次へと、蟻のようだな…」
赤ずきんは、舌打ちするとバンバンとサブマシンガンの引き金を引いた。
サブマシンガンは、みるみるサイズを増大させ銃口から朱色の炎を吐き出す。
その銃は、悪魔のように荒々しく怒り狂っているようだ。
炎は、激高した大蛇のように辺りを朱色に染め上げていった。
樹木に包まれたVXらは、次々と業火に飲み込まれそして消失していった。
ーと、赤ずきんの様子に違和感を覚えた。
彼女の眼光は朱色に光り、それは悪魔を彷彿とした。
「レティー…!ダメよ、これ以上は…そっち側に行っちゃダメ…!」
モルガンは、心配し叫んだ。
それは、まさか、あのサジタリウスと関係があるのだろうか…?
赤ずきんの左首筋辺りが、青白く光った。
このままでは、レティーが覚醒し化け物になりそうな、嫌な感覚を覚えた。
辺りは、朱色の業火に包まれた。
VXは、姿を表さなくなった。
「ダメだ…彼女、ウィルスで、おかしくなってるんだわ。浄化魔法を使うしかないわ。」
モルガンは、目尻に汗を流しながら呪文を唱えた。
「アグナ・イグ・ゾルデ…」
辺りの木々の枝がニョキニョキ集まり、赤ずきんに絡まりつく。
赤ずきんは、縛られながらも彷徨しサブマシンガンを打ち鳴らし続ける。
ー自分にできることは何なのだろうかー?
ーこのままじゃ、ダメだ…こんな弱い自分じゃ、ダメだ…
ヒカリの全身は、みるみる熱くなって熱を帯びた。そして、ヒカリから虹色の光が放出された。
赤ずきんは、彷徨しながらもその虹色の眩い光に包まれた。
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