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破章の弐 We're Wrong about the World
43ターン目/強化系と属性付与
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◆◆◆
それは過去。
エリザベス外交旅団に勇者パーティーが参加し、世界を回っていた時期。
何処かの街の外。
グリフィンより指導を受け、魔法の練習に励むタロー。
●【炎属性】×【射撃】×【敵単体】
▼勇者は 呪文を唱えた!【大失敗】
【ファイアーボール】発動!
手のひらに誕生した焔が異常な収縮を起こし、次の瞬間破裂する。
大爆発。自身の炎魔法に焼かれ、勇者は後方へ吹き飛ばされる。
「ぶへぇあッッ!!?」
変な悲鳴が溢れる我等が勇者。
実に不様である。
「ちょっ、タロー!!?」
グリフィンが懸けよっていく。
十数分後。
医療魔法により完治したタローとグリフィンは、一度休憩を挟むことにした。
「一般的に魔法の鍛練においては、まず“出力の上限をあげる”ところからスタートします。初心者はそもそも魔力の放出方法なんてわからないわけで、その感覚を体得するところから始めるんです」
グリフィンが説明をはじめる。
「しかし、タローの場合は勇者の特質として超人的な魔力容量を兼ね備えており、且つそれらを超勇者形態で常に最大限発露することに慣れているため、“精緻な魔力操作”。
つまりは魔力を出力する加減がわからないということなのでしょう」
一方、勇者当人はわかってるのかわかってないのかよくわからない表情を浮かべている。
「かつての勇者たちは魔法も十全に使用していたと聞きますが、そもそも魔法自体が時代と共に大衆化していった歴史があります。
元々、魔法とは非凡な才能を持った人間のみの特権だったのです。
しかし、これを少しでも多くの人々が使えるようにしようと試行錯誤していった結果、普及にこそ成功したものの、突出した強大な魔法の数々は失われてしまいました。
非凡な才能とは、すなわち絶大な魔力容量。
つまり、失われた魔法とはかつての勇者たちのような非凡な魔力容量にも耐えれるだけの術式強度だったということです。
そういった諸々を鑑みるに、現在の魔法は残念ながら勇者であるタローには、そもそもの規格が合ってないのでしょうね。
現状、勇者専用魔法である【超勇者形態】と【神撃鳥】を除いた魔法の習得は難しいと考えるべきでしょう」
そんな仮説を立てた上で、グリフィンは提案する。
「但し、【強化系】および【属性付与】は別です。
これらは【基礎魔法】と呼ばれる魔法の一種で、【強化系】に関しては魔法を構成する術式が最も単純であるため、他の魔法と違って上限なしに魔力を投与することが理論上可能となっています。
【属性付与】は、増強した魔力の属性を変換するだけですので、これもまた上限はありません」
「つまり近接戦闘で使えそうな魔法は、勇者の僕でも扱えそうって、そーゆーこと?」
タローが要約する。
「そうですね。他者への支援となるとまた別の話になりますが、少なくとも自身の増強および属性付与は問題ないでしょう」
グリフィンは、肯定の意を述べる。
「とはいえ、【勇者特権】をはじめとするスキルなど、勇者の血統にはいろいろと謎も多い。
思いもよらない形で阻害があるかもしれません。通常の【基礎魔法】習得法を試みながら、その都度それがほんとにあなたに適しているか検証していきましょう」
それは過去。
エリザベス外交旅団に勇者パーティーが参加し、世界を回っていた時期。
何処かの街の外。
グリフィンより指導を受け、魔法の練習に励むタロー。
●【炎属性】×【射撃】×【敵単体】
▼勇者は 呪文を唱えた!【大失敗】
【ファイアーボール】発動!
手のひらに誕生した焔が異常な収縮を起こし、次の瞬間破裂する。
大爆発。自身の炎魔法に焼かれ、勇者は後方へ吹き飛ばされる。
「ぶへぇあッッ!!?」
変な悲鳴が溢れる我等が勇者。
実に不様である。
「ちょっ、タロー!!?」
グリフィンが懸けよっていく。
十数分後。
医療魔法により完治したタローとグリフィンは、一度休憩を挟むことにした。
「一般的に魔法の鍛練においては、まず“出力の上限をあげる”ところからスタートします。初心者はそもそも魔力の放出方法なんてわからないわけで、その感覚を体得するところから始めるんです」
グリフィンが説明をはじめる。
「しかし、タローの場合は勇者の特質として超人的な魔力容量を兼ね備えており、且つそれらを超勇者形態で常に最大限発露することに慣れているため、“精緻な魔力操作”。
つまりは魔力を出力する加減がわからないということなのでしょう」
一方、勇者当人はわかってるのかわかってないのかよくわからない表情を浮かべている。
「かつての勇者たちは魔法も十全に使用していたと聞きますが、そもそも魔法自体が時代と共に大衆化していった歴史があります。
元々、魔法とは非凡な才能を持った人間のみの特権だったのです。
しかし、これを少しでも多くの人々が使えるようにしようと試行錯誤していった結果、普及にこそ成功したものの、突出した強大な魔法の数々は失われてしまいました。
非凡な才能とは、すなわち絶大な魔力容量。
つまり、失われた魔法とはかつての勇者たちのような非凡な魔力容量にも耐えれるだけの術式強度だったということです。
そういった諸々を鑑みるに、現在の魔法は残念ながら勇者であるタローには、そもそもの規格が合ってないのでしょうね。
現状、勇者専用魔法である【超勇者形態】と【神撃鳥】を除いた魔法の習得は難しいと考えるべきでしょう」
そんな仮説を立てた上で、グリフィンは提案する。
「但し、【強化系】および【属性付与】は別です。
これらは【基礎魔法】と呼ばれる魔法の一種で、【強化系】に関しては魔法を構成する術式が最も単純であるため、他の魔法と違って上限なしに魔力を投与することが理論上可能となっています。
【属性付与】は、増強した魔力の属性を変換するだけですので、これもまた上限はありません」
「つまり近接戦闘で使えそうな魔法は、勇者の僕でも扱えそうって、そーゆーこと?」
タローが要約する。
「そうですね。他者への支援となるとまた別の話になりますが、少なくとも自身の増強および属性付与は問題ないでしょう」
グリフィンは、肯定の意を述べる。
「とはいえ、【勇者特権】をはじめとするスキルなど、勇者の血統にはいろいろと謎も多い。
思いもよらない形で阻害があるかもしれません。通常の【基礎魔法】習得法を試みながら、その都度それがほんとにあなたに適しているか検証していきましょう」
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