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第二章 I think I can
#19 覚醒
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刹那、フォーチュンは感知する。
紅狼から発せられる急激な霊力の上昇。
それは彼女たち魔術の界隈における領分。
▼霊匣/接続
術式種別/魔眼系
▽見えざるものを視る心 宿すのは瞳 捉えるは不可視
視覚拡張術式/真眼 発動。
その機能の一つにより、霊力をサーモグラフィのように視覚化する。
生命に宿る不可視の心臓・霊匣。
通常、霊匣は閉じた状態で宿主に霊力を供給する。
それは一般人をはじめ、超常の力を行使する魔術師たちも同じこと。
だが世の中にはごく稀に、
この霊匣を開く者たちが存在する。
【覚醒】。霊匣が開く現象を、魔術師たちはそう呼んでいる。
霊匣には、その存在がその存在たらしめる世界観・【起原】が内包されており、【覚醒】した者はそれを自在に出力し、感覚的に扱うことが可能となる。
魔術師たちは、こうした霊匣を開いた者たちを【覚醒者】と呼んでいる。
「だったらその強がり。どこまで続くか―――― 」
覚悟を持った相手には、己もまた相応の覚悟を賭して応じるのが礼節。
それが、紅狼が持つ『強者としての矜持』。
「――― 試してやんよォッッ」
■霊匣/開放
起原/天暴狼 出力展開
刹那、紅狼の肉体より紅蓮の炎が、勢いよく噴出される。
殺し屋養成機関・伏魔殿とは、魔星。
すなわち、覚醒者を生み出すための機関だったのだ。
紅狼の起原/天暴狼。
その能力は、焔の発現。
覚醒者の中でも、最もポピュラーな能力である。
しかし常識的に考えて、超常の存在である覚醒者に対して、何一つ超常の力を持たない者が勝つことなど到底不可能。
故にフォーチュンは覚悟して、手に携えた白亜の装飾杖を力強く握りしめる。
(わたくしが、どうにかしなくちゃ……… )
一方、真神正義も本能的に悟っていた。
あの摩訶不思議人体発火が事故や偶発の産物などではなく、紅狼の意志によってもたらされた武装であることを。
故に感覚を研ぎ澄まし、拳を固めて、より一層身構える。
―――― 来るっ!
□起原展開/天暴狼
両腕部集中/出力固定
「超獸戯画っ!」
それは形意拳。動物や昆虫などの動きを真似た中国武術の一種である。
擬態するのは、狼。
「――― 紅蓮爪ッッ」
炎の鉤爪。強靭な瞬発力で、距離を一気に詰めていく。
橙色の灼熱をその軌跡に辿らせながら、獰猛な獣の爪を剛胆に叩きつける。
緊急回避。セイギは身体を翻して、それを間一髪でギリギリ躱す。
タイミングは完璧だった。
しかし、
「熱ッッ!?」
後続する摂氏2500度の熱量からは逃れられない。
「オラオラオラオラぁーーーーーーーッ」
無作為に。だが流麗に。
容赦なく襲いかかってくる烈火の狼爪。
一撃一撃から繰り出される威圧は、その攻撃力を物語る。
セイギは必死の形相で、それらを躱していくものの、後続する灼熱が確実にその肉体を蝕み、体力を徐々に削り取っていく。
□起原展開/天暴狼
右脚部集中/出力固定
「――― 炎馬蹄ッ!!」
今度は、馬に擬態する。
煌々と輝く紅蓮の右回し蹴り。その蹄が、顔面目掛けて飛んでくる。
絶妙なタイミング。
虚を衝かれたセイギは回避不能と判断。
やむなく両腕で左側にガードを固める。
バァンッ。骨まで響く衝撃と暴虐的な火焔が、彼の腕に容赦なく喰らいつく。
「ぐおおおおおおおおおおおおうッッ」
その苦痛に耐えようと、鬼気迫る表情で歯を喰いしばり、眼孔を剥きだす。
どうにか堪えきるも、セイギの精神力は大幅に削られ、その腕は火傷を伴いズタズタだ。
その隙を、紅狼は決して見逃しはしなかった。
すぐさまセイギ目掛けて、紅蓮爪が迫り来る。
紅狼から発せられる急激な霊力の上昇。
それは彼女たち魔術の界隈における領分。
▼霊匣/接続
術式種別/魔眼系
▽見えざるものを視る心 宿すのは瞳 捉えるは不可視
視覚拡張術式/真眼 発動。
その機能の一つにより、霊力をサーモグラフィのように視覚化する。
生命に宿る不可視の心臓・霊匣。
通常、霊匣は閉じた状態で宿主に霊力を供給する。
それは一般人をはじめ、超常の力を行使する魔術師たちも同じこと。
だが世の中にはごく稀に、
この霊匣を開く者たちが存在する。
【覚醒】。霊匣が開く現象を、魔術師たちはそう呼んでいる。
霊匣には、その存在がその存在たらしめる世界観・【起原】が内包されており、【覚醒】した者はそれを自在に出力し、感覚的に扱うことが可能となる。
魔術師たちは、こうした霊匣を開いた者たちを【覚醒者】と呼んでいる。
「だったらその強がり。どこまで続くか―――― 」
覚悟を持った相手には、己もまた相応の覚悟を賭して応じるのが礼節。
それが、紅狼が持つ『強者としての矜持』。
「――― 試してやんよォッッ」
■霊匣/開放
起原/天暴狼 出力展開
刹那、紅狼の肉体より紅蓮の炎が、勢いよく噴出される。
殺し屋養成機関・伏魔殿とは、魔星。
すなわち、覚醒者を生み出すための機関だったのだ。
紅狼の起原/天暴狼。
その能力は、焔の発現。
覚醒者の中でも、最もポピュラーな能力である。
しかし常識的に考えて、超常の存在である覚醒者に対して、何一つ超常の力を持たない者が勝つことなど到底不可能。
故にフォーチュンは覚悟して、手に携えた白亜の装飾杖を力強く握りしめる。
(わたくしが、どうにかしなくちゃ……… )
一方、真神正義も本能的に悟っていた。
あの摩訶不思議人体発火が事故や偶発の産物などではなく、紅狼の意志によってもたらされた武装であることを。
故に感覚を研ぎ澄まし、拳を固めて、より一層身構える。
―――― 来るっ!
□起原展開/天暴狼
両腕部集中/出力固定
「超獸戯画っ!」
それは形意拳。動物や昆虫などの動きを真似た中国武術の一種である。
擬態するのは、狼。
「――― 紅蓮爪ッッ」
炎の鉤爪。強靭な瞬発力で、距離を一気に詰めていく。
橙色の灼熱をその軌跡に辿らせながら、獰猛な獣の爪を剛胆に叩きつける。
緊急回避。セイギは身体を翻して、それを間一髪でギリギリ躱す。
タイミングは完璧だった。
しかし、
「熱ッッ!?」
後続する摂氏2500度の熱量からは逃れられない。
「オラオラオラオラぁーーーーーーーッ」
無作為に。だが流麗に。
容赦なく襲いかかってくる烈火の狼爪。
一撃一撃から繰り出される威圧は、その攻撃力を物語る。
セイギは必死の形相で、それらを躱していくものの、後続する灼熱が確実にその肉体を蝕み、体力を徐々に削り取っていく。
□起原展開/天暴狼
右脚部集中/出力固定
「――― 炎馬蹄ッ!!」
今度は、馬に擬態する。
煌々と輝く紅蓮の右回し蹴り。その蹄が、顔面目掛けて飛んでくる。
絶妙なタイミング。
虚を衝かれたセイギは回避不能と判断。
やむなく両腕で左側にガードを固める。
バァンッ。骨まで響く衝撃と暴虐的な火焔が、彼の腕に容赦なく喰らいつく。
「ぐおおおおおおおおおおおおうッッ」
その苦痛に耐えようと、鬼気迫る表情で歯を喰いしばり、眼孔を剥きだす。
どうにか堪えきるも、セイギの精神力は大幅に削られ、その腕は火傷を伴いズタズタだ。
その隙を、紅狼は決して見逃しはしなかった。
すぐさまセイギ目掛けて、紅蓮爪が迫り来る。
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