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第2章 借金返済こそが魔王討伐への近道
二十六話 そういえばそんな約束をした気がする
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イルカと一緒に、ペムスの調査依頼を受けた次の日。
今度は、メロに呼び出され、冒険者の間で有名な廃墟に向かうことになった。
「はぁ~あ……せっかくの休みだってのに、どうして俺を呼ぶんだよ?」
「ごめんね。でも、ハルト君のことは一度だけ好きに使えるって約束したからさぁ」
そういえばそんな約束をした気がする。
災難続きで、約束のことなんて忘れてしまった。
俺はあくびをしながら、重い足を前へと運ぶ。
「昨日は、イルカと馬鹿みたいに飲んだから、重力が倍になった気分だ……」
「えっ。ズルくない? 僕とブラウス君は夜が更けるまで働いていたっていうのに……」
「そんな羨ましいもんじゃないぞ? イルカがペムスのことを浄化しに行かないように、何万ゴルドも使うことになったんだからな」
「あー、それは大変かも」
イルカの性格をよく理解しているからこそ、メロも俺の苦労を分かってくれたみたいだ。
「そういえば、ペムス君って、デズを生み出したアンデッドだよね? 蘇生スキルを使えるなんて、憧れちゃうなぁ~」
「ん? メロは蘇生スキルなんて無くても、チートスキルを持っているだろう?」
「トレード出来るだけだと、行動に制限がかかるからね。常に選択肢は多ければ多いほど、僕の才能が輝くってもんだよ」
メロにトレードスキルの他にも、蘇生スキルなんて加わったら、それこそ鬼に金棒だ。
神様が不平等ではなく、平等にスキルを振り分けてくれるなら、メロに蘇生スキルが付与されることはないだろう。
「……それなのに、今の僕は借金まみれのパーティーに強制加入……そろそろ僕を解放してくれてもいいんだよ?」
「逃すわけねぇだろ? それに、俺のユニークスキルはどうやら解除することが出来ないらしいからな。半永久的に俺たちと一緒に冒険だ」
「僕の願いは儚く散りましたと……」
メロは俺の無慈悲な返答に肩を落として、がっかりする。
俺らが与太話をしている間に、廃墟らしき片鱗が見え始めた。
「ところで、ここには何しに来たんだ?」
メロにはついて来て欲しいと言われただけで、目的の概要を全く説明されていない。
見るからに怪しげな屋敷で、入ったら二度と出られない雰囲気が漂っている。
「そういえば、まだ話していなかったね。ここは、かの有名な『ブレイド・ジャックの館』なんだよ!」
「…………ごめん、知らない」
俺が知らないことに、メロは驚いた表情をしたが、すぐに冷静さを取り戻し、説明を再開する。
「……そっか……まあ、そういう有名な冒険家がいてね。この館には、ブレイド・ジャックが集めた宝がそのままになっているんだ」
「へぇ~……それなら、他の冒険者が噂を聞きつけて、宝は全部無くなっているんじゃないか?」
「そうだよね! そこに疑問を持つのが当たり前だよね?!」
いつも以上にテンションの高いメロが、俺の目の前まで顔を近づける。
鼻息の荒さが、ブラウスが剣を説明する時と似ていて、ちょっと面白い。
廃墟の目の前まで来ると、俺たちは今にも壊れそうな扉から中に入ることにした。
廃墟の中には、無造作に置かれた甲冑と、誰が描いたか分からない絵画が、ズレて飾れている。
「でもね。『ブレイド・ジャックの館』から宝が盗み出されたことは一度たりともないんだよ」
「それはどうしてだ?」
「いくつか噂があるんだけど、大体は館に入ったら出られない人が多いみたいだね」
「そういうのは、入る前に言えよ?!」
「ハルト君は馬鹿なのかい? 入る前にそんなことを言ったら、引き返すことになるだろう」
「ふざけんなっ! 俺は意地でも逃げ出して……」
入って来たドアノブを回すと、ぷつりと何かが切れたような音がして、外から爆発音が聞こえた。
次の瞬間、俺たちが通ってきた道は完全に塞がれてしまい、外に出ることが出来なくなった。
「窓だ! 窓からなら、出られるはず……」
だが、手をかけるところには棘がびっしりと敷き詰めれていて、とても素手で触れるようなものではない。
「ね? ここから出るにはブレイド・ジャックのお宝を盗み出すしかない! 僕たち二人で頑張ろう?!」
妙にやる気なメロとは裏腹に、俺は今すぐにでもこの館から抜け出して、のんびりと休日を過ごしたいなと思った。
今度は、メロに呼び出され、冒険者の間で有名な廃墟に向かうことになった。
「はぁ~あ……せっかくの休みだってのに、どうして俺を呼ぶんだよ?」
「ごめんね。でも、ハルト君のことは一度だけ好きに使えるって約束したからさぁ」
そういえばそんな約束をした気がする。
災難続きで、約束のことなんて忘れてしまった。
俺はあくびをしながら、重い足を前へと運ぶ。
「昨日は、イルカと馬鹿みたいに飲んだから、重力が倍になった気分だ……」
「えっ。ズルくない? 僕とブラウス君は夜が更けるまで働いていたっていうのに……」
「そんな羨ましいもんじゃないぞ? イルカがペムスのことを浄化しに行かないように、何万ゴルドも使うことになったんだからな」
「あー、それは大変かも」
イルカの性格をよく理解しているからこそ、メロも俺の苦労を分かってくれたみたいだ。
「そういえば、ペムス君って、デズを生み出したアンデッドだよね? 蘇生スキルを使えるなんて、憧れちゃうなぁ~」
「ん? メロは蘇生スキルなんて無くても、チートスキルを持っているだろう?」
「トレード出来るだけだと、行動に制限がかかるからね。常に選択肢は多ければ多いほど、僕の才能が輝くってもんだよ」
メロにトレードスキルの他にも、蘇生スキルなんて加わったら、それこそ鬼に金棒だ。
神様が不平等ではなく、平等にスキルを振り分けてくれるなら、メロに蘇生スキルが付与されることはないだろう。
「……それなのに、今の僕は借金まみれのパーティーに強制加入……そろそろ僕を解放してくれてもいいんだよ?」
「逃すわけねぇだろ? それに、俺のユニークスキルはどうやら解除することが出来ないらしいからな。半永久的に俺たちと一緒に冒険だ」
「僕の願いは儚く散りましたと……」
メロは俺の無慈悲な返答に肩を落として、がっかりする。
俺らが与太話をしている間に、廃墟らしき片鱗が見え始めた。
「ところで、ここには何しに来たんだ?」
メロにはついて来て欲しいと言われただけで、目的の概要を全く説明されていない。
見るからに怪しげな屋敷で、入ったら二度と出られない雰囲気が漂っている。
「そういえば、まだ話していなかったね。ここは、かの有名な『ブレイド・ジャックの館』なんだよ!」
「…………ごめん、知らない」
俺が知らないことに、メロは驚いた表情をしたが、すぐに冷静さを取り戻し、説明を再開する。
「……そっか……まあ、そういう有名な冒険家がいてね。この館には、ブレイド・ジャックが集めた宝がそのままになっているんだ」
「へぇ~……それなら、他の冒険者が噂を聞きつけて、宝は全部無くなっているんじゃないか?」
「そうだよね! そこに疑問を持つのが当たり前だよね?!」
いつも以上にテンションの高いメロが、俺の目の前まで顔を近づける。
鼻息の荒さが、ブラウスが剣を説明する時と似ていて、ちょっと面白い。
廃墟の目の前まで来ると、俺たちは今にも壊れそうな扉から中に入ることにした。
廃墟の中には、無造作に置かれた甲冑と、誰が描いたか分からない絵画が、ズレて飾れている。
「でもね。『ブレイド・ジャックの館』から宝が盗み出されたことは一度たりともないんだよ」
「それはどうしてだ?」
「いくつか噂があるんだけど、大体は館に入ったら出られない人が多いみたいだね」
「そういうのは、入る前に言えよ?!」
「ハルト君は馬鹿なのかい? 入る前にそんなことを言ったら、引き返すことになるだろう」
「ふざけんなっ! 俺は意地でも逃げ出して……」
入って来たドアノブを回すと、ぷつりと何かが切れたような音がして、外から爆発音が聞こえた。
次の瞬間、俺たちが通ってきた道は完全に塞がれてしまい、外に出ることが出来なくなった。
「窓だ! 窓からなら、出られるはず……」
だが、手をかけるところには棘がびっしりと敷き詰めれていて、とても素手で触れるようなものではない。
「ね? ここから出るにはブレイド・ジャックのお宝を盗み出すしかない! 僕たち二人で頑張ろう?!」
妙にやる気なメロとは裏腹に、俺は今すぐにでもこの館から抜け出して、のんびりと休日を過ごしたいなと思った。
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