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ローストテールと二人のリーダー
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部屋へと戻ったウェンはアイザックへ先に行っててと伝えると洗面台で顔をバシャバシャと洗っていた。風呂上がりの二人に思わず見惚れてしまった。
しっとりと濡れた髪は艶めいていて汗ばんだ首筋に色気を感じた。ミューラのたまに覗くスラリと伸びた長い脚やイリヤの圧倒的な胸に吸い寄せられてしまったのだ。
もちろん美人だということは他の冒険者から言い寄られる所を見てきたので分かってはいた。ただ孤児院で一緒に過ごしてきたので二人は家族のようなものだ。
そんな二人に見惚れたことにウェンは少なくない衝撃を受けた。だからこうやって頭を冷やそうとしているのに二人の姿が脳内から離れることはない。
「ウェン!もう皆待ってるよ!なにしてるの?」
これからどんな顔で会えば良いのか悩んでいるとドア越しに自分を呼ぶミューラの声が聞こえてくる。
「ごめん今行く!」
濡れている顔を急いでタオルで拭くとドアを開ける。そのあまりにも必死な様子にミューラはくすくすと笑っていた。
「何でそんなに焦ってるの?変なことでもしてた?」
「そんなことしてないよ!」
そんなからかいのおかげか普段の調子が出てきた感じがする。その事にホッとしながら魔道エレベーターへと向かうとミューラの言う通り皆が待っていた。
「お待たせしました!」
「やっと来たか。さっきからアイザックの腹の虫が凄いんだ。それなのに待たせたら可哀想だろ」
「凄かった。こないだ戦ったキマイラの咆哮より迫力があった」
ゴールドランクが相手をするような魔物より迫力があると言われたアイザックの顔は真っ赤になっている。そのまま魔導エレベーターで二階へ向かうと宴の間は沢山の人で溢れかえっていた。
「お待ちしておりました。新緑のそよ風ご一行様ですね。席へご案内致します」
席へと通されたウェンは期待で胸がいっぱいだった。中央には見たこともないほど豪華な料理が所狭しと並べられている。そこから漂ってくる匂いや周りで食べている人を見るだけで涎が止めどなく出てきた。
「こちらの席をお使いください。説明は必要でしょうか?」
「いや。俺がするから大丈夫だ。これ以上腹の虫を待たせたら襲われそうで怖いからな」
「畏まりました。それではごゆっくりお楽しみくださいませ」
先程から聞こえないフリをしていたがアイザックの腹の鳴り方が本当に凄い。これはキマイラ以上と言われるのも納得できるほどの貫禄だ。
「おっしゃ!それじゃあ行くか!」
「注文しに行くんですか?」
「ここはそんなめんどくさいことはしない。月光苑はバイキングってシステムで、ここにある料理を全て食べ放題だ」
「食べ放題!?」
「あぁ。どれだけ料理を取っても何度おかわりしても良いんだ。腹がはち切れると思うくらいに食って食って食いまくれ!」
バイキングなんて言葉を今まで聞いたことがない。そんなことをしたら食欲旺盛な冒険者達によって月光苑は破産してしまうではないか。しかし周りの客を見てみると皿が空になったら席を立って再び料理を取りに行っている。どうやら食べ放題というのは本当のようだ。
「ミューラとイリヤは三人に任せる。ウェンとアイザックは俺と一緒に行くぞ」
デュオールに着いていくと料理が見えてきたが、それを料理と呼んでいいのか分からないくらいに美しい。普段食べに行くような料理屋ではお目にかかれない料理が大皿に盛られて沢山並んでいる。
「このトレイに皿を乗せたら準備完了だ。まずは自分の好きなように料理を取ってみろ」
その言葉にアイザックは弾かれたように一目散に肉料理へと向かっていった。その後を追ってたどり着いた頃にはアイザックは自分の皿に揚げた肉料理を山盛りにしている。
「うわ。そんなに沢山食べられるの?」
「問題ない」
少しでもバランスを崩したら崩壊しそうな量を器用に乗せている。大皿の横に置かれたメニューを見ると積まれているものは唐揚げという名前らしい。どうやら下味をつけた鳥肉に衣をつけて揚げた料理のようだ。
その後もアイザックは肉を中心にどんどん取っていく。その横でウェンも気になる物を取っていたら皿がいっぱいになった。テーブルに戻ると既にミューラ達は戻っていたようでアイザックのトレイを見て目をまん丸にした。
「すごい量!よくそんなに盛ってるのに落とさないね。あたしなら絶対に崩しちゃう!」
アイザックの皿は肉のタワーと呼べるものになっていた。他の料理など一切いらぬと言わんばかりに肉だけを大量に盛られたそれは見ているだけで胃もたれを感じる。
「そういうミューラも中々偏っているな」
そんな肉肉しいアイザックとは対照的にミューラの皿はやたらと緑が多かった。焼きや茹でなど様々ではあるものの、その殆どが野菜である。特に皿一つを生野菜のサラダに使っていることに野菜への執念が感じられた。
「仕方ないじゃない!生野菜なんて中々食べられないんだから!それにリリアさんを見てごらんなさいよ!」
野菜を生で食べるには新鮮さが必要だが、ワーデルの街は近くに野菜を作っている村がない。そのため生野菜を食べられるのは早馬を使って届けさせる裕福な家庭くらいだろう。
そんな中でミューラから名指しされたリリアの皿は八割以上が生野菜だった。そして残りの二割は果物になっている。ミューラ以上の野菜っぷりに全員が思わず二度見した。
「……エルフは野菜や果物を好みます」
そんな驚愕の視線を向けられたリリアは恥ずかしそうに頬を染めながらそんな言い訳をしている。他にもデュオールは酒のアテになるような濃い味の料理ばかりだし、ナターシャとミアは魚料理を多く取っていた。
「そりゃ酒がメインなんだから合うもの取ってこなきゃダメだろ」
「ワタシの故郷は港町でね。つい魚があると取っちゃうんだよ」
「ミアは猫獣人。だから魚がジャスティス」
どうやらバイキングにはそれぞれの好みが如実に現れるようだ。
「まぁまぁ。好きなものを食べればいいじゃないですか」
「いやイリヤが一番酷いのよ!」
落ち着いてと宥めるイリヤの皿をミューラが指差した。皿には見ただけで口の中が甘くなるほどにデザートが大量に乗せられている。
「いいじゃないですか!デザートは買うと高いんですよ!それが食べ放題なんて天国はここにあったんですね」
イリヤが言った通りデザートは高い。そもそも使われる砂糖が高いのだから当然ではある。小袋に入ったクッキーで銀貨一枚なんだから、デザートは庶民が気軽に食べられるものではなかった。
それなのに月光苑にはクッキーと比べ物にならないほど洗練されたデザートが所狭しと並んでいて、しかも全てが食べ放題ときた。その衝撃にイリヤは天国とはここだったんだと目を輝かせている。
「まあ人が食べるものにケチをつけちゃダメだよね。とりあえず冷める前に食べようか」
「そういうウェンはどうなの!」
ウェンの皿には肉や魚に野菜とバランスよく盛られており、更には色味も意識したのか色鮮やかな盛り付けになっていた。
「普通ね」
「普通に美味しそうですね」
誰よりも手本のような盛り付けのはずなのになぜか白けた空気が流れている。そこに先程ふらりと席を立っていたデュオールが酒を片手に戻ってきた。
「なんだまだ食ってなかったのか。俺は食うぞ。いただきます」
「なんですか?それ」
「オーナーの故郷の言葉らしい。食べる時はいただきます。食べ終わった時はごちそうさまと言うらしいぞ」
「そうなんですか。それなら僕もいただきます」
それに続いて全員でいただきますをしたところで料理を口に運ぶ。
「美味しい」
最初に選んだのはスクランブルエッグだ。実はウェンは卵を食べるのはこれが初めてだった。孤児院でニワトリを飼っていたが、卵は高値のために全て売られて食べたことがない。そんな子どもの頃から憧れてきた卵がこうして食べれて少しだけ涙が出そうだった。
「卵ってこんな味だったんだ」
「卵ってこんな味だったんですね」
思わず口に出したウェンとイリヤの言葉が被った。見るとイリヤは瓶に入った黄色いぷるぷるとしたデザートを食べている。
「これはプリンといって卵を使ったデザートみたいです。もし卵が好きなら試してみてください。これはダメですよ?私のですから。んーっ!美味しいです!」
スプーンでプリンをすくって口に入れたイリヤはその味わいに身悶えしていた。それを見せられたウェンは絶対プリンを取ってこようと心に決める。
スクランブルエッグ以外も全て美味しくて夢中になって食べていると皿はあっという間に空になってしまった。次を取ってこようと立ち上がったウェンにデュオールが待ったをかける。
「お腹は少しだけ空けておけ。じゃないと後で後悔するぞ」
「後悔ですか?」
「噂をすればだな。月光苑のメインディッシュが来たぞ」
突如ファンファーレが鳴って一台のカートが運ばれてくる。その上にはクローシュで隠された大皿が乗せられていた。その瞬間に客の雰囲気が変わってどこかピリピリとした空気になっている。
これからなにが起きるのかと不思議になったウェンはデュオールに聞こうと視線を向ける。するとデュオールはこれから戦いに向かうような鋭い目つきで席に座っていた。
しっとりと濡れた髪は艶めいていて汗ばんだ首筋に色気を感じた。ミューラのたまに覗くスラリと伸びた長い脚やイリヤの圧倒的な胸に吸い寄せられてしまったのだ。
もちろん美人だということは他の冒険者から言い寄られる所を見てきたので分かってはいた。ただ孤児院で一緒に過ごしてきたので二人は家族のようなものだ。
そんな二人に見惚れたことにウェンは少なくない衝撃を受けた。だからこうやって頭を冷やそうとしているのに二人の姿が脳内から離れることはない。
「ウェン!もう皆待ってるよ!なにしてるの?」
これからどんな顔で会えば良いのか悩んでいるとドア越しに自分を呼ぶミューラの声が聞こえてくる。
「ごめん今行く!」
濡れている顔を急いでタオルで拭くとドアを開ける。そのあまりにも必死な様子にミューラはくすくすと笑っていた。
「何でそんなに焦ってるの?変なことでもしてた?」
「そんなことしてないよ!」
そんなからかいのおかげか普段の調子が出てきた感じがする。その事にホッとしながら魔道エレベーターへと向かうとミューラの言う通り皆が待っていた。
「お待たせしました!」
「やっと来たか。さっきからアイザックの腹の虫が凄いんだ。それなのに待たせたら可哀想だろ」
「凄かった。こないだ戦ったキマイラの咆哮より迫力があった」
ゴールドランクが相手をするような魔物より迫力があると言われたアイザックの顔は真っ赤になっている。そのまま魔導エレベーターで二階へ向かうと宴の間は沢山の人で溢れかえっていた。
「お待ちしておりました。新緑のそよ風ご一行様ですね。席へご案内致します」
席へと通されたウェンは期待で胸がいっぱいだった。中央には見たこともないほど豪華な料理が所狭しと並べられている。そこから漂ってくる匂いや周りで食べている人を見るだけで涎が止めどなく出てきた。
「こちらの席をお使いください。説明は必要でしょうか?」
「いや。俺がするから大丈夫だ。これ以上腹の虫を待たせたら襲われそうで怖いからな」
「畏まりました。それではごゆっくりお楽しみくださいませ」
先程から聞こえないフリをしていたがアイザックの腹の鳴り方が本当に凄い。これはキマイラ以上と言われるのも納得できるほどの貫禄だ。
「おっしゃ!それじゃあ行くか!」
「注文しに行くんですか?」
「ここはそんなめんどくさいことはしない。月光苑はバイキングってシステムで、ここにある料理を全て食べ放題だ」
「食べ放題!?」
「あぁ。どれだけ料理を取っても何度おかわりしても良いんだ。腹がはち切れると思うくらいに食って食って食いまくれ!」
バイキングなんて言葉を今まで聞いたことがない。そんなことをしたら食欲旺盛な冒険者達によって月光苑は破産してしまうではないか。しかし周りの客を見てみると皿が空になったら席を立って再び料理を取りに行っている。どうやら食べ放題というのは本当のようだ。
「ミューラとイリヤは三人に任せる。ウェンとアイザックは俺と一緒に行くぞ」
デュオールに着いていくと料理が見えてきたが、それを料理と呼んでいいのか分からないくらいに美しい。普段食べに行くような料理屋ではお目にかかれない料理が大皿に盛られて沢山並んでいる。
「このトレイに皿を乗せたら準備完了だ。まずは自分の好きなように料理を取ってみろ」
その言葉にアイザックは弾かれたように一目散に肉料理へと向かっていった。その後を追ってたどり着いた頃にはアイザックは自分の皿に揚げた肉料理を山盛りにしている。
「うわ。そんなに沢山食べられるの?」
「問題ない」
少しでもバランスを崩したら崩壊しそうな量を器用に乗せている。大皿の横に置かれたメニューを見ると積まれているものは唐揚げという名前らしい。どうやら下味をつけた鳥肉に衣をつけて揚げた料理のようだ。
その後もアイザックは肉を中心にどんどん取っていく。その横でウェンも気になる物を取っていたら皿がいっぱいになった。テーブルに戻ると既にミューラ達は戻っていたようでアイザックのトレイを見て目をまん丸にした。
「すごい量!よくそんなに盛ってるのに落とさないね。あたしなら絶対に崩しちゃう!」
アイザックの皿は肉のタワーと呼べるものになっていた。他の料理など一切いらぬと言わんばかりに肉だけを大量に盛られたそれは見ているだけで胃もたれを感じる。
「そういうミューラも中々偏っているな」
そんな肉肉しいアイザックとは対照的にミューラの皿はやたらと緑が多かった。焼きや茹でなど様々ではあるものの、その殆どが野菜である。特に皿一つを生野菜のサラダに使っていることに野菜への執念が感じられた。
「仕方ないじゃない!生野菜なんて中々食べられないんだから!それにリリアさんを見てごらんなさいよ!」
野菜を生で食べるには新鮮さが必要だが、ワーデルの街は近くに野菜を作っている村がない。そのため生野菜を食べられるのは早馬を使って届けさせる裕福な家庭くらいだろう。
そんな中でミューラから名指しされたリリアの皿は八割以上が生野菜だった。そして残りの二割は果物になっている。ミューラ以上の野菜っぷりに全員が思わず二度見した。
「……エルフは野菜や果物を好みます」
そんな驚愕の視線を向けられたリリアは恥ずかしそうに頬を染めながらそんな言い訳をしている。他にもデュオールは酒のアテになるような濃い味の料理ばかりだし、ナターシャとミアは魚料理を多く取っていた。
「そりゃ酒がメインなんだから合うもの取ってこなきゃダメだろ」
「ワタシの故郷は港町でね。つい魚があると取っちゃうんだよ」
「ミアは猫獣人。だから魚がジャスティス」
どうやらバイキングにはそれぞれの好みが如実に現れるようだ。
「まぁまぁ。好きなものを食べればいいじゃないですか」
「いやイリヤが一番酷いのよ!」
落ち着いてと宥めるイリヤの皿をミューラが指差した。皿には見ただけで口の中が甘くなるほどにデザートが大量に乗せられている。
「いいじゃないですか!デザートは買うと高いんですよ!それが食べ放題なんて天国はここにあったんですね」
イリヤが言った通りデザートは高い。そもそも使われる砂糖が高いのだから当然ではある。小袋に入ったクッキーで銀貨一枚なんだから、デザートは庶民が気軽に食べられるものではなかった。
それなのに月光苑にはクッキーと比べ物にならないほど洗練されたデザートが所狭しと並んでいて、しかも全てが食べ放題ときた。その衝撃にイリヤは天国とはここだったんだと目を輝かせている。
「まあ人が食べるものにケチをつけちゃダメだよね。とりあえず冷める前に食べようか」
「そういうウェンはどうなの!」
ウェンの皿には肉や魚に野菜とバランスよく盛られており、更には色味も意識したのか色鮮やかな盛り付けになっていた。
「普通ね」
「普通に美味しそうですね」
誰よりも手本のような盛り付けのはずなのになぜか白けた空気が流れている。そこに先程ふらりと席を立っていたデュオールが酒を片手に戻ってきた。
「なんだまだ食ってなかったのか。俺は食うぞ。いただきます」
「なんですか?それ」
「オーナーの故郷の言葉らしい。食べる時はいただきます。食べ終わった時はごちそうさまと言うらしいぞ」
「そうなんですか。それなら僕もいただきます」
それに続いて全員でいただきますをしたところで料理を口に運ぶ。
「美味しい」
最初に選んだのはスクランブルエッグだ。実はウェンは卵を食べるのはこれが初めてだった。孤児院でニワトリを飼っていたが、卵は高値のために全て売られて食べたことがない。そんな子どもの頃から憧れてきた卵がこうして食べれて少しだけ涙が出そうだった。
「卵ってこんな味だったんだ」
「卵ってこんな味だったんですね」
思わず口に出したウェンとイリヤの言葉が被った。見るとイリヤは瓶に入った黄色いぷるぷるとしたデザートを食べている。
「これはプリンといって卵を使ったデザートみたいです。もし卵が好きなら試してみてください。これはダメですよ?私のですから。んーっ!美味しいです!」
スプーンでプリンをすくって口に入れたイリヤはその味わいに身悶えしていた。それを見せられたウェンは絶対プリンを取ってこようと心に決める。
スクランブルエッグ以外も全て美味しくて夢中になって食べていると皿はあっという間に空になってしまった。次を取ってこようと立ち上がったウェンにデュオールが待ったをかける。
「お腹は少しだけ空けておけ。じゃないと後で後悔するぞ」
「後悔ですか?」
「噂をすればだな。月光苑のメインディッシュが来たぞ」
突如ファンファーレが鳴って一台のカートが運ばれてくる。その上にはクローシュで隠された大皿が乗せられていた。その瞬間に客の雰囲気が変わってどこかピリピリとした空気になっている。
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