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間話5
蛇蝎の名に刻んだ覚悟
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「最初に断っておくけど本当に女々しい話だからね?」
そう前置きしたタリスは用意されたスピリタスを一気に飲み干した。
「ちょっとタリスさん!それとんでもなく強いお酒ですよね!?それを一気飲みするなんて倒れちゃいますよ!」
レベッカは興味本位でバーのマスターに一番高いアルコール度数のお酒を聞いたことがあった。その答えとして名前が上がったのがたった今タリスが飲み干したスピリタスだ。スピリタスは七十回以上繰り返す蒸留の果てに出来る、アルコール度数が脅威の九十六度というお酒だ。
火を近づければ簡単に引火するほど強い酒を一気飲みしたタリスをレベッカが心配するが、当の本人は何ともなさそうな顔をしている。
「心配しないで大丈夫だよ。僕は毒物に強い耐性があるんだ。アルコールも毒物みたいなものだからね」
「強い耐性。ククルと一緒?」
「あはは。そう言われるとそうかもしれない。一緒だね」
「白いお兄ちゃんと一緒なの嬉しい!」
変なところで共通点が見つかったククルは嬉しそうな顔でニコニコとしていた。
「じゃあお酒も入れたところで話を始めようか。まず僕の生い立ちから話そう。僕は毒蠍族の次期族長と影蛇族の族長の娘との間に生まれたハーフだ」
「ということはタリスさんは二つの種族の族長の血を継いでいる高貴な血統ということですか」
「そんな良いものじゃないよ。人間の貴族と違って原始的な暮らしをしている野蛮な部族に過ぎないさ。それに二人とも族長に反対される中で駆け落ち同然で結ばれた。その末に生まれた僕は二つの部族からしたら決して認められない子だった」
「そんなことって。タリスさんは悪くないはずなのに」
「別に悲観している訳ではないよ。幸い両親ともしっかりと愛情を注いでくれたからね」
沈痛な面持ちのレベッカにタリスは気にしないでと笑い飛ばした。
「そんなこんなで三人で暮らしていたんだけど、ある時転機が訪れた。二つの部族の集落が一斉に魔物に襲われたんだ。それを僕の両親が救うと駆け落ちした裏切り者扱いだった二人が一気に英雄となった。虫のいい話かもしれないが二人にとっては生まれ育った大事な場所だ。僕はまだ幼かったけど両親が嬉しそうにしていたのを覚えているよ」
昔を懐かしむように新しく注がれたスピリタスをちびりと口にする。その時首元からリリスが出てきて催促するようにタリスの頭を尻尾でぺしぺしと叩いた。
「ごめんよリリス。レベッカちゃん。悪いけどなにか浅い器に僕と同じスピリタスを注いでもらっていいかな?リリスもお酒が大好きなんだ」
「分かりました。でもスピリタスで大丈夫ですか?タリスさんは易々と飲んでますけど、本当に強いお酒なんですよ?」
「大丈夫!リリスは蟒蛇だからさ。あ、種族は別だよ?単に大酒飲みってだけさ」
スピリタスが注がれた小皿を目の前に置かれたリリスは、顔を近づけて二股に分かれた舌でチロチロと飲み始めた。その可愛い飲み方とは裏腹に結構な速度でスピリタスは無くなっていく。よっぽど美味しいのかリリスの尻尾はふりふりと揺れていた。
「美味しいかい?それは良かった。あ、話の途中なのにすまなかったね。こうして父は正式に認められて二つの部族を統べる族長となった。二つの里が併合されて一つの大きな里となり、それを機に僕の両親と同じように番となる者も現れた」
「それはタリスさんにとっても嬉しいことですね」
「うん。あの時が一番幸せだったよ。ところがその幸せは長くは続かなかった。レベッカちゃんに問題です。二つの部族が住むのは魔大陸ですが、十年前に魔大陸で起きたことはなんでしょう?」
「十年前。あ!邪神の降臨!」
「そう正解。簡単すぎたかな?今思えば二つの部族が魔物に襲われたのも邪神の影響だったんだ。それからも幾度となく魔物の襲撃は続いて里は徐々に疲弊していった。そして限界は訪れた。里の戦士では手に負えないような魔物が群れとなってやって来たんだ」
「それじゃあ里は」
「もちろん無事では済まなかった。今なら鼻歌混じりで倒せるそれも当時の僕にはとてつもない脅威だった。震えていた僕を両親は強く抱きしめると、自分達は里に残るからお前は戦えない者と共に逃げろと言ってきた。もちろん嫌だと泣きながら縋りついたよ。そんな僕に父は族長として逃げるわけにはいかない。絶対にお前を迎えに行くから信じて待っててくれと言ったんだ」
この時点でククルとレベッカの涙腺は崩壊している。それをタリスは仕方なさそうに笑うと、ハンカチを二枚取り出して泣いてる二人に差し出した。
「父は息子から見ても公明正大な人でね。なにか悪いことをすると必ず目を見て叱ったんだ。そんな父に僕は初めて嘘を吐つかれてしまった。両親が迎えにくることはなかったんだよ。今なら理由は分かるけど子どもの頃の僕は理解しようとしなかった」
部族を守るために。小さくタリスは呟いた。
「そして思った。悪いことをして誰からも嫌われるような人間になれば父が現れてくれるんじゃないかって。どんなに強く叱られてもいいからもう一度会いたいって本気でそう思った。これが蛇蝎の原点だよ。現実を見れない子どもが蛇蝎を生み出したんだ」
これで蛇蝎の物語はおしまいとタリスは酒を飲み干した。蛇蝎に込められていたのは無垢な子どもの願いだったのだ。
「今では本気で嫌われようなんて思っちゃいないさ。それでも自分を形作った蛇蝎という生き方は魂に染み込んで取れなくなってしまった。それに良いこともあったよ。蛇蝎の名が知れ渡るにつれて散り散りになった里の住人が集まってくれるようになったんだ」
「それでですか。以前オーナーから聞いたことがあります。タリスさんは虹の招待状を使って誰もいない土地を求めたと。そこに新しく里を作っているんですね」
「そういうこと。お陰で僕は新しい族長だよ。責任のある立場は嫌だね」
肩をすくめるタリスだったが声には少しの喜色が含まれていた。なんだかんだ両親が守ろうとした里が戻ってくるのが嬉しいんだろう。そんなタリスにククルがギュッと抱きついた。
「白いお兄ちゃんは今は幸せ?」
「幸せだよ。というか僕のことより君のことだ。こっそり調べたけどククルちゃんは家に帰りたくはないんだよね?」
「……うん」
「そっか。ねぇグリム。必ず虹の招待状を取ってくることを誓うよ。だから今この瞬間に願いの前借りなんて出来ないかな?」
願いの前借りなんて聞いたことがない。それでもタリスは真剣だった。
「ふむ。タリスさんは虹の招待状を手に入れた実績もありますから特例として許可されるでしょう。願いはなんですか?」
「ククルちゃんを月光苑の従業員として雇ってほしい」
「承りました。その願いは私の独断で許可しましょう。それからオーナーですが、彼ならきっと虹の招待状はいつでもいいから代わりにククルに顔を見せに来いと言いそうですね」
「あはは。彼ならそう言うか。分かったよ。その条件を必ず守ろう」
自分のためにタリスがまた危ないことをしようとしている。それが分かったククルは何かを言おうとしては口を閉ざすを繰り返していた。そんなククルの頭をタリスは優しく撫でる。
「ククルちゃん。僕が君を助けるのはここまでだ。これからは自分の力で生きていくんだよ。大丈夫。ここには頼れるお姉さんやお節介なオーナーがいるんだ。絶対幸せになれるよ」
「白いお兄ちゃん……。ありがとう!またククルと会ってくれる?」
「もちろん。でもその時は白いお兄ちゃんじゃなくてタリスとして会うことになるよ。白いお兄ちゃんは今日でさよならだ。約束できるかな?」
「うん。分かった。ククル約束する」
「良い子だね。それじゃあ白いお兄ちゃんはおしまいだ」
タリスは被っていたフードを外した。そしていつも通りの飄々とした雰囲気に戻るとお酒に満足して寝てしまったリリスを首元に戻す。
「これで僕は失礼させてもらうよぉ。後のことはよろしくねぇ」
そう言い残してタリスは部屋を後にした。廊下からはいつもの鼻歌が聞こえてくる。ククルとレベッカはその鼻歌が聞こえなくなるまで耳を澄ませるのだった。
そう前置きしたタリスは用意されたスピリタスを一気に飲み干した。
「ちょっとタリスさん!それとんでもなく強いお酒ですよね!?それを一気飲みするなんて倒れちゃいますよ!」
レベッカは興味本位でバーのマスターに一番高いアルコール度数のお酒を聞いたことがあった。その答えとして名前が上がったのがたった今タリスが飲み干したスピリタスだ。スピリタスは七十回以上繰り返す蒸留の果てに出来る、アルコール度数が脅威の九十六度というお酒だ。
火を近づければ簡単に引火するほど強い酒を一気飲みしたタリスをレベッカが心配するが、当の本人は何ともなさそうな顔をしている。
「心配しないで大丈夫だよ。僕は毒物に強い耐性があるんだ。アルコールも毒物みたいなものだからね」
「強い耐性。ククルと一緒?」
「あはは。そう言われるとそうかもしれない。一緒だね」
「白いお兄ちゃんと一緒なの嬉しい!」
変なところで共通点が見つかったククルは嬉しそうな顔でニコニコとしていた。
「じゃあお酒も入れたところで話を始めようか。まず僕の生い立ちから話そう。僕は毒蠍族の次期族長と影蛇族の族長の娘との間に生まれたハーフだ」
「ということはタリスさんは二つの種族の族長の血を継いでいる高貴な血統ということですか」
「そんな良いものじゃないよ。人間の貴族と違って原始的な暮らしをしている野蛮な部族に過ぎないさ。それに二人とも族長に反対される中で駆け落ち同然で結ばれた。その末に生まれた僕は二つの部族からしたら決して認められない子だった」
「そんなことって。タリスさんは悪くないはずなのに」
「別に悲観している訳ではないよ。幸い両親ともしっかりと愛情を注いでくれたからね」
沈痛な面持ちのレベッカにタリスは気にしないでと笑い飛ばした。
「そんなこんなで三人で暮らしていたんだけど、ある時転機が訪れた。二つの部族の集落が一斉に魔物に襲われたんだ。それを僕の両親が救うと駆け落ちした裏切り者扱いだった二人が一気に英雄となった。虫のいい話かもしれないが二人にとっては生まれ育った大事な場所だ。僕はまだ幼かったけど両親が嬉しそうにしていたのを覚えているよ」
昔を懐かしむように新しく注がれたスピリタスをちびりと口にする。その時首元からリリスが出てきて催促するようにタリスの頭を尻尾でぺしぺしと叩いた。
「ごめんよリリス。レベッカちゃん。悪いけどなにか浅い器に僕と同じスピリタスを注いでもらっていいかな?リリスもお酒が大好きなんだ」
「分かりました。でもスピリタスで大丈夫ですか?タリスさんは易々と飲んでますけど、本当に強いお酒なんですよ?」
「大丈夫!リリスは蟒蛇だからさ。あ、種族は別だよ?単に大酒飲みってだけさ」
スピリタスが注がれた小皿を目の前に置かれたリリスは、顔を近づけて二股に分かれた舌でチロチロと飲み始めた。その可愛い飲み方とは裏腹に結構な速度でスピリタスは無くなっていく。よっぽど美味しいのかリリスの尻尾はふりふりと揺れていた。
「美味しいかい?それは良かった。あ、話の途中なのにすまなかったね。こうして父は正式に認められて二つの部族を統べる族長となった。二つの里が併合されて一つの大きな里となり、それを機に僕の両親と同じように番となる者も現れた」
「それはタリスさんにとっても嬉しいことですね」
「うん。あの時が一番幸せだったよ。ところがその幸せは長くは続かなかった。レベッカちゃんに問題です。二つの部族が住むのは魔大陸ですが、十年前に魔大陸で起きたことはなんでしょう?」
「十年前。あ!邪神の降臨!」
「そう正解。簡単すぎたかな?今思えば二つの部族が魔物に襲われたのも邪神の影響だったんだ。それからも幾度となく魔物の襲撃は続いて里は徐々に疲弊していった。そして限界は訪れた。里の戦士では手に負えないような魔物が群れとなってやって来たんだ」
「それじゃあ里は」
「もちろん無事では済まなかった。今なら鼻歌混じりで倒せるそれも当時の僕にはとてつもない脅威だった。震えていた僕を両親は強く抱きしめると、自分達は里に残るからお前は戦えない者と共に逃げろと言ってきた。もちろん嫌だと泣きながら縋りついたよ。そんな僕に父は族長として逃げるわけにはいかない。絶対にお前を迎えに行くから信じて待っててくれと言ったんだ」
この時点でククルとレベッカの涙腺は崩壊している。それをタリスは仕方なさそうに笑うと、ハンカチを二枚取り出して泣いてる二人に差し出した。
「父は息子から見ても公明正大な人でね。なにか悪いことをすると必ず目を見て叱ったんだ。そんな父に僕は初めて嘘を吐つかれてしまった。両親が迎えにくることはなかったんだよ。今なら理由は分かるけど子どもの頃の僕は理解しようとしなかった」
部族を守るために。小さくタリスは呟いた。
「そして思った。悪いことをして誰からも嫌われるような人間になれば父が現れてくれるんじゃないかって。どんなに強く叱られてもいいからもう一度会いたいって本気でそう思った。これが蛇蝎の原点だよ。現実を見れない子どもが蛇蝎を生み出したんだ」
これで蛇蝎の物語はおしまいとタリスは酒を飲み干した。蛇蝎に込められていたのは無垢な子どもの願いだったのだ。
「今では本気で嫌われようなんて思っちゃいないさ。それでも自分を形作った蛇蝎という生き方は魂に染み込んで取れなくなってしまった。それに良いこともあったよ。蛇蝎の名が知れ渡るにつれて散り散りになった里の住人が集まってくれるようになったんだ」
「それでですか。以前オーナーから聞いたことがあります。タリスさんは虹の招待状を使って誰もいない土地を求めたと。そこに新しく里を作っているんですね」
「そういうこと。お陰で僕は新しい族長だよ。責任のある立場は嫌だね」
肩をすくめるタリスだったが声には少しの喜色が含まれていた。なんだかんだ両親が守ろうとした里が戻ってくるのが嬉しいんだろう。そんなタリスにククルがギュッと抱きついた。
「白いお兄ちゃんは今は幸せ?」
「幸せだよ。というか僕のことより君のことだ。こっそり調べたけどククルちゃんは家に帰りたくはないんだよね?」
「……うん」
「そっか。ねぇグリム。必ず虹の招待状を取ってくることを誓うよ。だから今この瞬間に願いの前借りなんて出来ないかな?」
願いの前借りなんて聞いたことがない。それでもタリスは真剣だった。
「ふむ。タリスさんは虹の招待状を手に入れた実績もありますから特例として許可されるでしょう。願いはなんですか?」
「ククルちゃんを月光苑の従業員として雇ってほしい」
「承りました。その願いは私の独断で許可しましょう。それからオーナーですが、彼ならきっと虹の招待状はいつでもいいから代わりにククルに顔を見せに来いと言いそうですね」
「あはは。彼ならそう言うか。分かったよ。その条件を必ず守ろう」
自分のためにタリスがまた危ないことをしようとしている。それが分かったククルは何かを言おうとしては口を閉ざすを繰り返していた。そんなククルの頭をタリスは優しく撫でる。
「ククルちゃん。僕が君を助けるのはここまでだ。これからは自分の力で生きていくんだよ。大丈夫。ここには頼れるお姉さんやお節介なオーナーがいるんだ。絶対幸せになれるよ」
「白いお兄ちゃん……。ありがとう!またククルと会ってくれる?」
「もちろん。でもその時は白いお兄ちゃんじゃなくてタリスとして会うことになるよ。白いお兄ちゃんは今日でさよならだ。約束できるかな?」
「うん。分かった。ククル約束する」
「良い子だね。それじゃあ白いお兄ちゃんはおしまいだ」
タリスは被っていたフードを外した。そしていつも通りの飄々とした雰囲気に戻るとお酒に満足して寝てしまったリリスを首元に戻す。
「これで僕は失礼させてもらうよぉ。後のことはよろしくねぇ」
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