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最後の戦い①
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ヒイラギ達は聖山の麓でリッカと別れた後、4日ほどでフクシマの以前にも立ち寄った、レンガ造りの建物が立ち並ぶコミニティに辿り着いていた。
それは、トウキョウへ戻る道程のちょうど中間位にあたる地点だった。
「シノノメさん、これとか似合うと思いますよ」
ヒイラギは、ベージュの丈の長いマウンテンパーカーを手に取り、シノノメに勧めている。
ヒイラギとシノノメは二人で、洋服を買いに来ていた。
明日からノーマルの領地であるカントウに入るのに、シノノメの白装束姿では目立ち過ぎるので、代わりの服を買いに来たのだ。
ユダは別行動で、明日からの野宿生活の為の準備で買い物に行っていた。
「うーん、それじゃあこれにしようかしら」
シノノメは落ち着いた様子で軽く首をひねりながら、しげしげと手渡されたマウンテンパーカーを眺めている。
シノノメは洋服にはあまり興味がなく、ロードに仕えてからは、10年ほどずっと装束姿で通していたので、何が良いのか判別が付かなかった。
その後も、ヒイラギのコーディネートで、緑の太いパンツ、白いTシャツなどを買って店を出た。
「ふぅ」
シノノメは、洋服屋を出て通りを歩いていると、ふとため息を付いた。
「色々連れ回したので、疲れちゃいましたかね」
ヒイラギは、心配そうにその顔を覗き込む。
「いえ、久しぶりに下界に降りて、しかも、こんな大勢の人がいるコミュニティに来たから・・・何だが圧倒されてしまって」
そう話す、彼女の顔は心無しか青白く見えた。
シノノメは、道脇に喫茶店を見つけ指差す。
「ちょっと、そこでお茶でもしましょうか」
ヒイラギとシノノメは、喫茶店の屋外の席に座り、通りを歩く人々を眺めながらお茶を飲んでいた。まだ午前中で、天気も良いせいか人通りが多い。
「ありがとうございます、御馳走になっちゃって」
ヒイラギはコーヒーカップに口を付けながら、表情にすっかりと生気が戻ってきた様子のシノノメを見て一安心していた。
「いえ、こちらこそ洋服を選んでくれてありがとう」
シノノメはそう言いながらも、控えめだが見る人の気持ちが暖まるような笑顔を見せた。
ヒイラギはこのシノノメについて、最初はクールでどこか取っ付きにくい人だと思っていたが、この数日一緒にいて少し不器用なだけで温かい人柄である事を感じとっていた。
「15年ぶり位になるかしら・・・コミニティに来たのは」
「ロードに仕えてからは、聖山から降りた事が無かったから」
シノノメは、大通りを歩く人や、街並みを懐かしむように見つめている。
「コミニティでの暮しが、恋しくなかったですか?」
「最初は寂しくて、よく夜に一人で泣いていたけど、ロードや周りの人も気付かってくれたから直ぐに慣れたわ」
シノノメは、遠い過去にでも思いを馳せているのか、目を閉じてコーヒーを啜っている。
「ウチの家系の女性は、代々、ロードの身の回りの世話をする為に仕えてきたの」
「今の生活に、不満が有るわけじゃないけど・・・ヒイラギさん、あなたが少し羨ましいわ」
「えっ、どうして?私が」
シノノメの意外な言葉に、少女は驚いた表情を見せる。
「自分の意志でこうして旅をして、世の中に干渉しているんだもの」
その彼女の少し寂しげな微笑からは、本人にしか分からない苦悩が感じられた。
ヒイラギとシノノメが宿に戻って来ると、既にユダは部屋に帰って来ていた。
「お帰り、遅かったな」
ユダは、部屋に入って来たヒイラギ達に一瞬目を向けると、直ぐに自分の作業に戻る。拳銃のメンテナンスをしていたようで、窓際の丸テーブルには、分解された銃の部品とウェスが置かれていた。
「買い物の後に、お茶をしていたので」
「そうか、しばらく野宿生活が続くから今日はゆっくり休もう」
「はい」
「そうだ、シノノメさん。せっかくだし、さっき買ってきた洋服に着替えて、お昼ご飯に行きませんか」
「そうね、せっかく選んでくれた事だし・・・」
シノノメはチラッと横目で、ユダの方を見る。
「ちょっと待っていてくれ、銃を組み立て直したら直ぐに部屋の外に出るから」
ユダはその視線の意味に気付いたのか、早業で銃の整備を終わらせると、部屋の外に出た。
それは、トウキョウへ戻る道程のちょうど中間位にあたる地点だった。
「シノノメさん、これとか似合うと思いますよ」
ヒイラギは、ベージュの丈の長いマウンテンパーカーを手に取り、シノノメに勧めている。
ヒイラギとシノノメは二人で、洋服を買いに来ていた。
明日からノーマルの領地であるカントウに入るのに、シノノメの白装束姿では目立ち過ぎるので、代わりの服を買いに来たのだ。
ユダは別行動で、明日からの野宿生活の為の準備で買い物に行っていた。
「うーん、それじゃあこれにしようかしら」
シノノメは落ち着いた様子で軽く首をひねりながら、しげしげと手渡されたマウンテンパーカーを眺めている。
シノノメは洋服にはあまり興味がなく、ロードに仕えてからは、10年ほどずっと装束姿で通していたので、何が良いのか判別が付かなかった。
その後も、ヒイラギのコーディネートで、緑の太いパンツ、白いTシャツなどを買って店を出た。
「ふぅ」
シノノメは、洋服屋を出て通りを歩いていると、ふとため息を付いた。
「色々連れ回したので、疲れちゃいましたかね」
ヒイラギは、心配そうにその顔を覗き込む。
「いえ、久しぶりに下界に降りて、しかも、こんな大勢の人がいるコミュニティに来たから・・・何だが圧倒されてしまって」
そう話す、彼女の顔は心無しか青白く見えた。
シノノメは、道脇に喫茶店を見つけ指差す。
「ちょっと、そこでお茶でもしましょうか」
ヒイラギとシノノメは、喫茶店の屋外の席に座り、通りを歩く人々を眺めながらお茶を飲んでいた。まだ午前中で、天気も良いせいか人通りが多い。
「ありがとうございます、御馳走になっちゃって」
ヒイラギはコーヒーカップに口を付けながら、表情にすっかりと生気が戻ってきた様子のシノノメを見て一安心していた。
「いえ、こちらこそ洋服を選んでくれてありがとう」
シノノメはそう言いながらも、控えめだが見る人の気持ちが暖まるような笑顔を見せた。
ヒイラギはこのシノノメについて、最初はクールでどこか取っ付きにくい人だと思っていたが、この数日一緒にいて少し不器用なだけで温かい人柄である事を感じとっていた。
「15年ぶり位になるかしら・・・コミニティに来たのは」
「ロードに仕えてからは、聖山から降りた事が無かったから」
シノノメは、大通りを歩く人や、街並みを懐かしむように見つめている。
「コミニティでの暮しが、恋しくなかったですか?」
「最初は寂しくて、よく夜に一人で泣いていたけど、ロードや周りの人も気付かってくれたから直ぐに慣れたわ」
シノノメは、遠い過去にでも思いを馳せているのか、目を閉じてコーヒーを啜っている。
「ウチの家系の女性は、代々、ロードの身の回りの世話をする為に仕えてきたの」
「今の生活に、不満が有るわけじゃないけど・・・ヒイラギさん、あなたが少し羨ましいわ」
「えっ、どうして?私が」
シノノメの意外な言葉に、少女は驚いた表情を見せる。
「自分の意志でこうして旅をして、世の中に干渉しているんだもの」
その彼女の少し寂しげな微笑からは、本人にしか分からない苦悩が感じられた。
ヒイラギとシノノメが宿に戻って来ると、既にユダは部屋に帰って来ていた。
「お帰り、遅かったな」
ユダは、部屋に入って来たヒイラギ達に一瞬目を向けると、直ぐに自分の作業に戻る。拳銃のメンテナンスをしていたようで、窓際の丸テーブルには、分解された銃の部品とウェスが置かれていた。
「買い物の後に、お茶をしていたので」
「そうか、しばらく野宿生活が続くから今日はゆっくり休もう」
「はい」
「そうだ、シノノメさん。せっかくだし、さっき買ってきた洋服に着替えて、お昼ご飯に行きませんか」
「そうね、せっかく選んでくれた事だし・・・」
シノノメはチラッと横目で、ユダの方を見る。
「ちょっと待っていてくれ、銃を組み立て直したら直ぐに部屋の外に出るから」
ユダはその視線の意味に気付いたのか、早業で銃の整備を終わらせると、部屋の外に出た。
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