陰陽の絆

L0tus

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1 “似てない俺達”

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“名は体を表す”とは、よく言ったもんだと思う。

俺は、俺達は双子だ。いわゆる一卵性双生児。
でも俺達は生まれた時から同じ環境で育ってきたにも関わらず、その性格はまるで違う。

太陽の名を持つアイツは、明るく笑顔が絶えず、感情表現豊かで老若男女問わず大多数から好かれている。

一方で、月の名を持つ俺はあまり笑ったりせず、感情表現も乏しくて、周囲からはやれ根暗だの何だのと言われて嫌われている。

俺達のことを知らない人からすれば、思い込みと言えるかもしれないけれど、アイツを好いている人の中には俺に対して敵意を持ち、排除しようとしてくる奴が後を絶たなかったのは事実。



『見た目も声も、まるっきり同じなのに。彼に近付くな。』



要約すると同じことを、何度他人に言われて来たことか。

言われる原因は勿論ある。俺達がとても仲良し――を通り越して、互いにブラコンだからだ。
アイツに対して下心を持っている奴等は、それが面白くないらしい。俺は勿論、アイツもお互いを何よりも優先する節があるからだ。
アイツは、俺に対して敵意を持っていたり俺を利用してアイツに近付こうとする奴には、普段優しくて平等なくせに、俺がいたたまれなくなる程相手を容赦無く切り捨てる。

だが流石に何年もそれが続くと俺も嫌になる。
見た目だけが同じ故にアイツと間違って近付かれ、俺と判ると気まずそうにされたり嫌そうに顔を歪められたりされたら当然だと思う。

だからは俺は、俺達の容姿の中でも一番目立つ髪の色を変えた。そして瞳の色も目立たないように前髪を伸ばした。
プラチナブロンドと呼ばれる程に明るい金髪を、日本では珍しくも何とも無い黒髪へと。
染め直す手間はあるが、以前よりも精神の安定度は高くなった。強いて言うなら、アイツが相談無しに勝手な事をしてと不満を一ヶ月も言い続けた事の方が大変だった。

まぁ、余計に根暗だと陰口を叩かれる羽目になりはしたが、ちゃんと俺達の事を理解してくれている友人も居るし、何よりアイツと一緒に居られるのなら他者の事は気にならない。

俺は双子に生まれて良かったと、心底思っている。
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