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序章
ノエル 9歳キャロル
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マリーゼが瞬く間に私の髪の毛を切りなおして整える。その間に私は眠れない夜に温めてきた「悪役令嬢喪失計画」おばあ様対策の部分をジルとマリーゼに話す。もちろん前世の部分は秘密だけど。
「ジルは先に本邸に行ってください。以前使ってくれた風魔法で応接室の中の様子を伺って、私の名前が出そうならどんな手段を使っても止めて下さい。責任は私がとりますから」
「かしこまりました。でも、その前に失礼します」
片手をジルが振ると髪を強い風が吹き抜ける。切った時に落ちた髪がきれいに飛び去る。本当にジルは気が利く。私も着替えてから追いますとね、と告げると。ジルは頷いて本邸に向かった。
先ほど運んできた箱から、マリーゼが男子の礼装を取り出す。ジャケット、ベスト、シャツ、靴下に靴、全て本邸の倉庫にしまわれていたお父様が小さい頃のものだ。お父様を驚かせたい、そんな嘘をついて事前にマリーゼに揃えてもらっておいた。
「一体いつからこのようなことを考えていたんですか?」
「かなり前から……でも、ずっと使うかは迷ってたんです。本当に最後の切り札のつもりでした」
自分が男の子としてどこまでやれるか? 誰がこんな無茶についてきてくれるのか? なによりも、小さい頃から夢見てきた令嬢としての未来は全て消えることに迷っていた。
「でもね。マリーゼ。切り札は案外きってみたら気持ち良いです。ジルとマリーゼが背を押してくれたし、騎士も文官も当主にもなれます。令嬢の時では決して届かなかった未来です」
悪役令嬢として公にならないから、シナリオにさようなら! これは心の中でだけ呟く。
「お嬢様にすっかり騙されましたわね」
マリーゼが苦笑いする。ごめんね、と私も笑う。お父様の小さい頃の服は、本邸の保管室からマリーゼが選んだからサイズはあつらえた様にぴったりだ。最後に髪にクリームをつけて整えなおす。
「さあ、お嬢様……いえ、お坊ちゃま。マリーゼがこの国で一番の貴公子にさせて頂きました」
鏡の中の新しい自分はちゃんと男の子だ。世界で一番キャロルを可愛いといってくれるマリーゼが、世界で一番の貴公子にしたと宣言してくれたから私は胸を張る。
机の引き出しから一枚の手紙を取り出す。そしてジルのくれたジュエリーボックスから青い猫を取り出して胸ポケットに入れた。
「では、行ってきます! マリーゼ、お母様がこちらに戻ったら、この手紙を渡してください」
「ご成功を祈っております、お坊ちゃま」
礼をして送り出すマリーゼの声を背中に私は駆けだす。お父様の書斎から、隠し通路を抜けて本邸の書斎に向かう。
「キャロル様……」
書斎につくと男の子の服に身を包んだ私にジルがやっぱり驚いた顔をする。私がにやりと意地悪な笑顔を返すとジルは困ったように笑顔を返して跪く。
「ジル、どうですか?かっこいい?」
「はい。我が主。今からどのようにお呼びいたしましょうか?」
考えていた名前がある。キャロルは前世でクリスマスの歌の意味だ。家族4人で過ごしたあの世界でのクリスマス。我が家の食卓にならんだのは唐揚げとお母さんがつくるブッシュドノエル。失った家族との楽しい日の思い出。もう失わない自戒を込めて。
「ノエル・アングラード。私のことはノエルと呼んでください」
「かしこまりました、ノエル様」
まだ、お父様とお母様はおばあ様の猛攻に耐えてくれている。お母様を引き離すために、伝達魔法でクレイに私が倒れてお母様を呼んでいると伝える。伝達魔法の美しい蝶が壁をすり抜けていった。
クレイなら私の名前を出すことなくお父様に伝えてくれる。そして、お父様は必ず別邸にはお母様だけを戻すだろう。程なくして、ジルが口を開く。
「ノエル様、動きました。奥様がたった今、大奥様のもとを辞去します」
「お母様は大丈夫そうですか?」
ジルが表情を消して頷く。一緒にいる時間が長いから、そんな顔でうなずくのは、私の耳にいれたくない時だ。きっと、お母様はひどくおばあ様に責められたのだろう。それでも、お父様とお母様は私の事を伝えず、家族でいるために耐えてくれた。
階下の扉が開く音が大きく響く。その音に、書斎の窓から別邸へ続く道をみると、私の為に必死で走ってくれるお母様が見えた。心配かけてごめんなさい、今度は私が助けるから。
「では、いきます」
ここからは、その場を乗り越える度胸と狸! 胸ポケットに手を当てる。硬い感触は八歳の時に出会った天使のような少年のくれた猫の置物。幼いけれど、堂々として決して誰の下にも立たないアレックス王子。彼が私のお手本だ。私は書斎のドアを開けて、おばあ様がいる応接室に向かった。
廊下に出ると、私を知らない本邸の使用人たちが驚いた顔で見つめてくる。何事かと口を開きそうな気配の使用人たちを一瞥して、口もとに人差し指を当てて少しだけ微笑む。静かにとの合図が伝わったのか、使用人たちは息をのんで動きをとめた。私は胸を張り優雅に少し大股で歩き始める。私の後ろを歩くのがジルであることに周囲が気づいて、公になっていなかった当主の子供である事を察する。
応接室の前に立つと周囲が止めるべきなのか困惑するのが伝わった。誰かに止めに入られる前にジルが軽く扉を二度たたく。いきますよ? ジルの目がそう問いかける。私が頷くと扉はゆっくり開いていた。
初めて来る本邸の応接室の奥には、上品な初老の貴婦人が座っている。無表情にこちらを見つめるその顔は唇がお父様によくにている。この人がバルバラおばあ様だ。
こちらを伺う顔に、見つめ返してからゆったりと微笑んでみせる。次にお父様の方を見る。お父様は面白そうな顔で笑顔でうなずき返してきた。予想通りこちらに乗ってくれそうだ。
「お父様、お母様の言いつけでこちらに伺わせていただきました。おばあ様にご挨拶をしてもよろしいですか?」
「あぁ、もちろんだ。ご挨拶なさい」
おばあ様の側にゆっくりと歩み寄ると椅子の側で右足を引いて跪く。男の子の礼だってきちんと覚えている。結婚したら旦那様の力になれるようにきちん男性のマナーも覚えておいた。左胸に右手を当ててから、私は名乗る。ふれた胸ポケットの猫が、胸を張って楽しんで笑えと教えてくれる気がする。
「はじめまして。ノエル・アングラードと申します。バルバラ様にようやくお会いできて嬉しく思います」
私が左手を差し出すと、おばあ様は一度席を立って相対して右手を載せてくれる。私は、思いの他小さなその手に唇をあてる。そして気を抜くことなく、おばあ様の手をそっと丁寧に返す。
「バルバラおばあ様とお呼びしてもよろしいですか?」
私は人懐っこそうにみえる笑顔でたずねる。思わず小首をかしげそうになるのは我慢。今は男の子。
「かまいません。素晴らしい挨拶でした。席におつきなさい」
「ありがとうございます、バルバラおばあ様」
私から視線を外すと、お父様に計るような視線を向ける。無表情を装っているけど、多分おばあ様にも動揺があるはずだ。女の子だとおもっていたのに現れたの男の子。私と会った驚きより、まだ不審に思う気持ちのほうが大きいだろう。我が家の執事と思われる男性が父の隣の席を引いてくれる。私が席に着くと同時に、早速おばあ様が口火を切った。
「レオナール、どうして男の子なら私のところに早く連絡をしないのかしら?老い先短い母親の願いを知らないわけではないでしょう?」
男の子なら隠す必要はないというおばあ様の当然の指摘。さて、本家狸はどうでる? 席についてお父様を仰ぎ見る。お父様は相変わらずの表情だ。
「私だって随分悩んだんだよ。しかし、私とソレーヌには二度と会いたくないといったのは母上だ。」
「……だからと言って、大切な跡継ぎが生まれたなら知らせるべきでしょう?」
「それはお互いさまでしょう。そちらからも何の音沙汰も無かった」
「親不孝ね」
温度の下がる会話の応酬の中で眉間に皺を寄せたお父様が、表情を変えてお得意のちょっと困った笑顔をおばあ様に向ける。この甘い笑顔でたくさんの人をうやむやに撒いてきた常套手段。
「確かに、いい年をして私もむきになっていたのは認めるよ。母上、申し訳なかった」
でも、おばあ様は顔色一つ変えず、謝罪するお父様を冷ややかに見つめている。私は援護にまわる。
「よかった。私に会いたい思って頂けていたなら光栄です、おばあ様。お二人のことは、いつもお父様にはぐらかされてきました。今回だって、お母様が送り出してくださらなければ、お会いすることは叶わなかったでしょう」
お母様をあげて、お父様をおとす。私の援護射撃にお父様が本気で嫌な顔をする。でも、おばあ様はちょっと唇を歪めて、あわてて扇で口元をかくした。その笑みはきっと不快の意味ではないと思う。
「ねぇ、ノエル。ひとつ伺ってもいいかしら?」
「なんなりと、おばあ様」
「舞踏会の衣装はもう注文されたのかしら?」
「いいえ。アングラードのおじい様、おばあ様に携わって頂きたいとお母様はお考えでしたので、まだ私の分は注文しておりません」
おばあ様が一応頷く。これだけでは弱いのは分かっている。既に女の子のドレスが注文されていることは知られてるのだ。だが、それは誰がいつ使う為のドレスと名札がついているわけではない。
嘘は言葉が少ないほうがいい。勝手に解釈してもらう。今回もお父様の隠し子とか邪推してしてもらえたら拾い物だ。
でも、残念ながらおばあ様の方は質問を止める気はないようだ。更に口を開こうとするおばあ様と、応戦するつもりでいた私の間に父の囁くような一言が割り込む。
「我が家には精霊の子がいる」
お父様の突然の言葉に、おばあ様が目を見開く。私の方も見知らぬ言葉に、顔には出さず慌てる。
お父様が足で私の足をたたく。なんか言えってことだよね? でも、なんて? 事前情報がないのはわかっているから、素直に子供らしい反応を返してみる。
「お父様、精霊の子とはなんですか?」
お父様は悲しそうな顔で首をふって、私の頭を撫でて応える。もちろんこれは演技だろう。
「我が家に幸せを運んでくれる精霊がついているからノエルは安心だってことだよ。ねぇ、母上?」
おばあ様がはじかれるように顔をあげる。その目がうるんで見えるのは気のせいではない。精霊の子ってなに?
「そういうことね。私は帰ります。ノエル、お会いできてうれしかったわ。あなたの衣装は、デザイン画と生地を用意させて後日おくります。楽しみになさってね」
そう言って、おばあ様が席を立つ。使用人がその肩にケープを掛ける。精霊の子……初めて聞く言葉に何もかもを治めたおばあ様。結果は出たけど、私の中に疑問が残る。
玄関ホールまでおばあ様を見送りに出る。おばあ様の顔はもとの無表情だ。むしろ、値踏みをするような鋭い目で私を見つめる。そして、頭に軽く触れた。
「ノエルは、レオナールの子供の頃に似ているわ」
それは本当にご遠慮したい。私はいつも言っているけど、お母様に似たいのだ。でも、おばあ様の瞳から初めて優しいものを感じたから、私は心からの笑顔を返す。
「いづれまたお会いしましょう、ノエル」
「はい。楽しみにしています。お元気で、バルバラおばあ様」
こうして、私はノエル・アングラードとして初めて人と対峙した。緊張で今すぐに座り込んでしまいたい。本邸の使用人たちにお父様とともに暇を告げて、隠し通路から別邸に戻ることにする。
「ふっ、はは……」
通路に入って人目がなくなるとお父様が笑いしだした。クレイも口元を抑えて笑ってる。面白いことなんて一切ない。
「何がおかしいのです! お父様!!」
「ごめん。君はやっぱりアングラードの子だよね。母上もいっていただろ? 私に似てるって」
「不服です!」
笑いを収めるとお父様が私の短くなった髪に触れる。楽しそうに笑いながら、何度も何度も短くなった髪をなぞる。
「悪役令嬢喪失計画」を立てた時に、未来の自分に当主の種をまいていたお父様に気づいた。与えられた課題、女の子には本来任されることのない役割。それらに興味を惹かれる私に、嬉しそうに自分に似ていると言う。それは当主として自分の跡を私に任せる道を見ていたから。
「お父様は、私がアングラード当主の跡つぎの道を選ぶことを喜んでくれますか?」
それを当主として期待していたはずだ。言い出す可能性が生まれるような仕掛けもしていた。だから、私が突然男の子の姿で表れた時も、決して驚かなかった。
「もちろんだよ。君がその道を選んでくれるなら、現当主として本当にありがたいと思う」
でも、決してそうせよと口にしなかったお父様。いつでも私を可愛い天使と呼び続けたお父様。
いつもと変わらない表情で、私の短くなった髪を何度も行ったり来たり、長い髪を思い出すように触る。お父様は本当に狸だ。
アングラードの当主としての行動の中で、私を女の子のまま置いて置きたかったから迷っていたんだよね? 今だって 当主として嬉しいとは言ったけど、父としての気持ちは押し殺した。でも、当主の気持ちじゃなくて、お父様の気持ちはちゃんと私は知ってるよ。
「これで、わたしは当主の跡取り以外にも、文官にも騎士にもなれますね」
「そうだね。でも、私の子供である事は何になっても変わらないよ」
そう言って、お父様が私を抱き上げて頬にキスをする。家族だけの時はキャロルになる時もありますよ?そう呟いたら、強く抱きしめてくれた。無言でお父様の背中が震えていたから、私はいつも通りお父様の首に震えが止まるまで抱き着いていた。
お父様がいつもの笑顔に戻って、隠し通路を手をつないで歩く。だんだん、お父様の顔色が悪くなってきた。
「お父様、どうかされましたか?」
お父様からの返事がない。クレイが後ろでくすくす笑っているのできっと、お母様のことだなって察する。
お母様にはお手紙を置いてきた。本邸に戻ってこなかったということは、お母様は私の考えを受け入れてくれたのと思う。そんなに怯えなくても大丈夫ですよ?
隠し扉をあけると、お母様がそこにいた。いつもの儚げだけど優しい笑顔で私を迎えてくれる。側に行くと、優しく抱きしめてくれた。
「キャロル、とても素敵です。見違えてしました。どこから見ても立派なアングラード家の跡取り息子です」
「ありがとうございます、お母様」
私は母の言葉に安堵する。母はきちんと手紙を読んでくれていた。
「お手紙を読みました。ありがとう。でも、一つだけお願いです。自分を犠牲にしないでね。あなたがもう辞めたいと思ったらいつでも辞めていいの」
「お約束します」
「わかりました。母はこの先もいつも貴方の味方です」
体を放すと、母が私の短い髪を撫でてくれる。本当にとても似合いますよ。と愛おしそうに笑ってくれた。そして、ちょっとお外に出ていてね、とおっしゃるので私とジルが外に出る。
何か素晴らしくいい音がしたとおもうと、いろいろなものがなぎ倒される音がした。
一か月以上に及ぶお母様とお父様のケンカ。原因は私を当主にするか悩んでいたお父様に、お母様が反対をしていたのだと思う。私が当主の道を選んでしまったので……お父様、ご愁傷さまです。
お母様へ
突然、倒れたと嘘をついて申し訳ありません。私はとても元気なので安心してください。
お母様は嫌がるかもしれないけれど、私は男の子になってこの家の当主となります。
手紙を読んでくださっている時には、私は本邸でバルバラおばあ様の前に男の子として立っています。
泣かないでください、お母様。
予想されている通り、お母様を守りたいというのも決意した理由の一つです。
でも、それ以上に私がなりたいんです。
令嬢のままでは私の未来にある沢山の可能性が消えてしまいます。
男の子として生きていけば、私は自分の望む道を選択する自由を手に入れます。
当主にも、騎士にも、文官にも、何処か遠くにジルを連れて旅に出るのも楽しそうです。
やりたことがたくさんあります。でも令嬢ではかないません。
私のわがままを許してください。
そして、私をアングラード侯爵子息として応援してください。
本邸のことが片付いたら隠し通路から帰ります。
どうか、いつもの笑顔で新しい私をたくさん褒めて下さい。
お母様の笑顔が私を一番安心させてくださいます。
キャロルより
追伸 新しい名前は勝手にノエルにしました。素敵な名前でしょ?
「ジルは先に本邸に行ってください。以前使ってくれた風魔法で応接室の中の様子を伺って、私の名前が出そうならどんな手段を使っても止めて下さい。責任は私がとりますから」
「かしこまりました。でも、その前に失礼します」
片手をジルが振ると髪を強い風が吹き抜ける。切った時に落ちた髪がきれいに飛び去る。本当にジルは気が利く。私も着替えてから追いますとね、と告げると。ジルは頷いて本邸に向かった。
先ほど運んできた箱から、マリーゼが男子の礼装を取り出す。ジャケット、ベスト、シャツ、靴下に靴、全て本邸の倉庫にしまわれていたお父様が小さい頃のものだ。お父様を驚かせたい、そんな嘘をついて事前にマリーゼに揃えてもらっておいた。
「一体いつからこのようなことを考えていたんですか?」
「かなり前から……でも、ずっと使うかは迷ってたんです。本当に最後の切り札のつもりでした」
自分が男の子としてどこまでやれるか? 誰がこんな無茶についてきてくれるのか? なによりも、小さい頃から夢見てきた令嬢としての未来は全て消えることに迷っていた。
「でもね。マリーゼ。切り札は案外きってみたら気持ち良いです。ジルとマリーゼが背を押してくれたし、騎士も文官も当主にもなれます。令嬢の時では決して届かなかった未来です」
悪役令嬢として公にならないから、シナリオにさようなら! これは心の中でだけ呟く。
「お嬢様にすっかり騙されましたわね」
マリーゼが苦笑いする。ごめんね、と私も笑う。お父様の小さい頃の服は、本邸の保管室からマリーゼが選んだからサイズはあつらえた様にぴったりだ。最後に髪にクリームをつけて整えなおす。
「さあ、お嬢様……いえ、お坊ちゃま。マリーゼがこの国で一番の貴公子にさせて頂きました」
鏡の中の新しい自分はちゃんと男の子だ。世界で一番キャロルを可愛いといってくれるマリーゼが、世界で一番の貴公子にしたと宣言してくれたから私は胸を張る。
机の引き出しから一枚の手紙を取り出す。そしてジルのくれたジュエリーボックスから青い猫を取り出して胸ポケットに入れた。
「では、行ってきます! マリーゼ、お母様がこちらに戻ったら、この手紙を渡してください」
「ご成功を祈っております、お坊ちゃま」
礼をして送り出すマリーゼの声を背中に私は駆けだす。お父様の書斎から、隠し通路を抜けて本邸の書斎に向かう。
「キャロル様……」
書斎につくと男の子の服に身を包んだ私にジルがやっぱり驚いた顔をする。私がにやりと意地悪な笑顔を返すとジルは困ったように笑顔を返して跪く。
「ジル、どうですか?かっこいい?」
「はい。我が主。今からどのようにお呼びいたしましょうか?」
考えていた名前がある。キャロルは前世でクリスマスの歌の意味だ。家族4人で過ごしたあの世界でのクリスマス。我が家の食卓にならんだのは唐揚げとお母さんがつくるブッシュドノエル。失った家族との楽しい日の思い出。もう失わない自戒を込めて。
「ノエル・アングラード。私のことはノエルと呼んでください」
「かしこまりました、ノエル様」
まだ、お父様とお母様はおばあ様の猛攻に耐えてくれている。お母様を引き離すために、伝達魔法でクレイに私が倒れてお母様を呼んでいると伝える。伝達魔法の美しい蝶が壁をすり抜けていった。
クレイなら私の名前を出すことなくお父様に伝えてくれる。そして、お父様は必ず別邸にはお母様だけを戻すだろう。程なくして、ジルが口を開く。
「ノエル様、動きました。奥様がたった今、大奥様のもとを辞去します」
「お母様は大丈夫そうですか?」
ジルが表情を消して頷く。一緒にいる時間が長いから、そんな顔でうなずくのは、私の耳にいれたくない時だ。きっと、お母様はひどくおばあ様に責められたのだろう。それでも、お父様とお母様は私の事を伝えず、家族でいるために耐えてくれた。
階下の扉が開く音が大きく響く。その音に、書斎の窓から別邸へ続く道をみると、私の為に必死で走ってくれるお母様が見えた。心配かけてごめんなさい、今度は私が助けるから。
「では、いきます」
ここからは、その場を乗り越える度胸と狸! 胸ポケットに手を当てる。硬い感触は八歳の時に出会った天使のような少年のくれた猫の置物。幼いけれど、堂々として決して誰の下にも立たないアレックス王子。彼が私のお手本だ。私は書斎のドアを開けて、おばあ様がいる応接室に向かった。
廊下に出ると、私を知らない本邸の使用人たちが驚いた顔で見つめてくる。何事かと口を開きそうな気配の使用人たちを一瞥して、口もとに人差し指を当てて少しだけ微笑む。静かにとの合図が伝わったのか、使用人たちは息をのんで動きをとめた。私は胸を張り優雅に少し大股で歩き始める。私の後ろを歩くのがジルであることに周囲が気づいて、公になっていなかった当主の子供である事を察する。
応接室の前に立つと周囲が止めるべきなのか困惑するのが伝わった。誰かに止めに入られる前にジルが軽く扉を二度たたく。いきますよ? ジルの目がそう問いかける。私が頷くと扉はゆっくり開いていた。
初めて来る本邸の応接室の奥には、上品な初老の貴婦人が座っている。無表情にこちらを見つめるその顔は唇がお父様によくにている。この人がバルバラおばあ様だ。
こちらを伺う顔に、見つめ返してからゆったりと微笑んでみせる。次にお父様の方を見る。お父様は面白そうな顔で笑顔でうなずき返してきた。予想通りこちらに乗ってくれそうだ。
「お父様、お母様の言いつけでこちらに伺わせていただきました。おばあ様にご挨拶をしてもよろしいですか?」
「あぁ、もちろんだ。ご挨拶なさい」
おばあ様の側にゆっくりと歩み寄ると椅子の側で右足を引いて跪く。男の子の礼だってきちんと覚えている。結婚したら旦那様の力になれるようにきちん男性のマナーも覚えておいた。左胸に右手を当ててから、私は名乗る。ふれた胸ポケットの猫が、胸を張って楽しんで笑えと教えてくれる気がする。
「はじめまして。ノエル・アングラードと申します。バルバラ様にようやくお会いできて嬉しく思います」
私が左手を差し出すと、おばあ様は一度席を立って相対して右手を載せてくれる。私は、思いの他小さなその手に唇をあてる。そして気を抜くことなく、おばあ様の手をそっと丁寧に返す。
「バルバラおばあ様とお呼びしてもよろしいですか?」
私は人懐っこそうにみえる笑顔でたずねる。思わず小首をかしげそうになるのは我慢。今は男の子。
「かまいません。素晴らしい挨拶でした。席におつきなさい」
「ありがとうございます、バルバラおばあ様」
私から視線を外すと、お父様に計るような視線を向ける。無表情を装っているけど、多分おばあ様にも動揺があるはずだ。女の子だとおもっていたのに現れたの男の子。私と会った驚きより、まだ不審に思う気持ちのほうが大きいだろう。我が家の執事と思われる男性が父の隣の席を引いてくれる。私が席に着くと同時に、早速おばあ様が口火を切った。
「レオナール、どうして男の子なら私のところに早く連絡をしないのかしら?老い先短い母親の願いを知らないわけではないでしょう?」
男の子なら隠す必要はないというおばあ様の当然の指摘。さて、本家狸はどうでる? 席についてお父様を仰ぎ見る。お父様は相変わらずの表情だ。
「私だって随分悩んだんだよ。しかし、私とソレーヌには二度と会いたくないといったのは母上だ。」
「……だからと言って、大切な跡継ぎが生まれたなら知らせるべきでしょう?」
「それはお互いさまでしょう。そちらからも何の音沙汰も無かった」
「親不孝ね」
温度の下がる会話の応酬の中で眉間に皺を寄せたお父様が、表情を変えてお得意のちょっと困った笑顔をおばあ様に向ける。この甘い笑顔でたくさんの人をうやむやに撒いてきた常套手段。
「確かに、いい年をして私もむきになっていたのは認めるよ。母上、申し訳なかった」
でも、おばあ様は顔色一つ変えず、謝罪するお父様を冷ややかに見つめている。私は援護にまわる。
「よかった。私に会いたい思って頂けていたなら光栄です、おばあ様。お二人のことは、いつもお父様にはぐらかされてきました。今回だって、お母様が送り出してくださらなければ、お会いすることは叶わなかったでしょう」
お母様をあげて、お父様をおとす。私の援護射撃にお父様が本気で嫌な顔をする。でも、おばあ様はちょっと唇を歪めて、あわてて扇で口元をかくした。その笑みはきっと不快の意味ではないと思う。
「ねぇ、ノエル。ひとつ伺ってもいいかしら?」
「なんなりと、おばあ様」
「舞踏会の衣装はもう注文されたのかしら?」
「いいえ。アングラードのおじい様、おばあ様に携わって頂きたいとお母様はお考えでしたので、まだ私の分は注文しておりません」
おばあ様が一応頷く。これだけでは弱いのは分かっている。既に女の子のドレスが注文されていることは知られてるのだ。だが、それは誰がいつ使う為のドレスと名札がついているわけではない。
嘘は言葉が少ないほうがいい。勝手に解釈してもらう。今回もお父様の隠し子とか邪推してしてもらえたら拾い物だ。
でも、残念ながらおばあ様の方は質問を止める気はないようだ。更に口を開こうとするおばあ様と、応戦するつもりでいた私の間に父の囁くような一言が割り込む。
「我が家には精霊の子がいる」
お父様の突然の言葉に、おばあ様が目を見開く。私の方も見知らぬ言葉に、顔には出さず慌てる。
お父様が足で私の足をたたく。なんか言えってことだよね? でも、なんて? 事前情報がないのはわかっているから、素直に子供らしい反応を返してみる。
「お父様、精霊の子とはなんですか?」
お父様は悲しそうな顔で首をふって、私の頭を撫でて応える。もちろんこれは演技だろう。
「我が家に幸せを運んでくれる精霊がついているからノエルは安心だってことだよ。ねぇ、母上?」
おばあ様がはじかれるように顔をあげる。その目がうるんで見えるのは気のせいではない。精霊の子ってなに?
「そういうことね。私は帰ります。ノエル、お会いできてうれしかったわ。あなたの衣装は、デザイン画と生地を用意させて後日おくります。楽しみになさってね」
そう言って、おばあ様が席を立つ。使用人がその肩にケープを掛ける。精霊の子……初めて聞く言葉に何もかもを治めたおばあ様。結果は出たけど、私の中に疑問が残る。
玄関ホールまでおばあ様を見送りに出る。おばあ様の顔はもとの無表情だ。むしろ、値踏みをするような鋭い目で私を見つめる。そして、頭に軽く触れた。
「ノエルは、レオナールの子供の頃に似ているわ」
それは本当にご遠慮したい。私はいつも言っているけど、お母様に似たいのだ。でも、おばあ様の瞳から初めて優しいものを感じたから、私は心からの笑顔を返す。
「いづれまたお会いしましょう、ノエル」
「はい。楽しみにしています。お元気で、バルバラおばあ様」
こうして、私はノエル・アングラードとして初めて人と対峙した。緊張で今すぐに座り込んでしまいたい。本邸の使用人たちにお父様とともに暇を告げて、隠し通路から別邸に戻ることにする。
「ふっ、はは……」
通路に入って人目がなくなるとお父様が笑いしだした。クレイも口元を抑えて笑ってる。面白いことなんて一切ない。
「何がおかしいのです! お父様!!」
「ごめん。君はやっぱりアングラードの子だよね。母上もいっていただろ? 私に似てるって」
「不服です!」
笑いを収めるとお父様が私の短くなった髪に触れる。楽しそうに笑いながら、何度も何度も短くなった髪をなぞる。
「悪役令嬢喪失計画」を立てた時に、未来の自分に当主の種をまいていたお父様に気づいた。与えられた課題、女の子には本来任されることのない役割。それらに興味を惹かれる私に、嬉しそうに自分に似ていると言う。それは当主として自分の跡を私に任せる道を見ていたから。
「お父様は、私がアングラード当主の跡つぎの道を選ぶことを喜んでくれますか?」
それを当主として期待していたはずだ。言い出す可能性が生まれるような仕掛けもしていた。だから、私が突然男の子の姿で表れた時も、決して驚かなかった。
「もちろんだよ。君がその道を選んでくれるなら、現当主として本当にありがたいと思う」
でも、決してそうせよと口にしなかったお父様。いつでも私を可愛い天使と呼び続けたお父様。
いつもと変わらない表情で、私の短くなった髪を何度も行ったり来たり、長い髪を思い出すように触る。お父様は本当に狸だ。
アングラードの当主としての行動の中で、私を女の子のまま置いて置きたかったから迷っていたんだよね? 今だって 当主として嬉しいとは言ったけど、父としての気持ちは押し殺した。でも、当主の気持ちじゃなくて、お父様の気持ちはちゃんと私は知ってるよ。
「これで、わたしは当主の跡取り以外にも、文官にも騎士にもなれますね」
「そうだね。でも、私の子供である事は何になっても変わらないよ」
そう言って、お父様が私を抱き上げて頬にキスをする。家族だけの時はキャロルになる時もありますよ?そう呟いたら、強く抱きしめてくれた。無言でお父様の背中が震えていたから、私はいつも通りお父様の首に震えが止まるまで抱き着いていた。
お父様がいつもの笑顔に戻って、隠し通路を手をつないで歩く。だんだん、お父様の顔色が悪くなってきた。
「お父様、どうかされましたか?」
お父様からの返事がない。クレイが後ろでくすくす笑っているのできっと、お母様のことだなって察する。
お母様にはお手紙を置いてきた。本邸に戻ってこなかったということは、お母様は私の考えを受け入れてくれたのと思う。そんなに怯えなくても大丈夫ですよ?
隠し扉をあけると、お母様がそこにいた。いつもの儚げだけど優しい笑顔で私を迎えてくれる。側に行くと、優しく抱きしめてくれた。
「キャロル、とても素敵です。見違えてしました。どこから見ても立派なアングラード家の跡取り息子です」
「ありがとうございます、お母様」
私は母の言葉に安堵する。母はきちんと手紙を読んでくれていた。
「お手紙を読みました。ありがとう。でも、一つだけお願いです。自分を犠牲にしないでね。あなたがもう辞めたいと思ったらいつでも辞めていいの」
「お約束します」
「わかりました。母はこの先もいつも貴方の味方です」
体を放すと、母が私の短い髪を撫でてくれる。本当にとても似合いますよ。と愛おしそうに笑ってくれた。そして、ちょっとお外に出ていてね、とおっしゃるので私とジルが外に出る。
何か素晴らしくいい音がしたとおもうと、いろいろなものがなぎ倒される音がした。
一か月以上に及ぶお母様とお父様のケンカ。原因は私を当主にするか悩んでいたお父様に、お母様が反対をしていたのだと思う。私が当主の道を選んでしまったので……お父様、ご愁傷さまです。
お母様へ
突然、倒れたと嘘をついて申し訳ありません。私はとても元気なので安心してください。
お母様は嫌がるかもしれないけれど、私は男の子になってこの家の当主となります。
手紙を読んでくださっている時には、私は本邸でバルバラおばあ様の前に男の子として立っています。
泣かないでください、お母様。
予想されている通り、お母様を守りたいというのも決意した理由の一つです。
でも、それ以上に私がなりたいんです。
令嬢のままでは私の未来にある沢山の可能性が消えてしまいます。
男の子として生きていけば、私は自分の望む道を選択する自由を手に入れます。
当主にも、騎士にも、文官にも、何処か遠くにジルを連れて旅に出るのも楽しそうです。
やりたことがたくさんあります。でも令嬢ではかないません。
私のわがままを許してください。
そして、私をアングラード侯爵子息として応援してください。
本邸のことが片付いたら隠し通路から帰ります。
どうか、いつもの笑顔で新しい私をたくさん褒めて下さい。
お母様の笑顔が私を一番安心させてくださいます。
キャロルより
追伸 新しい名前は勝手にノエルにしました。素敵な名前でしょ?
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