聖女と騎士のはなし

笑川雷蔵

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微笑みのゆくえは・2

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 ほんとうに、分からない。

 砦に滞在を決め込んで、早や半月。デュフレーヌのレオが抱く思いはそればかりだ。

(まこと、<母なる御方>が地上にお遣わしになった奇跡だと聞き及んでおります)
 祖父の側近たちをはじめ、館に仕える者たちから聞いた話は嘘だったというのか。
(東の砦におわしますかの乙女のことを、私どもはこう呼ぶのでございます)
 雪吹きすさぶ冬の間、館に留まることを許した旅芸人の一座は謳ってはいなかったか。
 <髪あかきダウフト>。聖剣<ヒルデブランド>を手に、忌まわしき者どもの手からアーケヴを救い出さんとする乙女。
 たとえ凍えた冬の使者が大地を駆けめぐろうとも、乙女のまなざしに緑萌ゆる春が息づいているのだと。たとえ明けぬ夜が訪れようとも、乙女の髪にあしたを呼ぶ暁の輝きが宿るのだと。

 中庭から聞こえた楽しげな笑い声に、少年は鋼玉の双眸を向ける。
 遊びに興じる奥方の侍女や小間使いの娘たち、下働きの子供たちの間に立ち交じり、輝くような笑顔を見せているのはダウフトだ。夏の風にそよぐ髪は、その辺りでよく見かける赤みを帯びた栗色で。くるめく緑の瞳は、確かに生き生きとしたいのちの輝きを宿してはいたけれど。
「でも、それだけだ」
 形よい唇からこぼれるのは、苛立ちめいたことばばかりだ。

 聖女とは名ばかりのどこにでもいるような村娘、それもレオより二つ三つ年上にしか過ぎぬ娘。
 分不相応な力を授かったことに思い上がり、もてはやされているのをいいことに砦の一室か聖堂の奥に陣取り、取りすました顔で人々にかしずかれているのかと思いきや。
 その物言いも、行動も、およそ聖女という言葉からは遠くかけ離れたものであることを日々思い知らされるばかりだ。
 婦人たちが集う部屋で、娘たちとお針歌を歌いながら手を動かしていたかと思えば、厨房に顔を出し、香ばしく焼きがるパンや繊細な菓子を惚れ惚れと眺めている。
 つまみ食いをする奴はパイにしちまいますよ、と強面の料理長に脅かされ慌てたものの、まあせっかくだから味見をと差し出された新しい菓子に目を輝かせたり。
 真っ赤に焼けた鋼を打つ音が響き渡る鍛冶場で、磨き上げられた鎧をのぞき込んでいたところ、ダウフトさまもひとつどうだいと親方に被せられた兜の大きさに前が見えず、よろめくさまに職人たちの間から笑い声が上がったり。
 かと思えば修練場で、兵士や騎士たちに立ち混じって剣術の手ほどきを受けたりしている。
 誰がどうひいき目に見ても、ダウフトに筋のないことなど分かろうというものだが、相手を任されたエクセターのギルバート――砦いちの堅物と評判の若い騎士は、適当にあしらわれた挙句に修練場の地べたに尻もちをつく娘に立ち上がれと声を飛ばす。
「<ヒルデブランド>ばかりに頼るな。相手の戦意を削いだ隙に逃げる術だけでも叩き込んでおけ」
 騎士となるため、幼い頃から修練を重ねてきた男たちと同じことを、棍棒すら手にしたことのない娘がしようとしてもどだい無理なこと。ならばせめて、身を守る最低限の術だけでもものにしろと騎士は言う。
「おぬしなど戦場ではぐれたら最後、魔族どもの格好の餌食だぞ」
 連中とて、固く筋張った男なぞよりみずみずしい乙女のほうが好みだろうからなとうそぶく男に、悔し涙をにじませた目を向けて、まだまだですと樫の剣を手にダウフトは立ち上がる。周りにいる他の騎士や従者たち、側仕えの娘たちのほうがはらはらした表情で見守るしかないほどだ。
 もちろん、娘と己の力の差を鑑みた上で騎士が手加減をしているのは明らかだ。それが証拠に、しばしの休憩ののち仲間の騎士や見習いたちを相手に再び鍛錬を始めたエクセター生まれの男が見せた剣は、遠きリャザンの白い凍土を吹き渡る風よりも烈しかったから。

 何の取り柄もないような娘の名を、砦の者たちは―ただひとりを除いて―誇らしさと憧憬をこめて呼ぶ。砦じゅうを駆けめぐる姿に口元をほころばせ、まぶしいものを見るように目を細める。<母>なるものから授かったはずの聖剣など、その飾りにしか過ぎぬとでもいうように。
「ダウフト殿がお見えになるまで、この砦は決して今のような姿ではなかったのですよ」
 招かれた茶の席で、奥方イズーが話していたことをレオは思い出す。
「明るいとはいえぬ戦況、次々と押し寄せる忌まわしきものたち――いつ陥ちるか、いつ魔族に己が血をすすられ肉を貪られるかと、ゆるやかな絶望と諦めばかりが満ちていたのです。わたくしも、覚悟を決めようと短剣を懐に帯びたほどに」
 奥方が語る事実は、今の隅々にまで活気にあふれた砦の様子しか知らぬレオには、とうてい信じがたいことではあったのだけれど。
「ダウフト殿が砦に参られた日のことを、今でもよく覚えております」
 魔物の爪にでもかけられたのだろう、長さがひどくばらばらになった埃だらけの髪に泥だらけの顔。くるまったマントから覗く傷ついた手足。ものものしい砦の様子に怯えきった目をしていた名もなき娘は、その晩に砦を襲った魔族と向き合ったときに奇跡を見せた。
「弔いの祈りでもするがいいと嘲る魔族の前で、静かに立ちあがられました。まなざしをまっすぐに向けて」

 わたしは死なない――死ぬものかッ。

 凛とした叫びに応じるかのように、娘の手にかたちを取り現れたのが聖剣<ヒルデブランド>。

「その輝きは、砦に押し寄せた魔物たちをことごとく飲み込むほどにまばゆいものでした。わたくしたちの中に巣食っていた、昏きものをも共に消し去るほどに」
 以来、砦の中の何かが少しずつ、だが確実に変わっていったのだと奥方は微笑む。
「ならばなぜ、剣の力を押し立て魔族どもに対し打って出ようとしないのですか」
 血気盛んな少年の言葉に、奥方はそれはどのような意味ですかと問い返す。
「あんな娘でなくとも、アーケヴには名だたる強者がひしめいているはず。<母なる御方>が遣わした剣ならば、勇者にこそ似つかわしい」
 名もなき村娘など、身の程にふさわしく田舎にでも引きこもっていればよいのです。そう息巻いたレオの目に映ったのは、穏やかな――どこか憂いを秘めた奥方の表情。
「奥方さま?」
「いつかそなたにも、分かる時が来るでしょう」

 なぜ、剣が姿を現したのがダウフトの掌であったのか。
 なぜ、剣はダウフトにこそ力を振るうことを許したのか。

 ……なぜ、ダウフトでなければならなかったのか。

 靴先に、何かが当たる感触に我に返った。
 見れば鞠がひとつ、レオの足元に転がっている。中庭で遊んでいた娘たちの誰かが、投げる方向を違えでもしたらしい。
「ごめんなさ――」
 駆け寄ってきた赤髪の娘がレオを見るなり息をのみ、表情をこわばらせた。おおかた、広間で起きた出来事を聞いているのだろう。どうしてよいか分からず、困惑したように藍色の瞳を少年に向けている。
「どうしたの、マリー」
 朗らかに仲間の娘のもとにやってきた、勝ち気そうな金髪の娘がレオを見るなり、
「ああっ、とねりこ館のわがまま侯子ッ!」
 きりきりと眉をつり上げる。確かレネとかいう、ダウフトの側仕えの娘ではなかったか。
「何をしに来たのよ。ダウフトさまに言いがかりをつけようっていうなら」
 いつもの丁寧な口調はどこへやら、わたしが相手するわよと鼻息を荒くするレネを押しとどめる手があった。
「レオさま」
 まさか、当のダウフト本人が自分のもとへ来るとは思ってもいなかった少年の心臓が大きく跳ね上がる。
「拾おうとしてくださったんですね、ありがとうございます」
 やわらかな微笑みのどこにも、よこしまな影など見あたらないというのに。
 相手になさってはだめですと留めるレネをよそに、よかったらレオさまも一緒にどうですかと誘ってくれる声にも、咎めるようなものなど何もありはしないというのに。

 それなのに。

「うるさいッ」
 レオの怒声に、ダウフトが森のような目を大きく見開く。
 その表情が――曇りないまなざしが、何もかもが腹立たしい。
「おまえなんか」
 足元の鞠をつかみ、腕を振り上げる。怯えた声を上げるマリーと、挑むようなまなざしを向けたレネをかばい前に立ったダウフトめがけて鞠を投げつけようとした手が、大きな力に遮られる。
「おやおや。誇りあるとねりこの若君が、ご婦人に対して何たるふるまい」
 どこか茶化したような声に、身をすくめていた娘たちが顔を上げ――
「リシャールさま」
 驚くダウフトに、にこやかに一礼してみせたのは琥珀の騎士だ。優雅な仕草に、呆然としていた赤髪と金髪の娘がとろけるような表情を見せる。
「何とも無粋な所業を見かけ、すわ一大事と馳せ参じた次第。お怪我はありませんか」
「平気です。レネも、マリーも、わたしも。だからレオさまを放してください、ギルバート」
 ダウフトの声に、レオは自分の手を捉えている者がリシャールとかいう騎士などではなく、エクセター生まれの男であることを知る。
「放せッ」
 振りほどこうとしたものの、騎士はレオの腕をつかんだまま放そうとはしない。僕を誰だと思っていると口にしかけた言葉がそのまま凍りつく。
 怒声を浴びせるわけでもなく、心ないふるまいをした少年を咎めるわけでもなく。エクセターのギルバートは、黙ってレオを見ていた。
 本人のあずかり知らぬところで、無愛想さが玉に瑕と評される端正な顔には、何らこころの動きらしきものを見ることはできなったが。まるでめずらかな黒玉か、深く静かな夜のようと一部の婦人たちに囁かれている双眸にたたえられたひかりに、少年の口から短い悲鳴が漏れそうになったときだ。
「ギルバート、お願いです。レオさまを放して」
 呪縛を解いたのは、懇願する乙女の声だった。痺れすら覚え始めた右手がふいに自由を取り戻し、少年はその場に座りこむ。何てことをするんですかと黒髪の騎士を睨むと、砦の乙女は少年を助け起こそうとしたのだが、
「さわるなッ」
 娘の手を振り払い、立ち上がる。
「誰も彼もダウフト、ダウフト――うんざりだッ」
 驚きながらも、やがて悲しげな影を落とした緑の瞳に、言いようのない後悔を覚えたのに。
 ふたりの騎士に留められたように、不作法なふるまいに及んだ自分こそが最も恥じねばならぬ身だと分かってはいたのに。
「おまえなんか、聖女であるはずが」
 叫ぶ少年に、黒髪の騎士の声が被った。
「ここにいるのは、見てのとおりただの娘だ」
 先刻までたたえていた、瞬く新星のごとき苛烈はすでになく――双の漆黒に見え隠れするものは、どこか哀れむようなひかり。
「おぬしの望むような聖女など、いはしない」
 ギルバートの言葉に、しばし立ちつくしていたレオだったが、
「レオさまっ」
 ダウフトの声が追ってくることにもかまわず、少年は回廊を駆けだした。
 無意識のうちに、左手が胸元に当てられる。服の上から探っても分かる固く小さな感触に、心鎮めようとしながらも少年は走り続ける。

(おぬしの望むような聖女など、いはしない)
 分かっている。そんなこと、分かり切っている。

 あんなことを言うつもりなんてなかった。
 仮にも、騎士たらんとする者にあるまじきふるまいに及ぶつもりなどなかったというのに。
 ただ、ダウフト――あの剣を抱く娘と一度でいいから向き合ってみたかっただけ。
 やさしげな顔立ちの向こう、澄んだまなざしの向こうに、あえかな面影がありはしないかと見つけだしてみたかっただけ。

 ……それなのに。

                 ◆ ◆ ◆


 もう、こんな時間なのか。

 膝を抱えて草地に座り込みながら、陽光があかがね色の彩りを帯びていることにレオは気づく。泣きはらした目を辺りの草地へ――すぐ側でぽっかりと口を開けている暗い森へ向け、もう戻らなければとぼんやり思う。
 砦を見やれば、来たる夜に備えて松明の準備をする兵士たちの姿が見張り塔のあちこちに見受けられる。ふもとの町からたちのぼる幾筋もの煙は、ささやかだが温かい夕餉が家路につくものたちを待っているあかしだ。
「もっとも、案ずるのは爺くらいか」
 皮肉げにひとりごちた少年の横顔は、どこか疲れているようにも見える。
 事あるごとにダウフトへ突っかかった自分を、砦の者たちが大なり小なり快く思っていないことは知っている。このまま消えてしまったところで誰が案ずるものか。
 自棄のような考えを巡らせていたレオの動きが止まった。背後に感じた気配に、傍らの草地に放っていた得物へと手を伸ばす。

 魔物か。
 でも、陽の沈まぬうちから動き出すものがいるなどと聞いては――

「兄ちゃん」
 青い双眸に緊張をみなぎらせたレオにかけられたのは、幼い声だった。振り返った少年の視界に映ったのは、まだ五つほどの女の子だ。
「……アネットか」
 思わず、安堵の息を漏らしてレオは剣の柄から手を放した。
 確か、砦じゅうを駆け回る子供たちの中では一番の新顔で、最も幼かったはず。故郷の村が魔物に襲われ、たった一人で焼け跡をさまよっているところを砦の者に見つけられ連れてこられたと聞いたことがある。
 いつだったか、転んで泣いているところを助け起こしてやってからというもの、幼子はどういうわけかレオのことを気に入ったらしい。慣れない場所に来た辛さや、親兄弟のいない寂しさもあるだろうに。そんなことを微塵も感じさせない様子で、こうして時々レオの前に顔を出しては笑いかけてくる。
「どうしたんだ、こんな所に」
 心はまだささくれ立っていたものの、さすがに幼子を邪険にすることなどできるわけもなく、レオはかろうじて問いかける。
「追っかけてきたの。だって、兄ちゃん泣いてたんだもん」
 無邪気な声に、耳まで熱くなる。
「な、泣いてなんか」
 仮にもとねりこの紋章を掲げる身、子供ごときに馬鹿にされてなるものか。
「嘘だあ、うさぎみたいな目をしてるよ」
 精一杯張った虚勢は、素直な言葉の前にあっけなく崩れ落ちる。真っ赤になって黙り込んだレオの横に、アネットはちょこんと腰かける。
「ダウフト姉ちゃんのこと、きらいにならないでね」
 幼子の言葉に、レオはしばし呆気にとられる。砦の大人たちが繰り広げる騒ぎを、やりとりを、水色の無垢なまなざしは何とよく見抜いていることか!
「どうして」
「お城の人たちが言ってるよ。レオ兄ちゃんは姉ちゃんのことがきらいで、いじわるばっかりしてるって」
 いじわるか。
 子供らしい表現に、レオはかすかに苦笑を漏らす。確かに、そう人々に受け取られても仕方のないことばかりをしてきたのだから。
「……アネットは、聖女さまのことは好きか?」
 発した問いは、ひまわりのような笑顔と大きなうなずきで報われた。
「ダウフト姉ちゃん、アネットがこわい夢を見ないようにっていつも一緒に寝てくれるよ。お歌は母ちゃんのほうが上手だけど、あったかいのはおんなじなの」
 ひとりぼっちは、さみしいから。
 そう笑って、小さいアネットが寝つくまで――寝ついてからも、ずっと歌っているのだという。
「だから、兄ちゃんも仲良くしてくれたらいいなって」
 にこにこと答える子供の顔は、先刻自分に笑いかけてくれたダウフトの姿にどこかつながって。
「無理だ」
 泣くように、笑うように告げたレオに、幼子はきょとんとした表情になる。
「言っただろ。僕は――いじわるばかりしているから」
 どうしてですかと、悲しげに問いかけていた緑の瞳。目の当たりにしていたときは、あんなに腹立たしかったのに。
「だから、仲直りしようとしてもだめだ」
 きっと、受け入れてはもらえない。
「そんなことないもん」
 怒ったような声にアネットを見やると、水色の瞳がじっとレオを見つめている。
「やってみなくちゃわからないって、ギルバートさまはいつも言ってるもん」
 修練場で、へたり込むダウフトを相手に声を飛ばしていた騎士の姿がレオの脳裏によみがえる。
「泣いてもいいけど、そればっかりじゃだめだって。ちゃんと自分の足で立って、歩いていかなくちゃだめだって。やりもしないうちからあきらめちゃだめだって」
 幼いなりに解釈したであろう騎士の言葉が、少年の胸に迫る。
「できるよね?」
 どうか、だめだなんて言わないで。
 真摯なまなざしで自分を見るアネットに、約束しようとうなずきかけたとき――ざわりと空気がゆらめいた。

「兄ちゃん」
「アネット、離れるな」
 辺りを取り囲む、禍々しい気配に怯える幼子をかばいながら、草地に放っていた剣を手に取った。みっともなくべそをかいている隙などあったら、もっと早くに気づくべきだったのにという自分への怒りが胸を満たしたが、それも後の祭り。
 威嚇するような声を上げながら、少年と幼子を取り囲むのは<屍食らい>――宵闇を好み、日のあるうちには人前に現れてこないはずの小鬼だ。一頭ならばともかく、こうして何頭もの魔物に囲まれては、たとえつわものであったとしても抗いきることは難しかろう。ましてや五つの幼子と、剣を手にしてはいても戦いの経験などなきに等しい少年など。
「……母ちゃん」
 レオにすがりついたアネットが小さく呟き、水色の目を潤ませる。故郷が襲われ、親きょうだいとはぐれた日を思い出したのか、幼い顔にはまるでそぐわぬ恐怖を張り付かせて。

 こんな顔をさせるなんて。

 ぎり、と唇を噛みしめる。輝くような金髪につつまれた頭を横に振り、よみがえりかけた忌まわしい記憶を振り払い、レオはできるだけ平静さを装ってアネットに笑いかけた。
「僕が行け、と言ったら走るんだぞ」
「やだ、できない」べそをかく幼子に、
「さっき教えてくれただろう? やってみなくちゃわからないって」
 あれは嘘だったのかと問うと、幼子は嘘じゃないもんとむきになって反論してくる。
「だったら走るんだ。絶対に振り返らないで、砦に向かって、それから」
 レオの後を、べそをかきながらもアネットが続けた。
「おっきな声で助けてって言う。兄ちゃんがいるって言う」
「――」
 鋼玉の双眸に、今にも泣き出したいような心の揺らぎを浮かべて。レオはあちこちが絡まって風まかせになっているアネットの金髪をそっと撫でる。
 ちゃんと手入れをしてやれば、きっときれいな髪になるだろうに。運良くここを逃れることができたなら、とねりこ館の叔母たちが飽きてしまい込んであるような服を、子供の丈に合わせて作り直させようと心に決めて、レオは飛びかかる好機をうかがっている魔物たちに目を向ける。

 逃げるものか。
 この子を――アネットを遠くに逃すまでは。

「走れッ」
 叫ぶとともに抜刀する。
 醜い悲鳴とともに、レオに近づきすぎた<屍食らい>が、一の太刀を受けて草地を朱に染める。たちまち同胞に飛びかかり、その肉を貪りはじめた<屍食らい>の隙をついて、アネットが勢いよく走り出す。

 そうだ、走れ。もっと遠くへ。

 耳元で鼓動と、浅く早い自分の呼吸とが鳴り響いている。
 忌まわしき魔性とはいえ、初めて生命あるものに刃を向けた恐ろしさに足がすくむ。肉を裂き骨を断ち切った感触が、まだ手の中に残っている。骨を噛み砕きしゃぶり尽くす音と、空気に混ざる血臭に吐き気を覚えながらも、レオは初めて砦を訪れたときの自分を思い出す。

 思い上がっていたのは、僕のほうだ。
 お祖父さまの武器庫から取ってきたこの剣さえあれば、怖いものなんてないと思っていた。何でもできると思っていた。
 なのに――

 剣が、鋼が。
 かたちを取ったちからが、こんなにも重く、熱く、冷たいものだったなんて。

 耳障りな叫びに我に返った。食らいつくした仲間の残骸を草地に残し、<屍食らい>たちはレオのほうへとのろのろと距離を縮めてくる。
 本来であれば、魔性とはいえ森の自浄を助ける役目を持つものたちだ。だが戦がもたらす風や大地の乱れに影響され、昼間でもひとや獣を襲う凶暴さを持つに至っている。
 夕刻とはいえ、いまだ陽が射す方角へと抜けたアネットのことはもはや彼らの眼中にはない。闇の安息に息づく身ゆえに、光こそが彼らの最も厭うべきものとなっていたからだ。
 すべてを包み込み安らわせる闇と、すべてをありのままにさらけ出す光と。
 どちらも選びきれぬ人間という存在を、何故<母なるもの>は生み出したというのだろう。

 ふたたび刃が一閃する。短い悲鳴を上げて、傷を追った<屍食らい>の一頭が近くの低木に逃げ込んだ。
「待てッ」
 草地に点々とした血痕をたどって、レオは茂みに消えた魔物を追う。
 ここで確実に仕留めなければ、手負いの魔物はより凶暴となる。人間に傷つけられた怒りを抱え、憎しみとともにどこかの町や村を襲う。
 それだけは、何としても避けなければ。

 どこだ。どこにいる。

 低木が途切れ、辺りに鬱蒼とした木立ちが目立ちはじめたことにも構わず、レオは消えた小鬼を探そうと頭を巡らせる。
「もう同じじゃない」
 あのときとは違う。違うんだ。
 迫り来る夕闇も手伝って、暗さを増しつつある森の木々が大きく立ちはだかってくるような感覚に眩暈を覚えながらも、レオはふたたび周りを見渡した。
「……同じじゃないんだ」
 何ひとつ力のなかった、あの頃とは。


 がさりと茂みが動く。思わず、レオがそちらに振り返ったときだ。
 視界に覆い被さる影と、頭に感じた鈍い衝撃。

 しまった。

 右手から鋼の重みが滑り落ちていく。草地に膝を突きながらも、獲物を陥れたことに喜悦の声を上げる魔性たちの濁った目を間近に見たとき、

「――レオさまッ!」
 意識の糸が途切れる前に耳に届いたのは乙女の声と、視界の奥底にまで閃いたあたたかな光だ。

                 ◆ ◆ ◆

「おい、いじわるギルバート」
 たいそう嬉しげに呼びかけたリシャールに、普段に勝る仏頂面で詰所の長椅子に腰かけ、文書を広げていた黒髪の騎士は面を上げて睨み返す。
 あまり刺激なさらないで下さい、と傍らに控えたヴァルターが慌てて止めるのにも構わず、リシャールは抱えていたいくつかの文書をギルバートの前に積み上げた。
「そら、頼まれものだ。傷心の折だというのに熱心なことだな」
「誰が傷心だ」
 ぶっきらぼうな物言いも、十数年来の付き合いである幼馴染みには慣れたものだ。
「無理せんでもいいぞ。身を挺してお守り申し上げた乙女に、いじわるの一言で片付けられてしまっては立つ瀬もあるまい」
 何と、まことの心とは通じにくいものよと天を仰ぐ琥珀の騎士に、ギルバートは呆れた顔になる。
「無情とでも何とでも好きに思えばいい。娘ひとりの気ままになど付き合っていられるものか」
「ほう、その割には動揺していたな」
 おかしさをこらえたリシャールに、何が言いたいとばかりに夜のような双眸が向けられる。
「坊やが泣きながら走り去って、成り行きで悪者になってしまった時のおぬしの顔ときたら」
 レネやマリーの方が、かえってギルバートを案じるほどだった。
「あんな顔を見たのは久しぶりだ。昔のおぬしに戻ったようで、友としては喜ばしいのだがな」
「前から言おうと思っていたが」
 かろうじて苛立ちを抑えた溜息とともに、ギルバートは友を見やった。
「何かとダウフトにこじつけるのはよせ。あの娘がいようといまいと、俺は俺だ」
 何ひとつ変わらないし、これからも変わることなどありはしない。
 そう言い切る黒髪の友に、琥珀の双眸に閃いた痛ましさとも悲しみともつかぬゆらぎをひそかに押し隠して、リシャールはさてどうかなと肩をすくめる。
「なら聞くが、デュフレーヌ家について調べようとしたのは何故だ?」
 リシャールの問いに、ぐっと言葉に詰まる騎士。
「無情を気取るなら、坊やの癇癪なぞ放っておけばよかっただろう。ダウフト殿が打たれようと、素知らぬ顔で通り過ぎていれば済んだ。なのに、おぬしのしている事ときたらまるで逆だ」
 他家の事情に疎いとか何とか、理屈をつけて砦の者たちからそれとなく話を聞き出し。書庫の学僧ウィリアムを急かして、ここ十数年の間に起きた事件について記された文書を読みあさっている。
「坊やが突っかかる理由は、とねりこ館の事情と関わりがあるのではないか。どうせ、おぬしが考えているのはそんな所だろう」
 結局はダウフト殿のためだろうが。そう断じたリシャールを、しばし睨んでいたギルバートだったが、
「……おぬしが時々嫌になるのは、そういう所だ」
 どこかふてくされたような横顔に、おや図星だったかとリシャールは内心ほくそ笑む。
 いじわるなどと言われて、実は少しばかり落ち込んでいるというのに。
 そういうところを少しでも現わしていれば、今のような顔をダウフトの前で見せていれば。緑萌ゆる双眸に望みを宿したかの乙女ならば、必ずや微笑みとともに受け止めてくれようものを。
 まったくもって、仕方のない男だな。そう思いながら、リシャールが口を開きかけたときだ。
「ジェフレ卿なら関心があるのではないか? 老侯のご息女がたは、いずれ劣らぬ名花と聞き及ぶぞ」
 ふいにかけられた声に、二人の騎士は詰所の戸口を見やる。
「アラン卿」
「すまぬな。立ち聞きなどと野暮な真似をするつもりはなかったが」
 穏やかな声と共に現れたのは、四十をいくらか過ぎたと思われる痩身の騎士だった。
 <アーケヴの狼>たちの中にあって、もっとも物静かな人柄で知られる男だが、騎士団長からも信を置かれる言葉の重みと剣を取ったときの勲いさおしは、決して他にひけを取るものではない。
「デュフレーヌは、男女を問わず美貌で名高い家門。老侯の亡き子息とその奥方も、一幅の絵のように似合いの二人であったそうだ」
「亡き子息ということは、レオ侯子の二親ですか」
 軽く目を見張るリシャールに、アラン卿はうむとうなずく。
「ことに若い奥方は、天上の百合か白薔薇かと讃えられるほどに美しい御方であったというぞ。レオ侯子に、母君の面影があるかどうかは定かではないがな」
 アラン卿の言葉――ことにご婦人がたが揃いも揃った美女ばかりという点に、いたく興味をそそられたリシャールだったが、横で真面目にやれとばかりに睨む友に気づき、一つ咳払いをして姿勢を正す。
「ですが、それとあのわがまま侯子とがどう関わるというのです」
 それは、と言いよどんだ騎士の言葉を遮ったのは、勢いよく開かれた扉の音。
「あ、アラン卿」
 息を切らして床に座り込んだのはひとりの老人――トマスという、わがまま侯子に付き従って砦にやってきた召使いだ。その腕に抱かれて泣きじゃくる子供と、服の裾に点々と着いた血痕に、ギルバートがわずかに表情を固くする。
「アネット?」
 黒髪の騎士の姿を見とめ、幼子は一時ほっとしたような顔を見せる。何かを言いたそうに小さな口を動かすのだが、しゃくり上げているためにうまく伝えられずにいるようだ。ただならぬ事態を察して、視線を交わしあった騎士たちに投げられたのは、叫びにも近いトマスの声だった。
「わ、若さまが森へ――<帰らずの森>へ」
 最後のことばに、騎士たちの表情が一斉にこわばった。

 <帰らずの森>。名の通り、迷い込んだものは人も獣もみなその懐に抱かれて戻らぬ樹海だ。

 昼なお暗く深いかの場所には、太古の遺跡とそれを護る魑魅魍魎が跋扈ばっこすると言い伝えられており、薬師や木こりなど、森を良く知る者たちですら必要以上に立ち入ろうとはしなかった。ことに魔族との戦いが烈しさを増してきた昨今、森で彼らの姿を見かけたとの話が砦に持ち込まれることも少なくはなかった。
「なぜそのような所に。彼奴きゃつらの動きが読めぬ今、森に立ち入ることまかりならぬとの通達が出ていたはず」
 珍しく厳しい声音となったアラン卿に、老いた召使いは申し訳ございませぬと地に頭をすりつけんばかりに平伏する。
「夕刻になっても若さまがお戻りにならず、お探し申し上げていたところにこの子が森から駆けてきたのです。魔物に襲われたと聞き、ダウフトさまが急ぎ後を追われて」
「……あの、はねっ返りめが」
 思わずうなったものの何とか平静を取り戻し、ギルバートはそれはいつ頃かとトマスへ問いかける。
「半刻ほど前でございます。後を追おうとしましたが、老体ではそれもかなわず」
 トマスの言葉にギルバートが窓の外を見やれば、城壁に遮られた空は茜と紫紺があやなす黄昏に彩られている。ここから見ることはかなわぬが、陽はすでに鬱蒼とした森のかなたに姿を消しつつあるのだろう。
 残照が消え去れば、黄昏は帳を降ろす。輝く陽のもとで生きるものたちを安らわせ、暗闇に息づくものたちがうごめきだす夜を連れてくる。
「わ、若さまにもしものことがあっては」
 幼いアネットを抱えたまま、老人は涙をにじませる。
「若奥さまがあのような亡くなりかたをされてから、この老いぼれめが若さまをお世話申し上げてまいりました。いくさに向かわれる若旦那さまからも、くれぐれも頼むと仰せつかりましたものを」
 嗚咽するトマスに、すまぬが今は昔語りを聞いているときではとリシャールがなだめようとしたときだ。

「とねりこ館の惨劇」

 呻くような声に、ギルバートとリシャールはアラン卿のほうを見やる。
「今また、それを耳にすることになろうとは」
 壮年の騎士の顔に浮かぶのは、歴戦のもののふらしからぬ恐怖だった。常に穏やかな態度を崩さず、猪突猛進な騎士団長を副団長と共に諫める一方で、若い騎士たちを導いてきた男のただならぬ様子に、黒曜石と琥珀の双眸が見合わされる。
「アラン卿、それは」
 問いかけたギルバートの足元にすがりつく者があった。
「どうか若さまをお救いくださいませ、エクセター卿」
 皺深い顔に滂沱の涙を流しながら、デュフレーヌの召使いは懇願する。
「ダウフトさまに対する数々のご無礼を思えば、何と身勝手な頼みかと卿がお怒りを抱いておられるのは重々承知の上でございます。わたくしを打ち据えることでお気が済むのであれば、いかようにもなさってくださいませ」
「……ご老人」
 溜息とともにギルバートはトマスの前にかがみ込み、顔を上げられよと静かに告げる。
「いにしえの暴君ヘロデではあるまいに、俺が御身を打たねばならぬ理由などない」
 若い騎士の言葉に、トマスは何を言われているのか分からぬといった顔をする。
「ただ、ひとつだけ知りたい。何故デュフレーヌのレオが、ああもダウフトにこだわるのかだ」

 聖女とは名ばかりのひなよと嘲りながら、なおも近づこうとするその行動も、態度も、すべて。

「まるで、懸命に母の気を引こうとする幼子だ」
 ギルバートの言葉に、老人は声にならぬ呻きを上げる。
「アラン卿の言っておられた惨劇というものが、関わりがあることなのか」
 忌まわしい過去を思い起こさせることが、いかに酷であるかは知っていた。だがそこに、レオの真意が隠されている気がしてならなかったのだ。
「トマス殿、どうか」
「……若さまは、囚われたままでおられるのです」
 肩を震わせ、老いた召使いはギルバートを見上げる。
「たったお一人で、暗闇に取り残された四つのころのまま。ずっと」
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