世界最強は元落ちこぼれ

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ラティ追憶編

魔姫と王女様の出会い4

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ラティが王女様に腕を引っ張られ連れてこられたのは皇帝陛下のいる扉の前だった。

「では、行きましょうか」軽い感じで王女様は扉を開ける。

ーー玉座の間ーー
その扉を開けると騎士達が真ん中の通路を空けて左右に並んでいた。そして1番奥の豪華な椅子に皇帝陛下が座っていた。

そして、一応の礼儀としてラティは皇帝陛下のいる階段の前で立膝をし頭を下げる。

「顔を上げよ」皇帝陛下の声が、誰も喋らない玉座の間に響く。

ラティは顔を上げる。皇帝陛下の顔はとても王女様の親とは思えない容姿だった。正直に言うと豚のような容姿だった。ラティはこの時…王女様は母親似だと確信したのだった。

「ソフィアよ、この者が指導者か?先程ザックを案内させに行かせたのだが……」皇帝陛下が言うと……

「あいつなら、こちらの方が倒しましたよ」王女様の発言と共に騎士達が殺気を放ちながら剣を抜こうとする。しかし……

「えぇい、やめんか」皇帝陛下の隣に立っていた宰相の一言で騎士達はラティへの攻撃をやめる。宰相は皇帝陛下とは違いかなりのイケメンだ。しかも、【アトランティス】のメンバーと似た雰囲気を感じる。

騎士達が落ち着き始めた ところで宰相が口を開く。

「ソフィア様が懐くという事は、この者は少なくともソフィア様には害のない人物という事がわからんのか」

「「「「「はっ、申し訳ございません」」」」」騎士達が一斉に頭を下げる。

騎士達が皇帝陛下と宰相に謝罪すると皇帝陛下はラティの方を見て口を開く。
「さて…そこの者、名はなんと言うのだ?」

「ギルド【アトランティス】から参りました。魔姫と言います」下手にならず…また上から目線でもなくラティは魔姫として自己紹介をした。

「そなたが、ソフィアの新しい指導役か…仮面はしているが風貌からしてザックの方が強そうだな。本当に強いのか?そなた」

少し小馬鹿にするような感じで皇帝陛下がラティに向かって言った。そして今辺りの様子を見ると騎士達も皇帝陛下と同じ気持ちのようだ。しかし、ただ一名魔姫ラティの方がすごいと思う人物がいた。それは王女様だ。…と思っていたが宰相も魔姫ラティの方が圧倒的に強いと思っている様子だ。

「陛下…ここは一度この者にソフィア様を任せてみてはいかがでしょう。魔術の方が才能があるソフィア様は騎士のザックよりも同じ魔術の才能がある魔姫殿の方が教える事に向いているかもしれません。何より……ソフィア様が、ここまで懐かれる姿を王妃様やサフィア様やシフィア様以外では見た事がありません」

宰相の言葉で、なるほどと言いながら考え込む皇帝陛下…そして………

「よし、では2ヶ月間試しにソフィアを任せよう…頼んだぞ」

皇帝陛下がそう言うとソフィアはこれ以上ない程の笑顔で「ありがとうございます。お父様」と言って皇帝陛下に感謝の言葉をいった。


こうして、魔姫ラティソフィア王女様の指導役となった。
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