464 / 554
白銀の旋風
しおりを挟む「まて。」
しかし、彼はアインが帰ろうとしたのを止めた。
「なんなの?魔族ではないことは証明したと思うんだけど。」
「何を言っているんだ。
君の今の行動は、魔族であることを決定づけたではないか。」
アインは正直何を言っているんだと思ったが、彼は自信満々にこういった。
「高位の魔族は、魔力の制御がうまいことがある。
だからこそ、君はやはり魔族だったのか。」
正直、魔力の制御なんて、宮廷魔法士でも、簡単にできる。
それこそ、しっかりとした教育を受けてさえいれば、できるようなことだった。
高位の魔族が得意というのは本当だが、それでも、人間でも普通にできるような芸当だったのだ。
「そんなことはないだろう。
魔力の制御くらいは、しっかりとした教育を受けている人だったら、誰でもできるからな。」
「そんなことはない。」
そこで彼は衝撃的な理由を言ってきた。
「なぜなら僕の仲間であるナサリーができないからな。」
「は?
それは、彼女の実力が足りていないだけでは?」
「何言ってんのよ!
私は由緒正しき、伯爵家の令嬢で子供のころからしっかりと教育を受けてきたのよ!?」
「そうなんだ。それでどこの伯爵家?」
「聞いて驚きなさい。
私の家は、伯爵家の中では結構名が通っているのよ。」
そして、彼女が言った家の名前は、今回の貴族反乱において、つかまっている貴族の家だった。
「そうなのか。それじゃあ、聞くけど、最後に家に帰ったのはいつ?」
「なんでそんなことを聞くんだ。それは彼女に対するセクハラじゃないのか!」
そこで、さっきの青年が話に入り込んできたが、アインには決定的な自信があったので、そのまま話をつづけた。
「実は、最近この国の貴族が、王族に対して反乱を起こしたことは知っているな?」
「ああ、それは、有名な話だからな。」
「僕の記憶違いでなければ、彼女の家は、反乱軍として、国のほうに捕らえられているはずなんだが?」
しかし、この情報に関しては、彼らは本当に知らなかったのだろう。
その話を聞いた瞬間に、自分の家を侮辱されたと思った、ナサリーという女性は、アインに対して、怒鳴り散らした。
「何を言っているの!私の家がそんなことしているわけないでしょ!」
「そうだ!いきなり彼女の家を侮辱するなんて、いくら逃げたいからって、そんなことをして許されると思っているのか!」
こんな大声でしゃべっているので、すでに周りには、観客が増えてきた。
「まったく。本当のことを言っては、嘘だといい。
自分たちにとって都合のいい事だけは、信じ切っている。
君たちはもう少しだけ常識というものを身につけたほうがいいんじゃないのか?」
「なん…だって…
これでも僕たちはクラン白銀の旋風の名で通っているクランのリーダーだぞ?
そんな僕たちに常識を問うなんて…
そんなにしてまで魔族だということを隠したいのか!」
白銀の旋風は、強いもの採用しない力を重視しているクランで、すでにBランクのクランとなっている。
クランとしてのBランクは、ただ単純にパーティーでAランクになるよりも難しく、結構力をつけていることの証明だった。
「Bランククランだって。」
「それって結構すごい事なんじゃないの?」
「それじゃあ、本当に彼は魔族ってことなんじゃ…」
そんな疑いがかけられ始めたので、さすがにアインも、自身の潔白を証明することにしたのだった。
31
あなたにおすすめの小説
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚
熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。
しかし職業は最強!?
自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!?
ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる