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29.改めて旅を続ける(5月7日)
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翌日から、アリシアの背中にはMP5Kが背負われ、腰回りのポーチには予備を含めて2つのマガジンが収められるようになった。
朝食も終え、昨夜のうちに洗濯して干しておいたBDUに着替えた一同は、昨日マンティコレを発見した丘の上まで転移魔法で戻った。
ここから仕切り直して再出発する。
一旦丘を下って元のコースに復帰するかと思っていたが、このまま丘の中央部を通ってこの先の山の尾根を登り、本来の峠道を探すことにしたらしい。
まあコースの選択は専門の教育を受けたのであろう3人に任せ、俺は魔物の探索にのみ神経を集中させる。
「カズヤさん!どうですか?魔物の気配は??」
「いや、数キロメートル先までは特に反応はないな。ただ高低差があるから、水平位置より下はきちんと探れてはいない。半径300メートルは上空から地表まで探っているから、いきなり襲われることはないと思うが?」
「え~それは残念……」
アリシアは少し唇を尖らせて、キョロキョロと周囲を見渡している。
「なんだ?アリシアがやけに好戦的じゃないか?」
アイダがイザベルと話している。
「アレよ。アリシアちゃんが背負ってるあの黒いの。アレがお兄ちゃんに借りた魔道具なんだって。あれで魔物を狩るって張り切ってるの」
「そうか。まあ、アリシアは今までロクに魔物を狩れなかったからな。強力な武器を手に入れて、はしゃぐ気持ちもわかるが……」
なんか引っかかる言い方だな。思わず口を挟む。
「アイダ。アリシアは魔物狩りが下手なのか?槍や弓はあまり上手くないと聞いているが、魔法の腕はそこそこだろう?」
「カズヤ殿にも知っておいていただいたほうが良いかもしれません。アリシアは勉強はできますし努力家ですが、どうにも複数の魔法を同時に発現させる事が苦手なようなのです。例えば結界を張るとか、治癒魔法を掛けるといった1つの魔法を行使するには問題ありません。それは私達も頼りにしています。ただ……」
「ただ??」
アイダが言い澱むが先を促す。
「えっとね。土の礫を飛ばす時って、まず土の礫を作るでしょ。それから狙う相手を決めて、その距離と動きを読みながら、自分の飛ばす礫の速度も計算に入れて少し先に打ち込む。んで打ち込んだ礫に何をさせるか。ぶつけるだけでいいのか、貫通させるのか、相手を燃え上がらせるのか、凍らせてしまうのか。それだけでも何工程もあるよね。それを全部魔法だけで発現しなくちゃいけない。アリシアちゃんはたぶん、最大で3つぐらいしか同時発現ができないんだと思う」
「じゃあ、例えばだ。鏃にアリシアが魔法を行使して、その矢をイザベルが放つとどうなる?」
「それは一度やってみた!例えば貫通魔法を掛けた矢は、普通に狙った獲物を貫通したよ?でもそれじゃ私が普通に矢に貫通魔法を掛けるのと一緒じゃん?わざわざアリシアちゃんが魔法を掛ける意味はないよね?」
ふむ……つまり攻撃魔法の行使には圧倒的に向かないということか。
しかしエアガンはイザベルの放つ矢の代わりになる。
予め魔法を掛けたBB弾を使えば、BB弾を射出する部分は単純な作業だ。あとは放ったBB弾を目標まで誘導し、発現させるだけ。
なるほど……アリシアにはおあつらえ向きの武器だったということか。
まあ、覚えておくべきは、アリシアにマルチタスクは向いていないかもしれないという事だ。
だが今からの鍛え方で、もしかしたら別の能力や才能が開花するかも知れない。現にエアガンは使いこなせそうな気配は出ている。
エアガンが苦手とする超接近戦、いわゆるCQBをアイダに任せ、イザベルとアリシア、俺で遠距離攻撃を仕掛けることができれば、それはそれで一つの戦術の形にはなる。
「欲を言えば、接近戦で戦える仲間がもう一人か二人は欲しいですね。カズヤ殿とアリシア、それにできればイザベルにも護衛役というか相方は必要です」
今後の戦術について歩きながらアイダと話し合っていると、アイダからそんな要望が出た。
「私は一応接近戦も得意だよ?だから自分の身を守りながらでも、お兄ちゃんぐらいは守ってあげられるかも。アイダちゃんがアリシアちゃんと組むほうがいいんじゃない?」
「そんな事言って、イザベルはカズヤ殿と組みたいだけじゃないだろうな?」
「え?何の事かなあ??」
「……イザベルの提案に従うのも癪ですが、当面はそれがいいと思います。イザベルとアリシアでは、どうしてもいざという時に不安が残るので」
「まあそこはお互いを知っている3人に任すよ。でも俺も自分の身ぐらい自分で守れるようにならなきゃな」
サバイバルゲームでは格闘戦のようなものは通常禁止されている。もちろんマーシャルアーツなんかに興味が無かったわけでもないし、剣道や合気道は子供の頃にちょっと囓ってはいる。
だがそんなものは命懸けの世界では通用しないだろう。
「そういえば剣の手解きをする約束でしたね。早速休憩の時にでも始めましょう。というか始めますので、よろしくお願いしますね」
何やら一方的な宣言をされたような気がするが、どういう意味だろう。
いや、意味はわかっている。俺から頼んだ話だ。
まああれか。休憩時間になったら、ちゃんと話して……
そうか。そろそろ歩き出して2時間近く経っている。山道だし、みんな多少疲れているだろう。というか俺が疲れた。
「よし、そろそろしっかり休憩を取ろう。軽い食事の準備でも……うわっ!!」
突然アイダが剣を抜き、斬りかかってきた。
かわし損ねた前髪が宙を舞うのがゆっくり見える。
「あ~あ。鬼教官仕込みのtodas partesが始まった……お兄ちゃん頑張って❤︎」
っておい!さっきの宣言はこういうことか!
「まずは剣から目を逸らさぬこと!武器を持って応戦するのはその後!」
アイダがブンブンと剣を振り下ろしてくる。
「大振りで避けると隙を生む!敵が一人だと思うな!」
ひええええ……鬼教官だ。鬼教官がいる……!
「お兄ちゃん~!アイダも、ご飯できたよ~」
結局アイダ鬼教官のしごき、ではない手解きは30分ほども続いた。
「よし!今回はここまで!なかなか筋がいいぞカズヤ殿!」
そりゃありがとう。
ただちょっと立ち上がれないぞ。
「カズヤさん!治癒魔法掛けますね!」
駆け寄ってきたアリシアが、俺の横に膝をつき、手を差し伸べる。
おお……そういえば治癒魔法を掛けられるのは初めてだ。全身を優しい光が包み、ふんわりと温かくなる。
「どうですか?」
「ああ。身体がすごく軽くなった。ありがとうアリシア」
そう言いながら頭を撫でる。
「えへへ。お役に立てて光栄です」
アリシアも尻尾があったらブンブンと振るのだろうな。
そういえば魔物がいるのなら獣人もいるのだろうか。
「お二人さ~ん?私達で全部食べちゃうぞ~」
イザベルの声に我に返る。
そうだった。昼食が待っていた。
昼食はアリシアとイザベルが準備してくれた。
ということは、いつぞの昼食と同じマッツァーがメインと、昨日のイザベルが狩ったウサギ肉を焼いたものだ。
「なあイザベル。さっきトダ_スパルテス?みたいなこと言ってなかったか?あれどういう意味だ?」
イザベルが呟いた言葉が気になり、尋ねてみる。
「ん?ああ、あれね。学校の軍人上がりの剣術教官に、すっごい厳しい人がいるの。口癖が“戦士たる者、何時何処でも戦えるように常に緊張感を持っておれ!”なんだよ。んで、その訓練方法がtodas_partesね。“どこでも”って意味かな」
「しかも実際に廊下や休み時間でも斬りかかってくるんですよ!私も何回も背後から一本取られたことか……」
「アリシアはちゃんと寸止めしてもらってたろ!?私は剣の腹で思いっきり殴られたぞ……」
「まあ悪い教官じゃないんだけどね……鍛え甲斐があると見込まれたら、とことんヤられるからね」
イザベルとアイダの笑い声が乾いている。
“常在戦場”
日本でも藩訓にしていた藩もあったらしいが、つまりはそういうことだろう。
「まあ、方法の是非はともかく、カズヤ殿には午後からは私の予備の剣を持ってもらう。あ、履くのではない。出来れば右手に持っていてくれ。次からは受けと流しの練習だから、重さに慣れて貰わなくては」
アイダから剣を受け取る。アイダが装備しているのと同じ、刃渡り70センチほどの諸刃の直剣だ。
見た目ほど重くはない。1キログラムないぐらいだ。
とはいえ、これを30分全力で振り回すのは相当な腕力と握力だ。
「アイダちゃん!寝込みも襲うの?」
イザベルが何やら要らんことを言い始める。
「そうだな。本来はそうしたい所だが、それで眠れなくなったら困るからな。今は休憩時間だけにしよう。カズヤ殿もそれでいいだろうか?」
いいというか、是非そうしてください!
「な~んだ。またアイダちゃんがお兄ちゃんに夜這いかけるのかと思った」
「よ……夜這い!しかもまたって何だ!わ、私がいつ夜這いなど!!」
「え?この前野営した明け方に、お兄ちゃんの天幕に潜り込んでいったじゃん?アリシアちゃんと2人でドキドキしながら覗いてたのに、結局隣で寝てただけだったけど?」
「覗いてたって…あ…あれはだな!カズヤ殿の指を吸うと魔力が回復するとアリシアが言うから……イザベルだってこの前の宿屋でカズヤ殿に跨がって……その……腰を……」
「ああ、あれ?あれねえ……硬いのが当たって気持ちよかったなあ」
「かっ、硬いの……?」
「気持ちいいいいい……???」
アイダとアリシアが顔を真っ赤にする。
「ねえお兄ちゃん、また一緒に寝るとき、ヤってね??」
この娘は……計算尽くならよっぽどの悪女の才能がありそうだ。
「バカなことを言ってないで、食べ終わったなら片付けて出発するぞ!」
『は~い』
ようやくアイダとアリシアの意識も何処かから戻ってきた。
朝食も終え、昨夜のうちに洗濯して干しておいたBDUに着替えた一同は、昨日マンティコレを発見した丘の上まで転移魔法で戻った。
ここから仕切り直して再出発する。
一旦丘を下って元のコースに復帰するかと思っていたが、このまま丘の中央部を通ってこの先の山の尾根を登り、本来の峠道を探すことにしたらしい。
まあコースの選択は専門の教育を受けたのであろう3人に任せ、俺は魔物の探索にのみ神経を集中させる。
「カズヤさん!どうですか?魔物の気配は??」
「いや、数キロメートル先までは特に反応はないな。ただ高低差があるから、水平位置より下はきちんと探れてはいない。半径300メートルは上空から地表まで探っているから、いきなり襲われることはないと思うが?」
「え~それは残念……」
アリシアは少し唇を尖らせて、キョロキョロと周囲を見渡している。
「なんだ?アリシアがやけに好戦的じゃないか?」
アイダがイザベルと話している。
「アレよ。アリシアちゃんが背負ってるあの黒いの。アレがお兄ちゃんに借りた魔道具なんだって。あれで魔物を狩るって張り切ってるの」
「そうか。まあ、アリシアは今までロクに魔物を狩れなかったからな。強力な武器を手に入れて、はしゃぐ気持ちもわかるが……」
なんか引っかかる言い方だな。思わず口を挟む。
「アイダ。アリシアは魔物狩りが下手なのか?槍や弓はあまり上手くないと聞いているが、魔法の腕はそこそこだろう?」
「カズヤ殿にも知っておいていただいたほうが良いかもしれません。アリシアは勉強はできますし努力家ですが、どうにも複数の魔法を同時に発現させる事が苦手なようなのです。例えば結界を張るとか、治癒魔法を掛けるといった1つの魔法を行使するには問題ありません。それは私達も頼りにしています。ただ……」
「ただ??」
アイダが言い澱むが先を促す。
「えっとね。土の礫を飛ばす時って、まず土の礫を作るでしょ。それから狙う相手を決めて、その距離と動きを読みながら、自分の飛ばす礫の速度も計算に入れて少し先に打ち込む。んで打ち込んだ礫に何をさせるか。ぶつけるだけでいいのか、貫通させるのか、相手を燃え上がらせるのか、凍らせてしまうのか。それだけでも何工程もあるよね。それを全部魔法だけで発現しなくちゃいけない。アリシアちゃんはたぶん、最大で3つぐらいしか同時発現ができないんだと思う」
「じゃあ、例えばだ。鏃にアリシアが魔法を行使して、その矢をイザベルが放つとどうなる?」
「それは一度やってみた!例えば貫通魔法を掛けた矢は、普通に狙った獲物を貫通したよ?でもそれじゃ私が普通に矢に貫通魔法を掛けるのと一緒じゃん?わざわざアリシアちゃんが魔法を掛ける意味はないよね?」
ふむ……つまり攻撃魔法の行使には圧倒的に向かないということか。
しかしエアガンはイザベルの放つ矢の代わりになる。
予め魔法を掛けたBB弾を使えば、BB弾を射出する部分は単純な作業だ。あとは放ったBB弾を目標まで誘導し、発現させるだけ。
なるほど……アリシアにはおあつらえ向きの武器だったということか。
まあ、覚えておくべきは、アリシアにマルチタスクは向いていないかもしれないという事だ。
だが今からの鍛え方で、もしかしたら別の能力や才能が開花するかも知れない。現にエアガンは使いこなせそうな気配は出ている。
エアガンが苦手とする超接近戦、いわゆるCQBをアイダに任せ、イザベルとアリシア、俺で遠距離攻撃を仕掛けることができれば、それはそれで一つの戦術の形にはなる。
「欲を言えば、接近戦で戦える仲間がもう一人か二人は欲しいですね。カズヤ殿とアリシア、それにできればイザベルにも護衛役というか相方は必要です」
今後の戦術について歩きながらアイダと話し合っていると、アイダからそんな要望が出た。
「私は一応接近戦も得意だよ?だから自分の身を守りながらでも、お兄ちゃんぐらいは守ってあげられるかも。アイダちゃんがアリシアちゃんと組むほうがいいんじゃない?」
「そんな事言って、イザベルはカズヤ殿と組みたいだけじゃないだろうな?」
「え?何の事かなあ??」
「……イザベルの提案に従うのも癪ですが、当面はそれがいいと思います。イザベルとアリシアでは、どうしてもいざという時に不安が残るので」
「まあそこはお互いを知っている3人に任すよ。でも俺も自分の身ぐらい自分で守れるようにならなきゃな」
サバイバルゲームでは格闘戦のようなものは通常禁止されている。もちろんマーシャルアーツなんかに興味が無かったわけでもないし、剣道や合気道は子供の頃にちょっと囓ってはいる。
だがそんなものは命懸けの世界では通用しないだろう。
「そういえば剣の手解きをする約束でしたね。早速休憩の時にでも始めましょう。というか始めますので、よろしくお願いしますね」
何やら一方的な宣言をされたような気がするが、どういう意味だろう。
いや、意味はわかっている。俺から頼んだ話だ。
まああれか。休憩時間になったら、ちゃんと話して……
そうか。そろそろ歩き出して2時間近く経っている。山道だし、みんな多少疲れているだろう。というか俺が疲れた。
「よし、そろそろしっかり休憩を取ろう。軽い食事の準備でも……うわっ!!」
突然アイダが剣を抜き、斬りかかってきた。
かわし損ねた前髪が宙を舞うのがゆっくり見える。
「あ~あ。鬼教官仕込みのtodas partesが始まった……お兄ちゃん頑張って❤︎」
っておい!さっきの宣言はこういうことか!
「まずは剣から目を逸らさぬこと!武器を持って応戦するのはその後!」
アイダがブンブンと剣を振り下ろしてくる。
「大振りで避けると隙を生む!敵が一人だと思うな!」
ひええええ……鬼教官だ。鬼教官がいる……!
「お兄ちゃん~!アイダも、ご飯できたよ~」
結局アイダ鬼教官のしごき、ではない手解きは30分ほども続いた。
「よし!今回はここまで!なかなか筋がいいぞカズヤ殿!」
そりゃありがとう。
ただちょっと立ち上がれないぞ。
「カズヤさん!治癒魔法掛けますね!」
駆け寄ってきたアリシアが、俺の横に膝をつき、手を差し伸べる。
おお……そういえば治癒魔法を掛けられるのは初めてだ。全身を優しい光が包み、ふんわりと温かくなる。
「どうですか?」
「ああ。身体がすごく軽くなった。ありがとうアリシア」
そう言いながら頭を撫でる。
「えへへ。お役に立てて光栄です」
アリシアも尻尾があったらブンブンと振るのだろうな。
そういえば魔物がいるのなら獣人もいるのだろうか。
「お二人さ~ん?私達で全部食べちゃうぞ~」
イザベルの声に我に返る。
そうだった。昼食が待っていた。
昼食はアリシアとイザベルが準備してくれた。
ということは、いつぞの昼食と同じマッツァーがメインと、昨日のイザベルが狩ったウサギ肉を焼いたものだ。
「なあイザベル。さっきトダ_スパルテス?みたいなこと言ってなかったか?あれどういう意味だ?」
イザベルが呟いた言葉が気になり、尋ねてみる。
「ん?ああ、あれね。学校の軍人上がりの剣術教官に、すっごい厳しい人がいるの。口癖が“戦士たる者、何時何処でも戦えるように常に緊張感を持っておれ!”なんだよ。んで、その訓練方法がtodas_partesね。“どこでも”って意味かな」
「しかも実際に廊下や休み時間でも斬りかかってくるんですよ!私も何回も背後から一本取られたことか……」
「アリシアはちゃんと寸止めしてもらってたろ!?私は剣の腹で思いっきり殴られたぞ……」
「まあ悪い教官じゃないんだけどね……鍛え甲斐があると見込まれたら、とことんヤられるからね」
イザベルとアイダの笑い声が乾いている。
“常在戦場”
日本でも藩訓にしていた藩もあったらしいが、つまりはそういうことだろう。
「まあ、方法の是非はともかく、カズヤ殿には午後からは私の予備の剣を持ってもらう。あ、履くのではない。出来れば右手に持っていてくれ。次からは受けと流しの練習だから、重さに慣れて貰わなくては」
アイダから剣を受け取る。アイダが装備しているのと同じ、刃渡り70センチほどの諸刃の直剣だ。
見た目ほど重くはない。1キログラムないぐらいだ。
とはいえ、これを30分全力で振り回すのは相当な腕力と握力だ。
「アイダちゃん!寝込みも襲うの?」
イザベルが何やら要らんことを言い始める。
「そうだな。本来はそうしたい所だが、それで眠れなくなったら困るからな。今は休憩時間だけにしよう。カズヤ殿もそれでいいだろうか?」
いいというか、是非そうしてください!
「な~んだ。またアイダちゃんがお兄ちゃんに夜這いかけるのかと思った」
「よ……夜這い!しかもまたって何だ!わ、私がいつ夜這いなど!!」
「え?この前野営した明け方に、お兄ちゃんの天幕に潜り込んでいったじゃん?アリシアちゃんと2人でドキドキしながら覗いてたのに、結局隣で寝てただけだったけど?」
「覗いてたって…あ…あれはだな!カズヤ殿の指を吸うと魔力が回復するとアリシアが言うから……イザベルだってこの前の宿屋でカズヤ殿に跨がって……その……腰を……」
「ああ、あれ?あれねえ……硬いのが当たって気持ちよかったなあ」
「かっ、硬いの……?」
「気持ちいいいいい……???」
アイダとアリシアが顔を真っ赤にする。
「ねえお兄ちゃん、また一緒に寝るとき、ヤってね??」
この娘は……計算尽くならよっぽどの悪女の才能がありそうだ。
「バカなことを言ってないで、食べ終わったなら片付けて出発するぞ!」
『は~い』
ようやくアイダとアリシアの意識も何処かから戻ってきた。
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