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開拓編

49.黒と小夜にマッサージする

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黒と小夜がやってきた。

普段は躊躇なく部屋の引き戸を開けて入ってくるのに、小夜が部屋の入り口で固まっている。
黒が小夜の背中を押し、部屋にようやく入ってきた。

「タケル、さっき紅が言ってたマッサージ?をして欲しい。ベッドに寝れば良い?」

「いや…2人だし肩から始めよう。先にやる方がここに座って。あとの方はベッドで寝てな」

そう言うと、ベッドに腰掛けた俺は自分の足元の床を指差す。
先に足元に座ったのは黒。ベッドに腰掛けた俺の足を開かせ、その間に座った。小夜は俺の背中に身体を預けて、背中合わせに座った。

今夜の黒の寝巻きは白のワンピース。黒いシルクの首紐が掛かっているから、下着が黒なんだろう。
ちなみに小夜もお揃いの服を着ている。
この2人は本当に似ている。白も加えて3姉妹といっても、皆信じるだろう。

俺は足元に座った黒の薄い肩を揉みはじめる。別に凝っているわけではないようだ。さほど力を入れずとも柔らかい。
黒は俺のふくらはぎをそれぞれの片手で抱え込み、声を抑えている。

「痛いか?」

そう聞くと、首を激しく横に振る。

「そうか、痛かったら弱くするから我慢するなよ?」

何故か背中で接している小夜の体温が上がっている気がする。黒の息が上がってきた。

「そろそろ小夜と交代だ。小夜が床に座れ」

そう伝えると、黒が嫌々ながらといった感じで俺のふくらはぎから離れる。黒に抱きかかえられていたふくらはぎが少し痺れている。

次は小夜が俺の足元に座る。
黒は俺の背中に抱きついてきた。

「おい、どうした黒?」

「こうしてる。邪魔?」

いや邪魔ではないが。

背中に黒を抱きつかせたまま、小夜の肩を揉む。黒より一回り小さい気がする。そういえば小夜の身体に直接触れるのは、出会った時に抱き抱えてテントに運んで以来か。

小夜の肩も凝っているわけではない。力を加えるたびに、押し殺した声を上げる。

黒が俺の背中側から脇の下を通って、小夜の首筋に顔を近づけていく。どんな柔軟性だ。

黒が小夜の耳元で何か囁いている。

「小夜……気持ちいい?」

「気持ちいいです……タケル兄さん気持ちいいよお……」

こらこら、変な声を上げるな。黒も煽らない。

「は~い」

黒は俺の膝に頭を乗せる。
その位置はなかなか危険なのだが…

「ねえタケル?この硬いのなあに?」

黒が俺の膝の上からイタズラっぽい目で聞いてくる。

「硬いの……?」

小夜が振り返り、俺の膝の間に割って入ってくる。

「黒ちゃん、タケル兄さん何か変なことになってる?」

「ほらココ、いつもこんなんじゃないよねえ?」

「ほんとだ…硬い……」

いかん、対応を躊躇しているうちに、事態がどんどん悪化する。

「2人ともそんなとこ触らない!マッサージは終わったから帰るか寝るかしろ!」

「え~もう終わり?紅が言ってたお尻のマッサージは?」

「でも私はもう十分かも。これ以上気持ちいいと死んじゃう……」

「はい、もう終わりな。続きはまた今度な!」

「ふ~ん?今度は続きがあるんだ?楽しみ」

なんか余計な言質を取られた気がする。

「じゃあ今夜はおとなしく寝る~」

「寝ま~す」

そう言って二人は俺の両側に分かれて横になる。俺の脇に顔を埋めるように眠る、この子達のいつもの寝相だ。
俺の脇の下から乳でも出るのかのように、顔を埋めてくる。そのうち臭いとか言い出すんじゃないだろうか。

直ぐに二人とも規則正しい寝息を上げ始めた。
その寝息に誘われて、俺も急速に眠くなる。
あっさりと意識を手放すことに決めた。
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