17 / 46
婚約者編
ⅩⅥ
――――ヒロインである私が、何でこんな目に
そう思ったのは、何百回目だろうか。馬車に揺られながら、何処で間違ってしまったのかと考えた。でも、何度考えてもゲーム通りに会話を選択し、親密度を上げてきた。間違ってはない。
攻略対象である第一王子は、優秀な王弟に王位を脅かされ、息子を省みない王と王子を蔑む貴族や王子を疎む婚約者に怒りと憎悪の感情を向けていった。そして、いつしか彼は横柄で残酷な性格へと形成されていった。
王国第一騎士団団長の子息ケネスは、小さな頃から可愛らしいものが好きだった。しかし、それを兄弟達に見つかり、父親である団長に告げ口され、軟弱者と罵られた。兄弟達からは馬鹿にされ、可愛らしいものは処分された。騎士団に強制的に入団させられたケネスだったが、騎士団内で努力した。が、団長の事を良く思わない者達によって度々、訓練と言う虐めを受けるようになる。それは、父親に知られ、また軟弱者と罵られた。その言葉で心に張っていた糸が切れたケネスは壊れた。無口になり、暴力的になっていった。
魔術師団団長の子息ジョナサンは、幼い頃から『神童』と言われていた。団長である父親より優れた魔術師になるだろうと期待されていたが、…そこまでだった。ジョナサンの力は、一向に伸びなかった。これには、父親も周りの者達も落胆した。期待していた分、落差が大きく、父親は無関心になり、親類縁者は、遠巻きになった。ジョナサンは、この時から無気力になり、何事にも興味を示さなくなった。
現宰相の公爵家の子息ジルベルトは、幼い頃にトラウマを抱え、他人と距離を取っていた。生来の寂しがり屋である彼は人が集まる所を見るのが好きだった。しかし、それを気味悪がられたいると傷付き、引っ込み思案な性格になっていった。
彼等をゲームの知識で落としたのに、王弟であるレナードが女になって現れるとは思ってもいなかった。
ゲームの設定と変わっているとは思うが、ロイト達は攻略できた。つまり、ここはまだゲームの世界。ゲームの世界なら、まだ私がヒロインの筈。なのに、どうしてうまく行かないのか。
主に会話で進行していくゲームだった。彼等と寝たのが、不味かったのか。いや、彼等は喜んでいた。そうだろう、こんな美少女が自分だけに愛を囁き、抱けるのだから。
馬車が崖から落ちて、逃げる事ができた。誰が、最果てのなんの面白味もない修道院なんて入るものですか。
暫く、山の中を彷徨う事になった。なんの予兆もなく雨が振りだした。山の天候は変わりやすいと知っていたけど、こんな傘も何も無い所で降らないでよ。雨を避ける為に大きな木の虚を見つけ、そこに避難する。
ウトウトし始めたライラは思いを馳せた。レナードが男だったら、こんな苦労しなかったのに。あの美しい顔で愛され、抱かれ、彼にそっくりな顔の子供を生むのを楽しみにしていた。優しい彼の事だから、宝石やドレスなんかを強請れば沢山買ってくれただろう。
なのにレナードは女だった。こんな裏切りは無い。その上、私の美しい髪を切った。私には、もう必要ないからと。私の美貌に嫉妬したのだろう。なんせ私は、美しく、気高く、貞淑で教養ある淑女なのだから。こんな完璧な私を貶めて冤罪を着せたあの女を許さない。
散々彷徨っていた私のドレスは、スリットが入ったように足の付け根付近まで割け、薄汚れてしまった。それでも、輝かんばかりの私の美貌は損なわれる事は無い。
ヨロヨロと歩いていると煙が見えた。近付いていくと、小さな村だった。
「あらあら、どうしたの?」
「悪いやつらに追われているんです」
「まあ、大変ね。ちょっと待っててね。村長に話をしてくるから」
そう思ったのは、何百回目だろうか。馬車に揺られながら、何処で間違ってしまったのかと考えた。でも、何度考えてもゲーム通りに会話を選択し、親密度を上げてきた。間違ってはない。
攻略対象である第一王子は、優秀な王弟に王位を脅かされ、息子を省みない王と王子を蔑む貴族や王子を疎む婚約者に怒りと憎悪の感情を向けていった。そして、いつしか彼は横柄で残酷な性格へと形成されていった。
王国第一騎士団団長の子息ケネスは、小さな頃から可愛らしいものが好きだった。しかし、それを兄弟達に見つかり、父親である団長に告げ口され、軟弱者と罵られた。兄弟達からは馬鹿にされ、可愛らしいものは処分された。騎士団に強制的に入団させられたケネスだったが、騎士団内で努力した。が、団長の事を良く思わない者達によって度々、訓練と言う虐めを受けるようになる。それは、父親に知られ、また軟弱者と罵られた。その言葉で心に張っていた糸が切れたケネスは壊れた。無口になり、暴力的になっていった。
魔術師団団長の子息ジョナサンは、幼い頃から『神童』と言われていた。団長である父親より優れた魔術師になるだろうと期待されていたが、…そこまでだった。ジョナサンの力は、一向に伸びなかった。これには、父親も周りの者達も落胆した。期待していた分、落差が大きく、父親は無関心になり、親類縁者は、遠巻きになった。ジョナサンは、この時から無気力になり、何事にも興味を示さなくなった。
現宰相の公爵家の子息ジルベルトは、幼い頃にトラウマを抱え、他人と距離を取っていた。生来の寂しがり屋である彼は人が集まる所を見るのが好きだった。しかし、それを気味悪がられたいると傷付き、引っ込み思案な性格になっていった。
彼等をゲームの知識で落としたのに、王弟であるレナードが女になって現れるとは思ってもいなかった。
ゲームの設定と変わっているとは思うが、ロイト達は攻略できた。つまり、ここはまだゲームの世界。ゲームの世界なら、まだ私がヒロインの筈。なのに、どうしてうまく行かないのか。
主に会話で進行していくゲームだった。彼等と寝たのが、不味かったのか。いや、彼等は喜んでいた。そうだろう、こんな美少女が自分だけに愛を囁き、抱けるのだから。
馬車が崖から落ちて、逃げる事ができた。誰が、最果てのなんの面白味もない修道院なんて入るものですか。
暫く、山の中を彷徨う事になった。なんの予兆もなく雨が振りだした。山の天候は変わりやすいと知っていたけど、こんな傘も何も無い所で降らないでよ。雨を避ける為に大きな木の虚を見つけ、そこに避難する。
ウトウトし始めたライラは思いを馳せた。レナードが男だったら、こんな苦労しなかったのに。あの美しい顔で愛され、抱かれ、彼にそっくりな顔の子供を生むのを楽しみにしていた。優しい彼の事だから、宝石やドレスなんかを強請れば沢山買ってくれただろう。
なのにレナードは女だった。こんな裏切りは無い。その上、私の美しい髪を切った。私には、もう必要ないからと。私の美貌に嫉妬したのだろう。なんせ私は、美しく、気高く、貞淑で教養ある淑女なのだから。こんな完璧な私を貶めて冤罪を着せたあの女を許さない。
散々彷徨っていた私のドレスは、スリットが入ったように足の付け根付近まで割け、薄汚れてしまった。それでも、輝かんばかりの私の美貌は損なわれる事は無い。
ヨロヨロと歩いていると煙が見えた。近付いていくと、小さな村だった。
「あらあら、どうしたの?」
「悪いやつらに追われているんです」
「まあ、大変ね。ちょっと待っててね。村長に話をしてくるから」
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
「子守唄しか能がない女は要らぬ」と追い出された令嬢——3日後、王宮から眠りが消えた
歩人
ファンタジー
リディアは「眠りの歌い手」——声で人の精神を調律し、安らかな眠りに導く宮廷職。
王の安眠、騎士団の心的外傷ケア、外交使節の睡眠管理まで、宮廷の「夜」を支えてきた。
だが第二王子オスカーは嗤った。「子守唄しか能がない女は要らぬ」
リディアが王宮を去って3日後、王宮から眠りが消えた。
誰も眠れない。王も大臣も近衛騎士も。不眠は判断力を奪い、外交を狂わせ、王国を蝕む。
辺境で新たな居場所を見つけたリディアに、王宮から帰還要請が届く。
「おやすみなさい——はもう、言いません」
罠に嵌められたのは一体誰?
チカフジ ユキ
恋愛
卒業前夜祭とも言われる盛大なパーティーで、王太子の婚約者が多くの人の前で婚約破棄された。
誰もが冤罪だと思いながらも、破棄された令嬢は背筋を伸ばし、それを認め国を去ることを誓った。
そして、その一部始終すべてを見ていた僕もまた、その日に婚約が白紙になり、仕方がないかぁと思いながら、実家のある隣国へと帰って行った。
しかし帰宅した家で、なんと婚約破棄された元王太子殿下の婚約者様が僕を出迎えてた。
すみっこ婚約破棄同盟〜王子様による婚約破棄のすみっこで〜
まりー
恋愛
ある夜会で王子とその側近達の婚約破棄が行われた。腕に恋人をぶら下げて。所謂、王道断罪劇である。
でもこのお話の主役は麗しのヒロインでも、キラキラ王子でも、学園一の秀才や騎士団期待のホープでもない。これは王道のすみっこで行われた、弱小貴族と商人の子息たちの婚約破棄のお話である。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
「もう俺ら、恋なんてしない!」と言う小学生の息子の話を参考に書きました。登場人物の男子たちの頭は小学生レベルだと思って読んでください。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
売られたケンカは高く買いましょう《完結》
アーエル
恋愛
オーラシア・ルーブンバッハ。
それが今の私の名前です。
半年後には結婚して、オーラシア・リッツンとなる予定……はありません。
ケンカを売ってきたあなたがたには徹底的に仕返しさせていただくだけです。
他社でも公開中
結構グロいであろう内容があります。
ご注意ください。
☆構成
本章:9話
(うん、性格と口が悪い。けど理由あり)
番外編1:4話
(まあまあ残酷。一部救いあり)
番外編2:5話
(めっちゃ残酷。めっちゃ胸くそ悪い。作者救う気一切なし)