シルバーバレットイントゥーザスター

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第1話:銀弾は星を撃つ夢を見る

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真っ暗な闇の中、俺はふわりとした柔らかさに包まれていた。

温かい、けれど息が詰まるような、そんな閉塞感。

最後に覚えているのは、深夜の交差点、ブレーキ音と、空っぽになっていたハイボール缶。

そして、あの光景のあとに――俺は何も知らない世界へ堕ちていった。

やがて、圧迫感が強くなる。ぐにゃりと身体が押され、ひねられ、絞り出されるような感覚の先に、突然光が差した。

「おぎゃああああああああああああ!!!」

 ……いや、俺の声かこれ!?

気づけば泣いていた。身体は小さく、手はやけに柔らかい。視界の先に、銀色の髪をした女の人が、汗だくになりながら笑っていた。

泣きそうな、でも嬉しそうな顔で。

「……やっと、会えたわね……!」

その手で俺――いや、赤ん坊の俺をそっと抱き上げる。瞳は深いエメラルド。

頬を撫でる指先は、かつて知っていたどんな温もりよりも優しかった。

「ほら、見て……あなたそっくりよ!」

「おお……おおおおお……っ!なんて美しい子なんだ……!世界一の天使だぞ!!」

ベッド脇で涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにした、筋骨隆々の男がいた。彼は俺を見て号泣している。肩を震わせながら、俺の手をそっと握りしめた。

「見てくれ、この小さな手!ああ……!なんてことだ、こんな完璧な子がうちに……!」

「もう……産まれたばかりなんだから泣かさないでよ、あなた……。」

「泣いてるのは俺じゃなくて天使の方だ!」

「ふふ……どっちもね。」

……どうやらこの二人が、俺の両親らしい。

父親は筋骨隆々の美丈夫で、母親は銀髪の美貌の持ち主。

しかも、二人揃ってとんでもない親バカだった。俺がちょっと指を動かすだけで歓声が上がり、瞬きするだけで涙ぐんでいる。こいつら大丈夫か。

「この瞳の色……ほら、見て!碧よ!お父さん、あなたに似てるのよ!」

「いや、銀の髪はお前に似てる!世界に誇れる組み合わせだ!神々も嫉妬するだろう!」

「もう、そんな大げさな……でも、ほんとに……可愛いわね……!」

ああ、なんだか嫌な予感がする。これ、間違いなく過保護一直線コースじゃないか?

そして数日が経つにつれ、俺は気づくことになる。

俺は人間の母と、吸血鬼の父の間に生まれた――いわゆるダンピールらしい。

医師らしき人間がやってきて俺を診察するたび、両親は目を輝かせて話を聞いている。

「なんと……健康状態は極めて良好。魔力の流れも安定し、夜目も利く。これは大物になりますぞ!」

「聞いたか!?ほら聞いたか!?うちの子は大物なんだ!!」

「まあ……やっぱりそうよね!もう、どうしましょう、わたし泣きそう……!」

……やっぱり大丈夫じゃないな、この親バカっぷり。

それでも、不思議な安心感があった。
 
俺は前世で家族を作れなかった。

こんなにも大きな愛情を注がれたことなんて、一度もなかった。

だから――生まれ変わったこの世界で、俺はしばらくこの腕の中に甘えていようと思った。

後に、俺は賞金首を狩る“シルバーバレット”として名を馳せることになるのだが、その夜の俺はただ、母の胸で小さく瞬きをしていたのだった。
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