シルバーバレットイントゥーザスター

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第4話:マクレイン家と星狩りの伝統

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俺が生まれたマクレイン家は、ただの貴族ではなかった。

父や母の親バカぶりに隠れていたが、その家系の名を聞けば、ほとんどの人間が姿勢を正す。

王都でも知らぬ者のない名門。政治の中枢にまで口を利けるほどの影響力を持つ家だ。

昼間は領地の民を守り、王都に使いを立て、和平や交易の相談に顔を出す。

表向きは穏やかで気のいい、いかにも名家の人々。

しかしその裏では――彼らは別の名で呼ばれていた。

「星狩り」

夜を駆け、星付きの賞金首を追い詰める者たち。

吸血鬼を専門とするハンターの一族だ。

時代ごとに最も優秀な者が筆頭を務め、弟子を取り、技を伝える。

父もまた、かつて“星狩りの剣”と称され、数々の吸血鬼を討伐したという。

もっとも、家の者たちは恐れられるだけの存在ではない。

普段は領地の人々と共に祭りを楽しみ、収穫の手伝いすらするような、気のいい連中ばかりだ。

俺のような赤子にも優しい笑みを向けてくれる。

表と裏を巧みに使い分けるからこそ、この家は長く続いてきたのだろう。

―――

そんなある日のことだった。両親がにこにこと笑いながら俺の手を握る。

「リセル、今日は特別よ。おじいちゃんとおばあちゃんの領地へ遊びに行きましょう!」

「そうだぞ!あの人たちは俺たちよりも親バカだからな、覚悟しておけよ!」

……いや、この二人以上に?それは怖いもの見たさだ。

隣の領地までは馬車で半日。窓の外に流れる風景は、まだ見ぬ世界の広がりを教えてくれる。

小川を越え、丘を抜け、遠くに見えてくるのは深い緑に囲まれた屋敷だった。

「着いたわよ、リセル!」

母が抱き上げると、父が大きな声で門に向かって呼びかける。

「おーい!俺たちだ!孫を連れてきたぞー!」

すると、玄関の扉が勢いよく開いた。

髪を後ろで束ねた堂々とした老人と、優雅なドレスを着た老婦人が、満面の笑みで駆け出してくる。

「まあまあまあ!本当に来てくれたのね!」

「リセル!かわいいリセルや!抱っこさせておくれ!」

俺は母の腕から奪われるように祖父の腕に抱かれ、そのままぐるぐると回される。

「なんてこった!この小ささ、この愛らしさ……お前はこの家の宝だ!」

「やめなさいよ、あなた、危ないでしょう!ほら、次は私に抱かせて!」

祖母が腕を伸ばし、俺を抱き取ると、その頬に何度も何度もキスを落としてくる。

さすがにこそばゆくて、俺は「ふぎゃあ!」と声を上げた。

「まあ、泣かせちゃったじゃないの!」

「泣いても可愛い!」

……やっぱり、この家系は全員親バカなんだな、と悟った。

―――

その後は、屋敷の中庭でのんびりとお茶会。

祖父が焼いたらしい香ばしいクッキーと、祖母が調合した甘いハーブティーの香りが漂う。

俺は小さな椅子に座らされ、母が一口サイズにしたクッキーを口に運んでくれる。

「美味しいかしら、リセル?」

「……あぶ、ばぁ。」

「まあ、返事したわ! 賢い子!」

祖父母は目を細め、父と母は満足げに笑う。穏やかで、あたたかな時間だった。

……この家は、強さと優しさを併せ持つ。そんな人々に囲まれて、俺は今を生きている。

この先、星狩りとして夜を駆ける未来が待っていても――きっとこの記憶が俺を支えてくれるだろう。

窓の外では夕暮れが美しく燃えていた。俺はその光を見上げ、小さな胸をふくらませる。

――マクレイン家の一員として、誇りを持って生きていこう。そう、心に決めた。
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