シルバーバレットイントゥーザスター

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第9話:銃の練習とお使いと

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誕生日にもらった木の銃は、すぐに俺のお気に入りになった。

庭の隅に簡易的な的を立て、父と母が忙しい時間を見計らって、こっそりと練習を始める。

「えいっ……たぁ!」

木の弾が的に向かって飛び、かすりながらも的の端に当たる。ぱん、と軽い音が響く。

「ふふ、いい感じ……でも、まだ真ん中には当たらないなぁ。」

そう思った時、ふと首元で揺れる銀の弾丸に気づいた。

そっと握りしめると、不思議と心が静まる。呼吸が整い、視界が澄んでいく気がした。

「……よし、もう一回。」

木の銃を構え、銀の弾丸をぎゅっと握ったまま狙いを定める。

引き金を引くと、今度は木の弾が的の真ん中を撃ち抜いた。

「わぁ……やっぱり、これ……。」

銀の弾丸の力なのか、俺の集中力なのか。胸が高鳴り、ふと思いつく。

(この銀の弾丸にも、あの時のパチパチした力を込められないかな……。)

弾丸を手のひらに乗せて、そっと目を閉じる。あの日、体術を練習していた時の感覚を思い出す。体の奥がじんわりと温かくなる。すると――

「……あっ。」

 弾丸が、かすかに光を帯びた。次の瞬間、ぱち、と小さな火花のような光が弾けた。

「ひゃっ……!」

驚いて手を離すと、弾丸は何事もなかったように静かに光を収めている。けれど確かに、あの暖かさが宿っていた。

「……やっぱり、できるかもしれない。」

胸がどくどくと高鳴る。けれど、これ以上は今は試さないでおこう。あんまりやりすぎると、また父に止められてしまう。

―――

午後、母がお使いを頼んでくれた。珍しく一人での外出だ。

「リセル、気をつけてね。帰りは日が沈む前にね。」

「うん!ハチミツ買ってくるね!」

庭を抜け、門を出て、舗装された石畳を歩く。

領地の人々が「お嬢様、いってらっしゃいませ」と笑顔で手を振ってくれる。俺も笑顔で手を振り返した。

空気は春めいていて、風が頬をくすぐる。

おやつのパンケーキにかけるハチミツを想像して、思わず頬が緩んだ。

「ふふ……ふわふわのパンケーキに、とろーりってかけて……ああ、楽しみ……。」

と、その時だった。背後からかすかな気配がする。風の音に紛れて、かすかな足音。

(……誰か、ついてきてる?)

ちらりと後ろを振り向くと、街角の屋根の上で弟子のひとりがこっそりこちらを見ていた。目が合うと、ばつが悪そうに視線をそらす。

「……ふふ、心配してくれてるんだね。」

なんだかくすぐったい気持ちになって、俺はまた前を向いた。春の陽気に包まれながら、手のひらの銀の弾丸がわずかに重みを増したような気がした。

――よし、ハチミツを買ったら、帰り道でもう少し銃の構えを練習してみようかな。そう思いながら、俺は軽やかに歩を進めた。
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