シルバーバレットイントゥーザスター

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第11話:求婚ラッシュと家族総出のお断り行脚

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あの夜の戦いから数日。弟子たちの手当てや屋敷の補修も終わり、ようやく落ち着きを取り戻したかと思っていた。

だが――

「リセル様はお在宅でしょうか!こちら、隣領の第三公子より縁談の申し出にございます!」

「失礼いたします!北山の吸血鬼領主より求婚の書状をお持ちいたしました!」

門の前にずらりと並ぶ使者たち。屋敷の中では書状の山が積み上がり、メイドたちがてんやわんやで対応している。

「……な、なにこれ。」

俺は母の膝の上でその光景を呆然と眺めていた。

どうやら、あの光の力が屋敷の外にも伝わってしまったらしい。

しかも、吸血鬼の間でも人間の間でも「特別な力を持つダンピール」として噂になったとかで……

「リセル様は未来の星狩りのお方にして、治癒の光をお持ちです!どうか、わが領へ!」

「我が一族こそがお相応しいかと!人も魔も越えた絆を……!」

いやいや、まだ子どもだってば。

すると、父がずいと前に出て、門の前の使者たちを睨みつけた。

「リセルはまだ幼い!そんな話は百年早い!」

母も横で微笑みながらきっぱりと言い放つ。

「この子はまだ未来を選ぶ段階にすら立っていません。お引き取りくださいな。」

おじいちゃんもおばあちゃんも、わざわざ隣の領地から駆けつけてくれていた。

「なにを言うか!わしの孫は、そう簡単にやらん!」

「おほほ、皆さまお帰りなさいませね。うちの孫は、まだひらがなを習い始めたばかりなんですよ?」

家族総出で、次々と舞い込む縁談やお見合いの話を断って回る。

屋敷は大騒ぎで、使用人たちも「こんなに賑やかなお断りは初めてです」と苦笑していた。

……でも、その一方で。

領内を見回ると、以前はあまり見なかった光景が目に入る。

人間と吸血鬼が一緒に市場を歩き、仲睦まじく品物を選んでいる。

夕暮れの広場で、吸血鬼の青年が人間の娘に花を渡しているのを見て、周りの人たちが微笑んでいる。

「……なんだか、前より増えた気がするなぁ。」

俺は屋敷のバルコニーからその光景を眺めて、胸の奥がほんのり温かくなるのを感じた。

たとえ求婚の嵐は大騒ぎだったとしても、この世界は少しずつ変わり始めているのかもしれない。

「ダンピール仲間、増えるかもね。」

小さく呟いた声を風がさらっていく。銀の髪を夕陽が照らし、柔らかな風が頬を撫でる。

父と母の声が下から聞こえてきた。

「リセルー!次のお見合い、断ってきたぞー!」

「もう帰っていいって伝えたわよー!」

笑いをこらえきれず、俺はバルコニーの手すりに頬を乗せてクスクスと笑った。

未来はまだ遠いけれど、この家族となら、どんな嵐も楽しく乗り越えていける。

そう思えた、ちょっと騒がしい誕生日の後の一日だった。
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