転生賢者は安心して死にたい ~転生者カノイの一生~

文字の大きさ
89 / 216

第88話:人には向き不向きがあるよ

しおりを挟む
さて、そろそろということで私達も狩りに参加することとなった狩猟祭の秋。

正直参加はしたくないのだが、1つだけやってみたいこともある。

それは、

「当たんねー!」

ルフの狙撃である。

狙撃って言っても弓なんだけどね。

皆ごめん……今晩は肉抜きかもしれん。

弓術の心得がないからかなり苦労しております。

そういえば剣術の授業はやってたけど弓術の授業やってなかったな。

今度からちゃんと的を用意して授業に取り入れよう。

「カノイ様、こうだよ。」

見かねたグルートが講師として隣についてくれた。

「えっと、こう?」

「うん、いい感じ。」

コーチングの結果、どんどんと精度が上がっていく。

1時間もすれば動かない的には当たるようになってきた。

「よし!次はルフだ!」

すぐさま空に飛ぶルフを狙って狙撃を開始する。

けど当たらない!

「当たんねー!」

「動く的はレベルが高いからまだ難しいよ。」

グルートがフォローしていくれるが圧倒的に実力と経験不足だ。

うぅ……今後はちゃんと訓練に弓術を取り入れよう。

「でも今回の狩猟祭はルフがあんまり取れない年になるな……。」

「カノイ様、大丈夫だよ。」

そう言ってグルートは複数の弓をつがえる。

「え。」

「一気にいく。」

そう言ってつがえた弓を放つと複数のルフを射落とした。

「……。」

「ほら、これで大丈夫。……カノイ様?」

こ、怖いよー!矢が全部急所に当たってるよー!

というか複数の矢をつがえることなんて本当に出来るんですね。

え?なんで敬語かって?そんなの怖いからに決まってるじゃないですか!

グルートの思わぬ実力をまざまざと見せつけられて意気消沈どころか恐怖のどん底までテンションが落ち着いたところで、改めて私には向いていないなと思い直した。

うん、狙撃向いてない。

大人しく血抜きと運搬だけしていよう。

そこでふと思い出す。

運搬も飛竜に手伝ってもらったらいいんじゃね?

思いつくが早いか、私は配達業に従事していない飛竜に会いに行くことにした。

「ステイステイ。今日はそんなにお野菜持ってないよ、ステイ。」

ギャーギャーと騒がしく纏わりついてくる飛竜達に今の状況を伝える。

というか、伝わってるのか?これ。

とりあえず伝わっているってことにしておこう!

「そんなわけで、肉を運ぶのを手伝ってほしいんだけど。」

「「「ぎゃー?」」」

「これは、報酬か?そうだな、収穫祭で取れる予定のお野菜を三分の一ほど融通しよう。どう?」

「「「ぎゃー!」」」

「よしよしOKか、そうかそうか。」

何となくOKがもらえた雰囲気になったので飛竜達を引き連れて村に戻る。

すると飛竜達はいそいそと血抜きを行った後の肉塊を村の倉庫に運び出してくれた。

ありがたいね。

そんなわけで飛竜陣頭指揮官のカノイです。

決してサボっているわけではないんです。

「カノイ~!サボってないで血抜き手伝って来いよ~!」

サボってないんです!



なんやかんやとありましたが、今年の狩猟祭も大成功!

成果物の運搬という重労働も飛竜達のおかげで楽できたし、今日も鍋が美味い!

「串焼きもあるよ!」

「にーちゃ!ヘディンが捕ったルフの串焼きあげる!」

……どうやら狩りは弟達のほうが美味いようだ。

悔しくはない。悔しくはないけど、なんか、ちょっと涙が……。

カノイ・マークガーフ、21歳、実力不足を痛感した秋の出来事である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【連載版】ヒロインは元皇后様!?〜あら?生まれ変わりましたわ?〜

naturalsoft
恋愛
その日、国民から愛された皇后様が病気で60歳の年で亡くなった。すでに現役を若き皇王と皇后に譲りながらも、国内の貴族のバランスを取りながら暮らしていた皇后が亡くなった事で、王国は荒れると予想された。 しかし、誰も予想していなかった事があった。 「あら?わたくし生まれ変わりましたわ?」 すぐに辺境の男爵令嬢として生まれ変わっていました。 「まぁ、今世はのんびり過ごしましょうか〜」 ──と、思っていた時期がありましたわ。 orz これは何かとヤラカシて有名になっていく転生お皇后様のお話しです。 おばあちゃんの知恵袋で乗り切りますわ!

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

処理中です...