転生賢者は安心して死にたい ~転生者カノイの一生~

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第99話:ハイブリットって大事な技術だよね

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「ここが皇国か~。」

やってきました皇国。

妖精さんと約束したから急ぎ来たんだけど、なんというか、かなり発展している。

スチームパンクの世界観?

更に人がすごい。

なんか光る羽根が生えている。

電気で動いているのか、はたまた火の魔法かビカビカと光る羽根で空を飛んでいる。

なんだこれ。未来都市?

「おや?羽根無しとは、観光客かね?」

「あ、はい。観光客です。」

「では、まず教会に向かうといい。観光用の羽根を貰えるだろう。」

「あ、ありがとうございます!」

観光用の羽根なんてあるのか!

空を飛べるってことだな!楽しみ!



教会に来ると異常に脈打った神の木と不釣り合いに素朴な内装の建築物があった。

「いらっしゃいませ。外から来たのなら色々と驚いたでしょう。」

「は、はい、あの、この神の木は?」

「あぁ、実はですね、電気を生み出すためには生命力が必要でして、神の木を"使わない"ことによって生命力を漲らせているのです。」

「へ、へぇ、子供を作らずに血だけ与えているとこんなことになるんだ。」

「そうです。しかし、我々は技術に溺れ過ぎた。この国にはもう年寄りしかおりません。」

「え?そうなんですか?」

「見た目は若く保っておりますが、最年少でも45を超えております。子をもうけなくなった国の末路ですなぁ。」

「技術発展はやっぱり電気のおかげですか?」

「そうですなぁ。ある時"炉"に降り注いだ雷から電気が生まれました。そのおかげといって差し支えないでしょう。」

「……じゃあ電気が無くなったらどうなりますか?」

「ははは、どうにもなりませんよ。新しい技術を求めて研究が始まるだけです。まぁしいて言うのなら神の木の使用の許可は出るのではないでしょうか?」

……この国の問題、少子高齢化は雷の妖精を開放することで解決できそうだ。

「その"炉"ってどうやれば入れますか?」

「皇后の許可を戴く他無いですなぁ。入口は頑丈な扉で固く閉ざされております。危険ですから"炉"に近づく者もおりません。……お尋ねになるのでしたら夜がいいでしょうな。」

「え?」

「夜は"炉"の近くは暗くなり、警備が緩いのです。もしできたらでよろしいのですが、"炉"の中にいらっしゃる方には「今までありがとう」とお伝えください。」

「……分かりました!行ってきます!」

「はい、いってらっしゃいませ。」



夜。

真っ暗な中、"炉"があるという、というかでっかいのであるとわかっている丘に登る。

さて、頑丈な扉があるという話だったが…………………………あれ!?

「これ家の扉じゃん!」

以前何処かにぶっ飛ばしたはずの私の部屋の扉があった。

というか入れ替わった?

話に聞いていた頑丈な扉は無くなっており、ぴったりと私の部屋の扉が"炉"に張り付いていた。

いやどんだけほったらかしなんだよ!

扉が入れ替わってたら気が付くだろう!?

ま、まぁ今回はそのおかげで簡単に"炉"の中に入れるようになったわけだが。



(…………だれー?)

「えーっと、転生賢者……いやカノイだ。」

(あ!特別な人間だ!久しぶり!また遊んでくれるの?)

「え。」

(違うの?)

「うん、まぁ、うん、君をここから連れ出しに来たんだ。」

(なんでー?)

「え?」

(ここにいると人間は嬉しいんでしょ?なのになんで外に行くの?)

「えーあーあー?」

どうしよう、まさか本人が納得済みで入ってるとは。

でも、この子がここにいても人類としては衰退しか待っていないんだよな~。

どうにか理由を見つけなければ。理由、理由、……。

「……遊ぶには外に出ないと狭くない?」

(は!確かに!これじゃあ遊べない!じゃあお外に行こう!)

よし!おバカさんだこの子!

そんなわけで雷の妖精を外に連れ出すのは成功した。



遠くの方から多くの悲鳴が聞こえる。

あれだけ明るかった町が漆黒に染まっている。

それだけ電気に頼った生活をしていたってことなんだろうな。

私は"炉"の扉をまた何処かに飛ばすことにした。

入口がなければ誰もこの中には入れないだろう。

この喧騒も牧師曰く新しい技術の開発に乗り出せば落ち着くのだろう。

(人間!遊ぼう!)

「おう!家に着いてからな!」

花の妖精に成功を報告した結果、また50年祭が開催されたのは別のお話。

カノイ・マークガーフ、24歳、発展しすぎた文明に終止符を打った夏の出来事である。
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