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第136話:上の人間が良い人だと支えがいがある
メイドの一人、イザヴェラのお葬式後、もう一人のメイド、リリアからの提案で新しいメイド長をエードラムに任命することとなった。
「俺ですか!?大丈夫かな?できるかな?」
「エードラムは真面目だし、仕事もちゃんとできているから大丈夫だろう!」
「は、はい!イザヴェラさんに恥ずかしくない立派なメイド長になってみせます!」
「……。」
「うん?」
無言で少しうつむいているのはもう一人のメイド、ナナリーだ。
「ナナリー?どうかしたのか?」
「あ!いえ!な、何でもないんです!」
「なんでもないことはないだろ?悩んでいることがあるんなら行ってみてくれるかな?」
「……えっと、実は……メイド長に……なりたかったんです……!」
「……あー!なるほど!」
彼にとっての憧れ、母のエミリーの存在がある。
エミリーは私が子供の頃にとってもお世話になったメイド長だ。
とっても仕事が丁寧で物腰の柔らかいリーダーとして理想的な人だったことを今でも覚えている。
「そっか~ナナリーにとってエミリーさんは憧れだもんな~。」
「は、はい!母のような立派なメイド長になりたかったんです!……でも……。」
「そうか、エードラムがメイド長になっちゃったから自分の番は回ってこないんじゃないかってことか。」
確かに今回の様に若い子に経験させたいって動機だと次も若手の子に立場が回っていくだろう。
年齢的に考えてエードラムは28歳、ナナリーは17歳、メイド長が変わるころにはベテランになっているよなぁ。
そうか、そうか……。
「ここで同情的になって立場を譲られるって一番もやもやするよな。」
「え?」
「ナナリー!私はエミリーはメイド長にならなかったとしても立派なメイドとして働き続けてくれたと思う!」
「は、はい!僕もそう思います!」
「ついでに言うとナナリーの仕事ぶりは丁寧でエミリーにそっくりだ。」
「そ、そうでしょうか?」
「うん、だからさ、エミリーとは別の人生を歩んでみないか?」
「え!」
「もしも、エミリーがメイド長にならずにそれを支える立場だったら。そういう人生をイメージして歩んでみないか?」
「……。」
「もちろん、ナナリーの人生だから、ナナリー自身らしく生きてほしいのが一番だけど!でも憧れって変えられるものでもないからさ、ちょっとだけ考え方を変えてみないかなって……。」
「……ふふふ!カノイ様、ありがとうございます!でも、カノイ様が思っているより僕、そこまで気にしてないみたいです。」
「え。」
「僕の目的ってなんだろうって考えていたんです。で、思いました。僕は……僕達はカノイ様を支えられる従者になりたかったんです。」
「ナナリー……。」
「ジョルジュも同じだと思います。だって小さなころからの夢だったんです!」
「そっか……あはは!ありがとう。」
それしか言うことができなかった。
ちょっと赤くなった顔を隠すのはためらわれたので笑ってごまかす。
エミリー、アラン、私はいい従者に恵まれたよ。
カノイ・マークガーフ、33歳、遠い昔の記憶の中の彼らに胸を張って報告した秋の出来事である。
「俺ですか!?大丈夫かな?できるかな?」
「エードラムは真面目だし、仕事もちゃんとできているから大丈夫だろう!」
「は、はい!イザヴェラさんに恥ずかしくない立派なメイド長になってみせます!」
「……。」
「うん?」
無言で少しうつむいているのはもう一人のメイド、ナナリーだ。
「ナナリー?どうかしたのか?」
「あ!いえ!な、何でもないんです!」
「なんでもないことはないだろ?悩んでいることがあるんなら行ってみてくれるかな?」
「……えっと、実は……メイド長に……なりたかったんです……!」
「……あー!なるほど!」
彼にとっての憧れ、母のエミリーの存在がある。
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とっても仕事が丁寧で物腰の柔らかいリーダーとして理想的な人だったことを今でも覚えている。
「そっか~ナナリーにとってエミリーさんは憧れだもんな~。」
「は、はい!母のような立派なメイド長になりたかったんです!……でも……。」
「そうか、エードラムがメイド長になっちゃったから自分の番は回ってこないんじゃないかってことか。」
確かに今回の様に若い子に経験させたいって動機だと次も若手の子に立場が回っていくだろう。
年齢的に考えてエードラムは28歳、ナナリーは17歳、メイド長が変わるころにはベテランになっているよなぁ。
そうか、そうか……。
「ここで同情的になって立場を譲られるって一番もやもやするよな。」
「え?」
「ナナリー!私はエミリーはメイド長にならなかったとしても立派なメイドとして働き続けてくれたと思う!」
「は、はい!僕もそう思います!」
「ついでに言うとナナリーの仕事ぶりは丁寧でエミリーにそっくりだ。」
「そ、そうでしょうか?」
「うん、だからさ、エミリーとは別の人生を歩んでみないか?」
「え!」
「もしも、エミリーがメイド長にならずにそれを支える立場だったら。そういう人生をイメージして歩んでみないか?」
「……。」
「もちろん、ナナリーの人生だから、ナナリー自身らしく生きてほしいのが一番だけど!でも憧れって変えられるものでもないからさ、ちょっとだけ考え方を変えてみないかなって……。」
「……ふふふ!カノイ様、ありがとうございます!でも、カノイ様が思っているより僕、そこまで気にしてないみたいです。」
「え。」
「僕の目的ってなんだろうって考えていたんです。で、思いました。僕は……僕達はカノイ様を支えられる従者になりたかったんです。」
「ナナリー……。」
「ジョルジュも同じだと思います。だって小さなころからの夢だったんです!」
「そっか……あはは!ありがとう。」
それしか言うことができなかった。
ちょっと赤くなった顔を隠すのはためらわれたので笑ってごまかす。
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