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第11話 永遠の誓い
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帝都中央広場。
数万の民が集い、黒と金の旗が風にはためく。
今日――帝国は新たな皇妃を迎えるのだ。
「……はぁぁぁぁぁぁ……なんでこうなったのよ」
煌びやかな純白のドレスに身を包み、民衆の視線を一身に浴びながら、わたくしは心の中で絶叫していた。
いや、嬉しいのよ? 皇帝からの溺愛は本物だってわかったし、逃げられないのも理解してる。
でも、まさかこんな国家規模の大イベントになるなんて、聞いてない!!
―――
そして式典は粛々と進む。
皇帝ディアスが堂々と立ち上がり、天に響く声で宣言した。
「――この日をもって、我が皇妃にアリサを迎える!
彼女こそ我が命の恩人であり、生涯の伴侶である!」
広場が揺れるほどの歓声が上がる。
民は涙し、貴族は驚嘆し、兵士たちは剣を掲げて叫んだ。
(ちょ、ちょっと待って!? なんでこんな盛大に“運命の人”扱いされてるの!? 私、ただ婚活したかっただけなのにぃぃ~~!!)
―――
だがその時。
隣国――リュクス王国からの使節団が到着したとの報せが入った。
「リュクス王国より、女王陛下マリー・ロゼット様、ご入場!」
「えぇぇぇぇ!? マリーが女王に!?」
現れたのは、堂々と女王の威厳をまとったマリーだった。
けれど、彼女はわたくしを見るなり――
「アリサぁぁぁ!!」
「マリー!!」
二人は駆け寄り、互いに抱きしめ合った。
涙を滲ませるマリーの肩を抱きしめながら、わたくしの胸も熱くなる。
「……ごめんね。私、あなたを庇えなかった」
「いいのよ。私、追放されたおかげで幸せを掴んだんだから」
――そしてもう一人。
「ア、アリサ様ぁぁぁ!!」
土埃を上げて飛び出してきたのは、例のお馬鹿第一王子、レオン殿下。
いや、かつての殿下。
今は辺境伯の下で修行を積み、すっかり顔つきも引き締まった青年に成長していた。
……が。
「本当に……本当に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!」
勢い余って、土下座。
広場ど真ん中で。
(ちょ、やめなさい! 国際式典よここ!? なんで土下座してんの!?)
場内がざわめく中、マリー女王は冷たく呟いた。
「立ちなさい、レオン。あなたはもう私の臣下なのだから」
「ひぃぃ! はいぃぃ!!」
……どうやら本当に真人間になったらしい。
まぁ、いいことだわ。
―――
そうして式典は最高潮を迎える。
皇帝ディアスがわたくしの手を取り、広場に跪いた。
あの最強皇帝が、だ。
「アリサ。
幼き日に迷子だった私を導いたように、これからの生涯も……私を導いてほしい。
私はこの命のすべてを、お前に捧げる」
民衆は固唾を呑み、世界は静まり返った。
――そして。
「……仕方ないですわね。あなたが迷子にならないように、私が隣で見張ってあげます」
わたくしは笑顔でそう答えた。
次の瞬間、帝都に嵐のような歓声が巻き起こる。
「皇妃万歳!!」
「アリサ様万歳!!」
「万歳! 万歳!!」
ディアスは立ち上がり、わたくしを抱き寄せた。
その腕の強さに、胸の奥で小さな声が囁いた。
(……あぁ。楽な玉の輿を狙ってたはずなのに。
結局、世界一重い愛に捕まっちゃったわね……)
でも――悪くない。
むしろ、これ以上に安心できる場所なんてないのだから。
こうして、断罪から始まったわたくしの数奇な人生は、帝国皇妃として永遠の愛を誓う幕で閉じたのだった。
数万の民が集い、黒と金の旗が風にはためく。
今日――帝国は新たな皇妃を迎えるのだ。
「……はぁぁぁぁぁぁ……なんでこうなったのよ」
煌びやかな純白のドレスに身を包み、民衆の視線を一身に浴びながら、わたくしは心の中で絶叫していた。
いや、嬉しいのよ? 皇帝からの溺愛は本物だってわかったし、逃げられないのも理解してる。
でも、まさかこんな国家規模の大イベントになるなんて、聞いてない!!
―――
そして式典は粛々と進む。
皇帝ディアスが堂々と立ち上がり、天に響く声で宣言した。
「――この日をもって、我が皇妃にアリサを迎える!
彼女こそ我が命の恩人であり、生涯の伴侶である!」
広場が揺れるほどの歓声が上がる。
民は涙し、貴族は驚嘆し、兵士たちは剣を掲げて叫んだ。
(ちょ、ちょっと待って!? なんでこんな盛大に“運命の人”扱いされてるの!? 私、ただ婚活したかっただけなのにぃぃ~~!!)
―――
だがその時。
隣国――リュクス王国からの使節団が到着したとの報せが入った。
「リュクス王国より、女王陛下マリー・ロゼット様、ご入場!」
「えぇぇぇぇ!? マリーが女王に!?」
現れたのは、堂々と女王の威厳をまとったマリーだった。
けれど、彼女はわたくしを見るなり――
「アリサぁぁぁ!!」
「マリー!!」
二人は駆け寄り、互いに抱きしめ合った。
涙を滲ませるマリーの肩を抱きしめながら、わたくしの胸も熱くなる。
「……ごめんね。私、あなたを庇えなかった」
「いいのよ。私、追放されたおかげで幸せを掴んだんだから」
――そしてもう一人。
「ア、アリサ様ぁぁぁ!!」
土埃を上げて飛び出してきたのは、例のお馬鹿第一王子、レオン殿下。
いや、かつての殿下。
今は辺境伯の下で修行を積み、すっかり顔つきも引き締まった青年に成長していた。
……が。
「本当に……本当に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!」
勢い余って、土下座。
広場ど真ん中で。
(ちょ、やめなさい! 国際式典よここ!? なんで土下座してんの!?)
場内がざわめく中、マリー女王は冷たく呟いた。
「立ちなさい、レオン。あなたはもう私の臣下なのだから」
「ひぃぃ! はいぃぃ!!」
……どうやら本当に真人間になったらしい。
まぁ、いいことだわ。
―――
そうして式典は最高潮を迎える。
皇帝ディアスがわたくしの手を取り、広場に跪いた。
あの最強皇帝が、だ。
「アリサ。
幼き日に迷子だった私を導いたように、これからの生涯も……私を導いてほしい。
私はこの命のすべてを、お前に捧げる」
民衆は固唾を呑み、世界は静まり返った。
――そして。
「……仕方ないですわね。あなたが迷子にならないように、私が隣で見張ってあげます」
わたくしは笑顔でそう答えた。
次の瞬間、帝都に嵐のような歓声が巻き起こる。
「皇妃万歳!!」
「アリサ様万歳!!」
「万歳! 万歳!!」
ディアスは立ち上がり、わたくしを抱き寄せた。
その腕の強さに、胸の奥で小さな声が囁いた。
(……あぁ。楽な玉の輿を狙ってたはずなのに。
結局、世界一重い愛に捕まっちゃったわね……)
でも――悪くない。
むしろ、これ以上に安心できる場所なんてないのだから。
こうして、断罪から始まったわたくしの数奇な人生は、帝国皇妃として永遠の愛を誓う幕で閉じたのだった。
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