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二百二十話 仲間の捜索18

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「いい加減、姿を見せたらどうじゃ。
そんなに醜い姿をしとるのかの?」 


姿を隠したままのあいつに、
しびれを切らした長老は皮肉を込めた
口調であいつに言う。


「......ふふ、仕方ありませんね......」


すると、あいつはようやく口を
開き、青い光に包まれている
ところに、自身の姿を露にさせた。


「やあやあ、ようこそ! 人間の
みなさん。私の島へ。」


目に闇が灯っている魔族は
不敵な笑みを浮かべ、俺たちを
歓迎する。


「お主がラーバか......ようやく会えた。」


長老は今にもラーバを殺しそうな
雰囲気だが、ここはぐっとその
気持ちを押し殺し、冷静に
思考しているようだった。


「こちらこそ。人間の中で
最強と謳われる長老に出会えて、
私も光栄ですよ。」


だが、ラーバは長老の煮えたぎっている
殺意に全く気づかず、能天気に
続ける。


「覚えておらぬか......」


「......? はて......私とあなたは
初対面では?」


「......そうじゃな......覚えておらぬ
のも当たり前じゃな。なんせ、
あの時のわしはただの小僧じゃった。」


長老はまるで過去の自分を責めるかの
ように、下を向く。


「じゃが、今は違う。」


そう言って長老は再びラーバを
睨み付け


「今のわしにはお前を殺すことが
できる!」


驚異的なスピードで、ラーバに
襲いかかった。


「ふふっ!」


しかし......


「ざーんねん!」


あともう少しで拳が届くところで、
長老の動きが止まる。
見れば、長老の立つ地面に
何やら紫色に輝く魔方陣の
ようなものが形成されていた。


「この島にはいたるところに
私の呪術が仕掛けてあります。
みなさん、どうかお気をつけて 。
まあ、もう遅いですけど!」


ラーバは勝ち誇ったかのように、
パンパンッと手を叩く。
すると、それを合図にドシンッと
空から巨大な生物が降ってきた。


「さあ! 食らいなさい!」


ラーバの指示にその体長十メートルは
ありそうな猫のような生物が
長老に襲いかかる。


「長老!」


それを見て、まだ起きたばかりの
タチアナが叫んだ。
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