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二百二十四話 仲間の捜索22

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「ほら、タチアナ。立てるか?」


ラーバに気絶させられてから意識を
取り戻したばかりのタチアナは
未だ頭がふらつくのか、腰を
下ろしていた。
隼人はそんなタチアナを見かねて
手を差しのべる。


「......少し目まいがするが大丈夫だ。
直ぐに治る。」


「あんま無茶するなよ。」


何をするにも一生懸命で真面目な
タチアナをこれまで見てきた
隼人はやや心配そうな表情をする。


「......ほんとあんた達って仲良いわね。」


その様子をじーっと隣で
見ていたヨーテルが不思議そう
に言った。


「こ、これは──」


変に思われても困ると
タチアナは弁解しようと
したが、それは敵の襲来に
よって中断された。


その敵襲にいち早く気づいたのは隼人
だった。
気づいたと言っても、何が
どこからどんなふうに来ている
というのがわかったというわけ
ではなく、隼人は何かひんやり
とした物が自分の首元に当たった
という感触を肌で感じた。
それが刃物だと隼人が気づいた
時にはもう先に体が反応していた。


誰が自分の首元に刃物を刺し込もうと
しているのかなんてわからない。
しかし隼人は、長年の異世界生活で
こういう刃物の扱い方をするのは
暗殺者しかいないと経験上から
瞬時に判断し、暗殺者が
どんな体制で、刃物をどう持って
敵の首を切り落とそうとするかを
頭の中で計算しながら


ここに今自分の首を切り落とそう
としている敵の腕がある


と、隼人は手を伸ばしてみた。


バシッ


隼人の計算は見事当たり、
刃物が自分の首に
刺し込まれるギリギリのところで
その敵の腕を掴んだ。
そして、隼人は後ろにいる
その敵を腕を掴んだまま
前方の地面に叩きつけようと
したが......


ビュンッ!


隼人から見て右の方から、
レーザーが隼人との腕を
目掛けて飛んでくる。




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