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第四章
95.大切な人の大切な人
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城内に入り一つ目の角を曲がると、見知った顔と出会い頭になる。
「よぉ、お疲れ」
「……ヘイダム隊長」
「異物の整理を頼まれたんだってな。あれを片付けるの大変だっただろ?」
ここで会ったのは偶然?
なんて、今まではそんなふうに思うことなんてなかったのに。
精神が擦り切れる。
誰も信用できない状況とは、こんなにも苦痛を伴うものなのか。
今まで悪魔であることを隠して生きてきたが、それの比ではない。キルとカイトのおかげで、随分と平穏に暮らしていたことが今更分かるなんて。
「えぇ、まぁ」
「どうした、暗い顔をして。それほど疲れたか?」
「そうですね。いろいろと、気が滅入る作業でした」
「やれやれ。辛気臭い顔がいつにも増して酷いぞ」
そんな顔にもなる。
ヘイダムは自然と横に並び聞いてくれよ、っと女のことを好き勝手に話し出す。
一緒についてくるということは、ヘイダムもセラートに用なのか?災難だ。
耳にタコができる話をしながら、ようやくセラートが使う部屋の前に立つ。
ぴたりと話をやめたヘイダムは、戸を叩かずに入るぜ、っと扉を開け入っていく。
この無作法は二人の仲故だろう。
失礼します、とついでに俺もくっついていく。
ん?知らない女がいる。
丸い黒縁メガネをかけ、凛とした姿勢でセラートのそばに立っている。真面目そうな女……それより、セラートの顔色が悪いな。
「やぁ、お疲れ様」
「どうしたんだ、お前」
ぎょっとしてヘイダムは、足早にセラートの元へ行く。
顔色だけでなく額に手を当てぐったりとし、見るからに体調が悪そうだ。
見知らぬ女も飴色の瞳を細め、セラートを心配そうに見つめている。
セラートが額から手を離し、おもむろに手を差し出してくる。
俺は文字数の少ない報告書を机越しに手渡す。
と、同時にヘイダムが口を開く。
「具合が悪いのか」
「ちょっと疲れがでただけさ」
「そう言いますが、セラート様今日ずっとこの調子ではありませんか。もうお休みになられたほうが」
「やるべきことはやらないとね」
「やるべきことってな。そんな死人みたいな顔した奴に何ができる」
「死人って、ひどい言われようだ」
「ですが、本当に顔色が悪いですよ」
「ヴァンまで。そんなに悪いかな」
セラートは笑う。明らかに無理して。
この胸のゾワゾワとした感じはなんだ?嫌な予感、とでもいうのか。
そういえばリナリアは、セラートに初めて会ったとき嫌な感じがしたと言って疑っていたな。
だが、その後会った時には気のせいだったかもしれないと言っていたが今はどうなのか。
……なんだ?女がやけに見てくる。
「あぁ、彼女に会うのは初めてかい? 彼女は……補佐のカミラだよ。ちょっと前まで体調を崩していてね。最近復帰したんだよ」
そうか。カイトの代わりか。
顎下まで伸ばした黄色の髪を揺らしながら、ペコリと頭を下げる。俺も軽く頭を下げた最中、カイトの言葉が蘇る。
『もう一人の補佐の子だよ』
なら、彼女が……。
顔を上げて見えたカミラの瞳は、物悲しげに俺を見ていた。
「貴方は、もしかして」
カミラが慌てて大きく首を振る。
やめてくれということか?
そうだな、今はこの場では聞かないでおいたほうがいいか。
「どうした? 君たちは知り合いかい?」
「いえ」
「それよりお前はもう休め」
「そうもいかない。昨日から傷害事件が頻繁に起きている。暴動ではなく単独ではあるが、気になるんだ」
「気になるって、それはお前の管轄外だろ? お前がここにいたところで、できることはない」
確かにそうだ。
だがセラートは、思い詰めた表情をするだけで頷くことはない。
「何か嫌な感じがする」
「嫌な感じだと?」
「確かにね、できることはないと思うよ。だからってね、家でゆっくり寝てることもできないんだ。失敗したくない。二度と悔いいる真似はしたくはない。失うのはもうたくさんなんだ」
「それは」
ヘイダムは言葉を濁す。
俺もかける言葉が見当たらない。
セラートは最近同郷の仲間も、部下であったカイトも失ってしまった。
二人の死は自分のせいだと、そう思っているのか?
同郷の仲間は知らないが、カイトは俺のせいなんだ。
俺がカイトを死なせてしまったのに。
セラートは償いから人を助けようとし、俺は愛する人を助けたいがために世界を危機に陥れた。
最低だ。
酷く利己的で、自分でも吐き気がするくらいに嫌悪するが、それでも……譲れない。
俺ももう失いたくない。
「ヴァン? 大丈夫かい?」
やめよう。
前に進めなくなる。
今はカルディアを見つけ倒すことだけを。
「すみません。これで失礼します」
「うん? お疲れ様」
「あまり……無理しないでください」
「あぁ、ありがとう」
弱々しく、小さく手を振る。
今のセラートの姿を見て、カルディアとはとても思えない。それとも演技なのか。
そう考えたところで、埒が明かないのはもう分かりきっている。
ヘイダムはまだ話がありそうだから、先に行かせてもらおう。
次はキルに会いに行かないと。
部屋を出て、廊下を歩く足取りは重い。
キルになんて答えたらいいか。
あれほど時間があったにも関わらず、まだ答えが出せていない。
リナリアのことはなるべく話さない方がいいと分かっているが、昔三人で結んだ忘れていた約束。
カイトがいなくなってしまった今、それを果たさなくてはいけないんじゃないかと、謎の使命感が胸に訴えかけてくる。
「ヴァンさんっ!」
誰だ?カミラ?
どうしたんだ、そんなに慌てて。
何かあったのか?
「どうしました」
「あの、さっきはすみません。私は……その、カイトさんからよく貴方の話を聞いていました」
その言葉だけで分かった。
やはり、彼女がカイトの恋人だ。
目の前で泣いてしまいそうなカミラを見ていると、あの時の自分を見ているようで悲痛な思いになる。
「呼び止めたのは、お願いがありまして」
「お願い?」
初対面だがカイトが愛した人の願いであれば、できることなら叶えてあげたい。
「なんですか」
「……実はカイトさんとのこと、まだ誰にも言ってないんです。カイトさんが誰よりも先に、貴方と国王様に伝えたいと言って」
俺なんて忘れていたのに。
カイトはそこまで約束を大切にしていたのか。
「このまま誰にも言わないでもらえますか? 今知っても、みんながまた悲しむだけなので」
そういえばカイトにも言われたのに、リナリアに話してしまった。自分の軽率さには落胆する。
本来なら謝罪しなければならないが、今はそれすら下手を打ってしまうのではないかと恐ろしい。
リナリアも誰かに話すことはないだろうし、申し訳ないが今は打ち明けられない。
「分かりました」
「よろしくお願いします。特にセラート様には知られたくないんです」
セラートを気遣って優しい人だ。カイトが選んだのも納得できる。
しかしその優しさが故、この秘密は彼女の胸の中に留め続けることになる。
それは辛くないだろうか。
急にカミラが思い詰めた表情を見せる。
やはり辛いのか?
「大丈夫ですか?」
「すみません。カイトさんのことを思い出して……あの夜が最後だったならせめて、笑った顔を見たかったなって」
「あの夜?」
「私、アナスタシアへ行く前の夜に、カイトさんと会ったんです」
つまり俺と別れたあと?
カイトは彼女に会いに行ったのか。
「そうでしたか」
「カイトさん、ヴァンさんと会ったあと国王様に会いに行ったそうです」
「キルに? カイトは何も言っていってませんでしたが」
「アナスタシアへ行く前に、約束を果たしたかったみたいです。けど、カイトさん……約束を覚えていたのは自分だけだったって、すごく落ち込んでいたというか、思い詰めていて。そんな顔で私に会いにきたんです」
意外だ。
キルも忘れていたのか?
俺とは違い、そういうことは覚えていそうなのに。
昔の話だからと言われればそうなのだが……カイトの思いを思うとなんて言ったらいいのか分からない。
「すみません。こんな話すべきではありませんでした。決して責めているつもりはないんです。ただ」
「いえ、気にしないで下さい。話してくれてありがどうございました」
ふっ、とカミラの表情が和らぐ。
そして、多分今できる精一杯の笑顔をつくる。
「カイトさんは、貴方のことも王のことも大好きでした。どうかあの人の分まで幸せになって下さいね。それを伝えたかったんです」
胸が揺らぐ。
悲しみに沈む時に、赤の他人に何を言われてもなんの救いにはならないのかもしれない。
どの口がと思うが、それでも……。
「貴方もどうかそうあって欲しいと……カイトは望んでいると思います」
顔は見れなかった。
やはり後ろめたいから。
お辞儀をし、背を向けたことが分かったところで顔を上げる。
伸びた背筋は、オレンジ色に染まっていた。
カイトが愛した貴方は、どうか人であって欲しい。
「よぉ、お疲れ」
「……ヘイダム隊長」
「異物の整理を頼まれたんだってな。あれを片付けるの大変だっただろ?」
ここで会ったのは偶然?
なんて、今まではそんなふうに思うことなんてなかったのに。
精神が擦り切れる。
誰も信用できない状況とは、こんなにも苦痛を伴うものなのか。
今まで悪魔であることを隠して生きてきたが、それの比ではない。キルとカイトのおかげで、随分と平穏に暮らしていたことが今更分かるなんて。
「えぇ、まぁ」
「どうした、暗い顔をして。それほど疲れたか?」
「そうですね。いろいろと、気が滅入る作業でした」
「やれやれ。辛気臭い顔がいつにも増して酷いぞ」
そんな顔にもなる。
ヘイダムは自然と横に並び聞いてくれよ、っと女のことを好き勝手に話し出す。
一緒についてくるということは、ヘイダムもセラートに用なのか?災難だ。
耳にタコができる話をしながら、ようやくセラートが使う部屋の前に立つ。
ぴたりと話をやめたヘイダムは、戸を叩かずに入るぜ、っと扉を開け入っていく。
この無作法は二人の仲故だろう。
失礼します、とついでに俺もくっついていく。
ん?知らない女がいる。
丸い黒縁メガネをかけ、凛とした姿勢でセラートのそばに立っている。真面目そうな女……それより、セラートの顔色が悪いな。
「やぁ、お疲れ様」
「どうしたんだ、お前」
ぎょっとしてヘイダムは、足早にセラートの元へ行く。
顔色だけでなく額に手を当てぐったりとし、見るからに体調が悪そうだ。
見知らぬ女も飴色の瞳を細め、セラートを心配そうに見つめている。
セラートが額から手を離し、おもむろに手を差し出してくる。
俺は文字数の少ない報告書を机越しに手渡す。
と、同時にヘイダムが口を開く。
「具合が悪いのか」
「ちょっと疲れがでただけさ」
「そう言いますが、セラート様今日ずっとこの調子ではありませんか。もうお休みになられたほうが」
「やるべきことはやらないとね」
「やるべきことってな。そんな死人みたいな顔した奴に何ができる」
「死人って、ひどい言われようだ」
「ですが、本当に顔色が悪いですよ」
「ヴァンまで。そんなに悪いかな」
セラートは笑う。明らかに無理して。
この胸のゾワゾワとした感じはなんだ?嫌な予感、とでもいうのか。
そういえばリナリアは、セラートに初めて会ったとき嫌な感じがしたと言って疑っていたな。
だが、その後会った時には気のせいだったかもしれないと言っていたが今はどうなのか。
……なんだ?女がやけに見てくる。
「あぁ、彼女に会うのは初めてかい? 彼女は……補佐のカミラだよ。ちょっと前まで体調を崩していてね。最近復帰したんだよ」
そうか。カイトの代わりか。
顎下まで伸ばした黄色の髪を揺らしながら、ペコリと頭を下げる。俺も軽く頭を下げた最中、カイトの言葉が蘇る。
『もう一人の補佐の子だよ』
なら、彼女が……。
顔を上げて見えたカミラの瞳は、物悲しげに俺を見ていた。
「貴方は、もしかして」
カミラが慌てて大きく首を振る。
やめてくれということか?
そうだな、今はこの場では聞かないでおいたほうがいいか。
「どうした? 君たちは知り合いかい?」
「いえ」
「それよりお前はもう休め」
「そうもいかない。昨日から傷害事件が頻繁に起きている。暴動ではなく単独ではあるが、気になるんだ」
「気になるって、それはお前の管轄外だろ? お前がここにいたところで、できることはない」
確かにそうだ。
だがセラートは、思い詰めた表情をするだけで頷くことはない。
「何か嫌な感じがする」
「嫌な感じだと?」
「確かにね、できることはないと思うよ。だからってね、家でゆっくり寝てることもできないんだ。失敗したくない。二度と悔いいる真似はしたくはない。失うのはもうたくさんなんだ」
「それは」
ヘイダムは言葉を濁す。
俺もかける言葉が見当たらない。
セラートは最近同郷の仲間も、部下であったカイトも失ってしまった。
二人の死は自分のせいだと、そう思っているのか?
同郷の仲間は知らないが、カイトは俺のせいなんだ。
俺がカイトを死なせてしまったのに。
セラートは償いから人を助けようとし、俺は愛する人を助けたいがために世界を危機に陥れた。
最低だ。
酷く利己的で、自分でも吐き気がするくらいに嫌悪するが、それでも……譲れない。
俺ももう失いたくない。
「ヴァン? 大丈夫かい?」
やめよう。
前に進めなくなる。
今はカルディアを見つけ倒すことだけを。
「すみません。これで失礼します」
「うん? お疲れ様」
「あまり……無理しないでください」
「あぁ、ありがとう」
弱々しく、小さく手を振る。
今のセラートの姿を見て、カルディアとはとても思えない。それとも演技なのか。
そう考えたところで、埒が明かないのはもう分かりきっている。
ヘイダムはまだ話がありそうだから、先に行かせてもらおう。
次はキルに会いに行かないと。
部屋を出て、廊下を歩く足取りは重い。
キルになんて答えたらいいか。
あれほど時間があったにも関わらず、まだ答えが出せていない。
リナリアのことはなるべく話さない方がいいと分かっているが、昔三人で結んだ忘れていた約束。
カイトがいなくなってしまった今、それを果たさなくてはいけないんじゃないかと、謎の使命感が胸に訴えかけてくる。
「ヴァンさんっ!」
誰だ?カミラ?
どうしたんだ、そんなに慌てて。
何かあったのか?
「どうしました」
「あの、さっきはすみません。私は……その、カイトさんからよく貴方の話を聞いていました」
その言葉だけで分かった。
やはり、彼女がカイトの恋人だ。
目の前で泣いてしまいそうなカミラを見ていると、あの時の自分を見ているようで悲痛な思いになる。
「呼び止めたのは、お願いがありまして」
「お願い?」
初対面だがカイトが愛した人の願いであれば、できることなら叶えてあげたい。
「なんですか」
「……実はカイトさんとのこと、まだ誰にも言ってないんです。カイトさんが誰よりも先に、貴方と国王様に伝えたいと言って」
俺なんて忘れていたのに。
カイトはそこまで約束を大切にしていたのか。
「このまま誰にも言わないでもらえますか? 今知っても、みんながまた悲しむだけなので」
そういえばカイトにも言われたのに、リナリアに話してしまった。自分の軽率さには落胆する。
本来なら謝罪しなければならないが、今はそれすら下手を打ってしまうのではないかと恐ろしい。
リナリアも誰かに話すことはないだろうし、申し訳ないが今は打ち明けられない。
「分かりました」
「よろしくお願いします。特にセラート様には知られたくないんです」
セラートを気遣って優しい人だ。カイトが選んだのも納得できる。
しかしその優しさが故、この秘密は彼女の胸の中に留め続けることになる。
それは辛くないだろうか。
急にカミラが思い詰めた表情を見せる。
やはり辛いのか?
「大丈夫ですか?」
「すみません。カイトさんのことを思い出して……あの夜が最後だったならせめて、笑った顔を見たかったなって」
「あの夜?」
「私、アナスタシアへ行く前の夜に、カイトさんと会ったんです」
つまり俺と別れたあと?
カイトは彼女に会いに行ったのか。
「そうでしたか」
「カイトさん、ヴァンさんと会ったあと国王様に会いに行ったそうです」
「キルに? カイトは何も言っていってませんでしたが」
「アナスタシアへ行く前に、約束を果たしたかったみたいです。けど、カイトさん……約束を覚えていたのは自分だけだったって、すごく落ち込んでいたというか、思い詰めていて。そんな顔で私に会いにきたんです」
意外だ。
キルも忘れていたのか?
俺とは違い、そういうことは覚えていそうなのに。
昔の話だからと言われればそうなのだが……カイトの思いを思うとなんて言ったらいいのか分からない。
「すみません。こんな話すべきではありませんでした。決して責めているつもりはないんです。ただ」
「いえ、気にしないで下さい。話してくれてありがどうございました」
ふっ、とカミラの表情が和らぐ。
そして、多分今できる精一杯の笑顔をつくる。
「カイトさんは、貴方のことも王のことも大好きでした。どうかあの人の分まで幸せになって下さいね。それを伝えたかったんです」
胸が揺らぐ。
悲しみに沈む時に、赤の他人に何を言われてもなんの救いにはならないのかもしれない。
どの口がと思うが、それでも……。
「貴方もどうかそうあって欲しいと……カイトは望んでいると思います」
顔は見れなかった。
やはり後ろめたいから。
お辞儀をし、背を向けたことが分かったところで顔を上げる。
伸びた背筋は、オレンジ色に染まっていた。
カイトが愛した貴方は、どうか人であって欲しい。
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