白雷のルシウス ~知識チートで最強への道を歩んでいたら、敵もチートだった~

がおがお

文字の大きさ
26 / 59
新人対抗戦編

オルデンブルク帝国vsアウグスト連邦

しおりを挟む
「皆様、先ほどは少々問題が発生しました。ですが既に問題は解決しており、協議の結果、対抗戦はこのまま続行することとなりました」

 別に中止なら中止でもよかったんだが、せっかくみんなもやる気になってるしな。まぁ良かったんだろう。会場も続行するという言葉に安堵するかのように沸いている。

「それでは第二回戦、オルデンブルク帝国対アウグスト連邦をはじめる」

 ついに帝国か。一体どんな手を仕込んでいるのやら。……ってあれ? 何だろう。帝国の奴ら……随分懐かしい顔だちをしてるな……帝国ってそんな感じだったっけ? 前に母さんを助けにいったときはそこまで見てる余裕なかったんだよな。
 ただ、多分だけど違う気がする。このタイミングで帝国が選んだ奴らだ。まさか……?

「二階堂ー!やっちまえー!」

 はい確定。前世の俺と同郷だろこいつら。二階堂ってこの世界でそんな和風の名前聞いたことないわ。しかも黒髪黒目。
 もしかして勇者召喚とかいうやつか? 転生者と召喚された転移者が同時にいるとかアリなのか。いや、まぁこれが現実なわけだからアリなんだろうけど。
 ってそうじゃない! あいつらどう見ても高校生くらいじゃないか? いくらなんでも十歳には見えないだろ……もしかして、入学した新入生なら年は関係ない……?
 そうとしか思えない。とんだ抜け道だな……

 それより問題は勇者召喚の推測が合っていた場合だ。その場合、あいつらがかなりのチート野郎の可能性が高い。

「それでは先鋒、前へ」

 腰まである艶のある黒髪のこの女が二階堂か。胸部の戦闘力は……Cといったところか。さて、見せてもらおうか。

鑑定アプレーザル

二階堂 麻里
職業=魔導師
魔力=225900

 魔導師は俺以外では初めて見る。そして肝心の魔力 は22万強か……魔力が単純に戦闘力に繋がるわけじゃないが、今の白雷隊アルベドで二階堂より高い魔力は俺だけだ。
 全員がこのレベルだとすると……なかなか厳しい戦いになるかもしれないな。

「それでは先鋒戦----はじめ!」

 アウグスト連邦の先鋒は、さっきの俺たちの試合を参考にしたのか、身体強化を使うようだな。

身体強化エンハンス

 二階堂はそれに対して何も示さない。そして相手が動き出したのを見てようやく動いた。

深淵の鴉アビス=レイヴン

 深淵なんて不吉な単語を魔法名にしやがって。深淵アビスのこと知ってんのか?

 二階堂の前方の空間が揺らぎ、ひび割れていく。その隙間から漆黒の嘴がいくつも突き出ている。嘴からは涎が滴り落ちており、空腹なのだろうということを嫌でも感じてしまう。
 そして徐々にひび割れが広がっていき、何体もの鴉が溢れ出てきた。深紅の血のような瞳をした鴉へ命令を下す。

「行きなさい」

「ひぃ……!」

 相手は既に戦意喪失しているようだ。無理もない。あの魔法は恐怖を体現しているかのようだ。恐らく闇の精霊なのだろうが、あの禍々しい姿に魔力を正面から浴びて正気を保つのは、難しいだろう。それがいかに才能のある子供だったもしても、だ。

 これが勇者の仲間? 魔王の腹心とでも言われたほうが納得するぞ。

「降参してもいいわよ」

 飛び立たせた漆黒の鴉を直前で止めて、相手に降参を勧めているようだ。多分、もうダメだろうな。

「……する」

「何? 聞こえないわ」

「こ、降参! 降参する!」

 あの世界の人間ということを考えると……治るとはいえ人を傷つけるのに抵抗があるというところか?

 あり得なくはない。あの国で生まれて育ったなら、そういうことに忌避感を持っていて当然だ。

「そこまで! 先鋒戦勝者----二階堂 麻里!」

 なるほど。確かにこれはなかなかのチートだな。いつ呼び出されたのか知らないが、俺が行った後だとすると大して時間もなかったはず。
 短期間でここまで強くなるのだとしたら、将来的な驚異としてはかなりのものだろう。
 何より王国と敵対している帝国だというのがまずい。まさか日本人と殺し合うことになるかもしれないなんて想像もしていなかったぞ……

「ルウ君……あの人強い……」

「あぁ。相当やるな。だけど大丈夫だ。みんなあんなに頑張ったんだ。勝てるさ。」

 嘘ではない。相手がつい最近まで戦うことと無縁だったこと、大きな力の差がないこと。これらから今なら俺以外の隊員でも勝てるとは思っている。
 ただ、これからみんなにはもっと強くなっていってもらわないといけないな。

「それでは次鋒、前へ」

「三枝、頑張れよ!」

 さて、次は……

鑑定アプレーザル

三枝 美鈴
職業=大神官
魔力=214400

 二階堂よりは低いがそれでも21万越え、やはり召喚されたやつらは全員強い、か。

「次鋒戦----はじめ!」

聖者のセイクリッド=外套エンハンス

 属性付きの身体強化まで使えるのか。これはホントに厳しいな……っていうかあの大神官の子は攻撃手段なんなんだ? え? そのまま敵に突進していくの?

「えいっ!」

 結構な速度で駆けだした三枝から、相手は逃げようとしたが、全く間に合っていなかった。身体強化も無しじゃ当然だ。
 そして無造作に振り下ろされた三枝の杖に殴打されて、そのまま場外へと退場した。

 えー……肉弾戦タイプかよ。なんか他にもあっただろ……なんで杖で殴るんだよ。そりゃそれだけでも強いだろうけどさ、なんかこう……あるだろ。
 まぁ俺が言っても仕方ない。分かりやすいし、対応しやすいと考えれば悪くはないか。

 それにしても珍しいと言われる聖魔法の使い手が、アリスに続いて二人目か。俺は別にしてもやっぱり勇者一行ってことか。

「次鋒戦勝者----三枝 美鈴!」

 これは一回戦と同じで六連勝だろう。あのレベルの相手に俺たち以外が対抗できるとは思えない。

「あいつらつえーな」

「そう? ボクは負けないよ!」

「俺だって負けねーよ!」

 うちの元気が取り柄の二人は萎えていないようだ。変わらずいつも通り。きっとこの対抗戦でも勝ってくれることだろう。
 帝国の手はなかなかだったが、俺たちを甘く見たな。優勝は譲らないぞ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...