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ギフトカード
しおりを挟む外はまだずいぶんと暗く,夜明けまではまだまだかかりそうだ。
明かりもなく明瞭には見えない郵便受けも汚れてみすぼらしいのがはっきりと分かる。そこに投げるようにして封筒を投げ入れると,辺りに人がいないことを確認して引き返した。
ポケットに手を突っ込んで中に入っているの物を取り出す。コンビニで盗んだギフトカードだ。ざっと計算してみても10万円はくだらない。こんなペラペラなカードにそれだけの価値があるとは。しかも,種類によってそのカードの価値は違って値段はピンキリだ。見た目は変わらないのに。まるで人間みたいだ。外見だけではどれくらいの値打ちがあるのか分からないが,一枚一枚には明確な線引きと価値の違いがある。自分たちのように見ただけで出来損ないの価値が見いだされない人間はギフトカードで言う粗悪品だろうか。価値も効果もない。
盗んだギフトカードは,実際にはバーコードを通さないと使い物にはならないのだがそんなことはコンビニでアルバイトをしている友人にお願いすればそんなことはどうにでもなる。
何でも買えるね,と言っていた達也に想いを馳せながら,月にギフトカードをかざして眺めていた。
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