天使の部屋の極悪兄弟

文戸玲

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謝罪

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 どんな会話をしたのか,どうやって身元を伝えたのか全く覚えていないが,裏口でしばらく話をした後に母親が来た。
 
 母親はひたすら頭を下げていた。
 弁償します,と言っていた。
 私の責任です,と言っていた。
 力を込めていた目から,ぽろぽろと涙が流れるのを見た。

 自分が言ったことやその時の振る舞いは全く覚えていないのに,母親が何を言って,どんな態度だったかは昨日のように思い出せるから不思議だ。きっとこの時,自分の中でも何かが切れていた。
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