伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る

新高

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小話

もしもの話・1

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 この季節にしては珍しく長雨が続き、やっと晴天となった本日午後。せっかくだからと午後のティータイムを庭先で楽しんでいれば、やたらとご機嫌なメイドの少女が女主人に問いかける。

「雨が降ってグレン様が増えるとするじゃないですか。そうしたらフェリシア様はどうなさいます?」

 あ、これ今から面倒くさい展開になるなあと、様子を見ていたカーティスはそう思った。




 ポリーからの突然の暴投である。フェリシアは「え!?」と驚いたまま言葉に窮す。まあそれはそうだろうなとカーティスは頷く。まずもって前提が分からない。なんだその、雨が降って増えるって。
 ポリーは屋敷で一番若い。少しばかりこう、夢見がちと言うかなんと言うか。大人達には想像もつかない話題を振ってくる。大抵は適当に話を合わせるか、華麗に流して別の話題を振ってうやむやにする。カーティスは後者だ。その時一緒に飴玉を渡してやればポリーはご機嫌に受け取るので、特に話を露骨に逸らしたところで問題は起きていない。

 フェリシアはどうするのだろうか。これまでの彼女は良く言えば大人しい、悪く言えば暗いタイプであったので、ポリーもあまりこういった話をしてこなかった。少なくとも、カーティスがいる場では。
 ところが本来のフェリシアは元気溌剌で、割とポリーと似ている。先日の騒動以降、フェリシアは屋敷の中で猫を被るのを止めた。まあ夫婦揃って鬼ごっこを繰り広げたのだから、今更猫を被る必要もないのだが。
 そんなわけで、素の状態のフェリシアがなんと答えるのか。予測は付いているけれども、それが正解なのかどうかをカーティスは確かめたい。

「え、無理! 無理よ無理!! グレン様が増えるとか無理だから!」

 言うと思ったー、とカーティスは己の予測の正しさに頷く。ポリーの暴投を打ち返すだけでなく、その答えも想像通り。そしてこれから先の展開もきっとはずれないだろう。

「グレン様が増えるのはいやなんですか?」
「いやって言うか……って言うか……無理、かなって。だって」
「だって?」

 聞こえるはずのない声にフェリシアは大きく体を揺らす。数ミリ、椅子から腰が浮いたかもしれない。それほどまでに狼狽えている。そんなフェリシアを不思議そうに見つつ、ポリーは突如姿を見せた屋敷の主に「おかえりなさいませ」と声を掛けた。



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