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【23】拍手喝采~戦場のハッピーバレンタインデー
男子高校生は、みんなロミオをやってみたい
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ホーム部での仕事を午前中に済ませ、予定より早めに幾久達は地球部の部室に行くことが出来た。
「みんな、もう来てたんだ」
地球部の一年生と、二年の来島がすでに部室に来ていた。
来島が言った。
「二年は全面参加オッケーってさ」
「ほかの先輩たちは?」
幾久が尋ねた。
「俺ら二年がいると、アイディアとか出しづれーだろって事で、俺だけ代表。決定権は貰ってるから心配すんな」
「でもいいんですか?それだと俺等、一年だけで勝手に決めちゃうことになりますけど」
山田が心配して尋ねるが、来島は楽しそうに首を横に振った。
「むしろそうでねーと駄目なんだよ。俺らが一年の時も、先輩らがそう言って一年に殆ど好きにさせてくれたんだ」
へえ、と一年生が驚いた。
「そういう伝統だって思ってくれていいよ」
「ハル先輩も、同じ事言ってました」
幾久が言うと、来島も「だろ?」と笑う。
しかし、そこまで言われてもやはりまだいいのだろうか、と言う気はする。
普が言った。
「でも、二年の先輩の方が付き合い長いのに」
「だからだよ」
来島が言った。
「俺等は三年とは、二年も付き合ったから、今更お別れでどうのって気もそこまでじゃねえんだ。親しい連中は、普通に付き合いあるしな。それより一年が三年になにかしたいって気持ちのほうが重要だろっていうのが地球部での考え方。実質は三か月程度しか関わってねえわけだし」
来島の言う事は確かにそうだなと思えた。
「三年からしたら、二回も桜柳祭した俺等より、たった一回、しかも三か月程度しか付き合いがない奴に、なんかお祝いされる方が感激でかいじゃん」
一年生は首をかしげるも、二年がそういうのなら、そういうものなのだろう、と頷く。
「だからお前らの好きにしろ。俺等はフォローはしても邪魔はしねえよ。そのほうが面白そうだしな」
来島は言うも、幾久はぴんときて来島に言った。
「でも正直、先輩ら面倒なだけっすよね」
ずばっという幾久に、来島は笑った。
「その通り!」
やっぱり、と呆れる幾久だったが、爆笑する来島に一年生はちょっとほっとして顔を見合わせた。
来島はふっと笑って、一年生たちに言った。
「あとは、二年も付き合うと正直ちょっと照れ臭い。あ、これ誰のアイディアだ、とか判るし。そういうのバレるとなんか恥ずかしいんだよな」
そういう意味では、確かに一年生の方が知られていない分、思いがけないアイディアは出そうだ。
例えばさ、と来島が言う。
「いっくんなんか、雪ちゃん先輩だーい好きだろ?じゃあ、それ全面に出したほうが面白いんじゃね?雪ちゃん先輩大好きってのは判っても、何をするかは全く判らないわけだし」
確かに、と幾久も頷く。
雪充にネックウォーマーをプレゼントした時、雪充はちょっと驚いていた。
というのも、ネックウォーマーをしたこともないし、しようと思った事がなかった、という。
それに、幾久の選んだデザインやブランドも、全く普段は関わらないものだったので、びっくりしたと言っていた。
だけど、いつもとあまり違うから普段は関りのない人が、かっこいいな、とか声をかけてきたり、どこで買ったの、と尋ねられたりもして、しかも口々に似合っていると褒められ悪い気はしなかったと言っていた。
幾久からしたら、ネックウォーマーを見た時から、絶対に雪充に似合うと思ったし、便利だし、使った事がないという雪充に逆に驚いたほどだ。
「確かに、学校とかで知ってはいても、そこまでお互いに詳しい事もないっすもんねえ」
幾久が頷くと普が手を挙げた。
「はいはいはい!僕にいいアイディアがありまーす!」
張り切って挙手するので、来島が言った。
「どんなだ?」
普はカバンからごそごそとノートを取り出した。
「実は桜柳祭でロミジュリやった時から、ちょっと考えて一人で妄想して遊んでたんだ」
へえ、と皆がノートを覗き込む。
するとそこにはキャラクターやセリフ、衣装などが書いてある。
「どうしたの、これ」
幾久が尋ねると、普は照れて笑った。
「僕、こういうの妄想するの結構好きでさ。別に誰に見せるわけでもないんだけど、ノートに落書きして遊んだりするの。気分転換になるし」
見てみると、なかなか丁寧に書き込んであるし、ちょっとしたデザインのアイディアもある。
「なんかすごい」
幾久が感心すると、普はへへ、と笑った。
「パロディっていうか二次創作、僕けっこう好きでさ。ロミジュリ、楽しかったから、ギャグ編なんかも考えたりして。で、こういうシナリオはどうかな?」
そうして一同、普のアイディアとシナリオの説明を聞いて、全員が「面白そうだ!」と頷いた。
「え、それホント面白そう。普、すごいな」
「ロミジュリならみんな知ってるし、しかも桜柳祭で見てるから判らない事もないし」
うん、と全員が頷いた。
「面白い。じゃあ、それを煮詰めて、ちゃんとした形にしようぜ!」
山田の言葉に一同頷く。
「じゃあ、シナリオは普に任せていいのかな」
御堀が言うと、普は胸をどんと叩く。
「任せてよ!と言いたいところだけど、それよりみんな、この際やりたいこととかさ、言いたいことあったら全部ぶちまけようよ」
話を聞いていた面々が首を傾げると普が言った。
「桜柳祭までさ、僕らいろんなことあったじゃん。いっくんと仲良くなったり、先輩に助けて貰ったり。そういう、いろんなこと全部シナリオにぶちこんでさ、ありがとう、だけじゃなく面白くしたいって思うんだ」
成程、と思っていると、瀧川が挙手した。
「私め、どうしてもロミオをやりたいのですが」
目立ちたがりの瀧川は、本当は主役がやりたかったらしい。
立候補する気も満々だったのだが、キャストを決める日に生憎部室にいなかったので、適当な役を回されてしまった。
「じゃあ俺だって、殺される方なんか嫌だったし。しかもお邪魔虫だったろ?」
そう言ったのは入江万寿だ。
幾久ジュリエットの婚約者役で、御堀ロミオに殺されてしまう役だ。
「えー……みんな結構不満あったんだ」
驚く幾久に、一同が思い切り頷く。
「っていうか、いっくんだって最初、不満タラタラだったじゃん」
普が言うと、幾久も、そうなんだよな、と思う。
「なんかついてくの必死で、いつの間にか忘れてた」
「僕は嫌だよ。ロミオは譲らないからね」
ふんとふんぞり返る御堀に、瀧川や入江がブーイングした。
「ずるい!私めも女の子にキャーキャー言われて人気者になりたいぃいいい!」
「そうだぞ!一人で女の子奪いやがって!羨ましい!俺もそうなりたい!」
「動機が不純だー」
呆れる幾久に、入江が言った。
「不純じゃない動機なんかあるわけない!みそだって、仮面ライダーになりたかったんだろ!」
それを言われると山田は弱い。
確かに入部の動機は、仮面ライダーの衣装を学校の費用で作って貰おうという理由だったからだ。
「でも、俺、今はそんなことねーし」
そう言ってそっぽを向くも、入江が突っ込んだ。
「ホーム部で作ってるからだろ!結局願い叶ってんじゃん!」
ずるいーと文句を言う入江に山田はしどろもどろだ。
幾久が間に割って入った。
「でもそれは、御空がちゃんとまっつん先輩に相談したりしたわけだし。それに万寿だって、ロミオが人気でたから羨ましい訳でさ、馬鹿にされてたら絶対にやらなかっただろ?」
幾久の言葉に入江がぐぬ、と言葉を詰まらせる。
「ロミオがあれだけ人気出たのは、誉が一生懸命やって実際かっこよかったからじゃん」
相手役である幾久にそう言われると、全員黙るしかない。
御堀は嬉しそうに幾久の手を握って言った。
「僕、愛されてるんだね」
「なに言ってんだ。当たり前だろ」
ねーと互いに笑いあうのを、普が呆れて言った。
「あーヤダヤダ、男子校でバカップルとか見たくねーわ」
「でも多分、こういうの受けるよ?」
御堀が言うも、入江が言った。
「予餞会にウィステリアの女子はいねえよ」
「あ、そっか」
幾久が頷くと、山田がため息をついた。
「とにかく、そういったのも含めて普に考えて貰ってさ」
すると、話をずっと黙って聞いていた服部が挙手した。
「あのさ、やりたい人全員がやったら、面白いんじゃない?」
ん?と皆が服部を見ると、服部は頷いて言った。
「時間は十五分程度ならさ、ラストはダンスがいいと思うんだ。舞台のカーテンコールの時みたいに」
うん、と皆が頷く。
「そしたら残りは十分とか十五分になるから、だったら、ホント、ちょっとだけ見せておしまいって感じになると思うんだよね」
うんうん、と皆が頷く。
「だったらさ、さっき普が言ったみたいに、やりたいシーンを、やりたい人がみんなやったらカオスで面白そうって思ったんだ」
服部のアイディアに、皆目を輝かせた。
「なるほど……!そうすれば、誰が何人ロミオになっても問題はないわけだし!」
「いいじゃんいいじゃん!それ絶対面白いわ!」
うんうんと皆も感心したが、幾久は、はっと気づいて言った。
「じゃあさじゃあさ、誰かジュリエットやりたい人!」
そう怒鳴るも、全員がしーんとして返事をしない。
「なんでだよ!ジュリエットだって主役じゃん!」
「いやー……やっぱロミオがいいかなって」
「ロミオがいいよ」
「俺もロミオがいい」
「なんだよ!誰かやればいいじゃん!」
幾久が言うも、普が首を横に振った。
「やっぱさ、ジュリエットって言ったらもういっくんじゃん?そこは決まってるじゃん?」
うんうん、と皆が頷く。
「というわけで、いっくんがジュリエット役に賛成な人は挙手!」
そう普がいうと、幾久以外の全員の手が上がった。
「ひっでえ!」
幾久が抗議するも、御堀が幾久の肩に手を置いて首を横に振った。
「僕のジュリエットは幾だけだよ」
「どっちにしろオレだけ貧乏くじじゃん!」
もう、と文句を言う幾久だが、まあまあ、と全員が宥める。
「たった十五分程度だし、今回はそこまで本気でセリフがどうとかもないし」
「当たり前だよ、オレ今更言われてもセリフなんか覚えてないよ」
「僕はいけるけど」
「誉とは頭の出来が違うんですぅー!」
「みんな、もう来てたんだ」
地球部の一年生と、二年の来島がすでに部室に来ていた。
来島が言った。
「二年は全面参加オッケーってさ」
「ほかの先輩たちは?」
幾久が尋ねた。
「俺ら二年がいると、アイディアとか出しづれーだろって事で、俺だけ代表。決定権は貰ってるから心配すんな」
「でもいいんですか?それだと俺等、一年だけで勝手に決めちゃうことになりますけど」
山田が心配して尋ねるが、来島は楽しそうに首を横に振った。
「むしろそうでねーと駄目なんだよ。俺らが一年の時も、先輩らがそう言って一年に殆ど好きにさせてくれたんだ」
へえ、と一年生が驚いた。
「そういう伝統だって思ってくれていいよ」
「ハル先輩も、同じ事言ってました」
幾久が言うと、来島も「だろ?」と笑う。
しかし、そこまで言われてもやはりまだいいのだろうか、と言う気はする。
普が言った。
「でも、二年の先輩の方が付き合い長いのに」
「だからだよ」
来島が言った。
「俺等は三年とは、二年も付き合ったから、今更お別れでどうのって気もそこまでじゃねえんだ。親しい連中は、普通に付き合いあるしな。それより一年が三年になにかしたいって気持ちのほうが重要だろっていうのが地球部での考え方。実質は三か月程度しか関わってねえわけだし」
来島の言う事は確かにそうだなと思えた。
「三年からしたら、二回も桜柳祭した俺等より、たった一回、しかも三か月程度しか付き合いがない奴に、なんかお祝いされる方が感激でかいじゃん」
一年生は首をかしげるも、二年がそういうのなら、そういうものなのだろう、と頷く。
「だからお前らの好きにしろ。俺等はフォローはしても邪魔はしねえよ。そのほうが面白そうだしな」
来島は言うも、幾久はぴんときて来島に言った。
「でも正直、先輩ら面倒なだけっすよね」
ずばっという幾久に、来島は笑った。
「その通り!」
やっぱり、と呆れる幾久だったが、爆笑する来島に一年生はちょっとほっとして顔を見合わせた。
来島はふっと笑って、一年生たちに言った。
「あとは、二年も付き合うと正直ちょっと照れ臭い。あ、これ誰のアイディアだ、とか判るし。そういうのバレるとなんか恥ずかしいんだよな」
そういう意味では、確かに一年生の方が知られていない分、思いがけないアイディアは出そうだ。
例えばさ、と来島が言う。
「いっくんなんか、雪ちゃん先輩だーい好きだろ?じゃあ、それ全面に出したほうが面白いんじゃね?雪ちゃん先輩大好きってのは判っても、何をするかは全く判らないわけだし」
確かに、と幾久も頷く。
雪充にネックウォーマーをプレゼントした時、雪充はちょっと驚いていた。
というのも、ネックウォーマーをしたこともないし、しようと思った事がなかった、という。
それに、幾久の選んだデザインやブランドも、全く普段は関わらないものだったので、びっくりしたと言っていた。
だけど、いつもとあまり違うから普段は関りのない人が、かっこいいな、とか声をかけてきたり、どこで買ったの、と尋ねられたりもして、しかも口々に似合っていると褒められ悪い気はしなかったと言っていた。
幾久からしたら、ネックウォーマーを見た時から、絶対に雪充に似合うと思ったし、便利だし、使った事がないという雪充に逆に驚いたほどだ。
「確かに、学校とかで知ってはいても、そこまでお互いに詳しい事もないっすもんねえ」
幾久が頷くと普が手を挙げた。
「はいはいはい!僕にいいアイディアがありまーす!」
張り切って挙手するので、来島が言った。
「どんなだ?」
普はカバンからごそごそとノートを取り出した。
「実は桜柳祭でロミジュリやった時から、ちょっと考えて一人で妄想して遊んでたんだ」
へえ、と皆がノートを覗き込む。
するとそこにはキャラクターやセリフ、衣装などが書いてある。
「どうしたの、これ」
幾久が尋ねると、普は照れて笑った。
「僕、こういうの妄想するの結構好きでさ。別に誰に見せるわけでもないんだけど、ノートに落書きして遊んだりするの。気分転換になるし」
見てみると、なかなか丁寧に書き込んであるし、ちょっとしたデザインのアイディアもある。
「なんかすごい」
幾久が感心すると、普はへへ、と笑った。
「パロディっていうか二次創作、僕けっこう好きでさ。ロミジュリ、楽しかったから、ギャグ編なんかも考えたりして。で、こういうシナリオはどうかな?」
そうして一同、普のアイディアとシナリオの説明を聞いて、全員が「面白そうだ!」と頷いた。
「え、それホント面白そう。普、すごいな」
「ロミジュリならみんな知ってるし、しかも桜柳祭で見てるから判らない事もないし」
うん、と全員が頷いた。
「面白い。じゃあ、それを煮詰めて、ちゃんとした形にしようぜ!」
山田の言葉に一同頷く。
「じゃあ、シナリオは普に任せていいのかな」
御堀が言うと、普は胸をどんと叩く。
「任せてよ!と言いたいところだけど、それよりみんな、この際やりたいこととかさ、言いたいことあったら全部ぶちまけようよ」
話を聞いていた面々が首を傾げると普が言った。
「桜柳祭までさ、僕らいろんなことあったじゃん。いっくんと仲良くなったり、先輩に助けて貰ったり。そういう、いろんなこと全部シナリオにぶちこんでさ、ありがとう、だけじゃなく面白くしたいって思うんだ」
成程、と思っていると、瀧川が挙手した。
「私め、どうしてもロミオをやりたいのですが」
目立ちたがりの瀧川は、本当は主役がやりたかったらしい。
立候補する気も満々だったのだが、キャストを決める日に生憎部室にいなかったので、適当な役を回されてしまった。
「じゃあ俺だって、殺される方なんか嫌だったし。しかもお邪魔虫だったろ?」
そう言ったのは入江万寿だ。
幾久ジュリエットの婚約者役で、御堀ロミオに殺されてしまう役だ。
「えー……みんな結構不満あったんだ」
驚く幾久に、一同が思い切り頷く。
「っていうか、いっくんだって最初、不満タラタラだったじゃん」
普が言うと、幾久も、そうなんだよな、と思う。
「なんかついてくの必死で、いつの間にか忘れてた」
「僕は嫌だよ。ロミオは譲らないからね」
ふんとふんぞり返る御堀に、瀧川や入江がブーイングした。
「ずるい!私めも女の子にキャーキャー言われて人気者になりたいぃいいい!」
「そうだぞ!一人で女の子奪いやがって!羨ましい!俺もそうなりたい!」
「動機が不純だー」
呆れる幾久に、入江が言った。
「不純じゃない動機なんかあるわけない!みそだって、仮面ライダーになりたかったんだろ!」
それを言われると山田は弱い。
確かに入部の動機は、仮面ライダーの衣装を学校の費用で作って貰おうという理由だったからだ。
「でも、俺、今はそんなことねーし」
そう言ってそっぽを向くも、入江が突っ込んだ。
「ホーム部で作ってるからだろ!結局願い叶ってんじゃん!」
ずるいーと文句を言う入江に山田はしどろもどろだ。
幾久が間に割って入った。
「でもそれは、御空がちゃんとまっつん先輩に相談したりしたわけだし。それに万寿だって、ロミオが人気でたから羨ましい訳でさ、馬鹿にされてたら絶対にやらなかっただろ?」
幾久の言葉に入江がぐぬ、と言葉を詰まらせる。
「ロミオがあれだけ人気出たのは、誉が一生懸命やって実際かっこよかったからじゃん」
相手役である幾久にそう言われると、全員黙るしかない。
御堀は嬉しそうに幾久の手を握って言った。
「僕、愛されてるんだね」
「なに言ってんだ。当たり前だろ」
ねーと互いに笑いあうのを、普が呆れて言った。
「あーヤダヤダ、男子校でバカップルとか見たくねーわ」
「でも多分、こういうの受けるよ?」
御堀が言うも、入江が言った。
「予餞会にウィステリアの女子はいねえよ」
「あ、そっか」
幾久が頷くと、山田がため息をついた。
「とにかく、そういったのも含めて普に考えて貰ってさ」
すると、話をずっと黙って聞いていた服部が挙手した。
「あのさ、やりたい人全員がやったら、面白いんじゃない?」
ん?と皆が服部を見ると、服部は頷いて言った。
「時間は十五分程度ならさ、ラストはダンスがいいと思うんだ。舞台のカーテンコールの時みたいに」
うん、と皆が頷く。
「そしたら残りは十分とか十五分になるから、だったら、ホント、ちょっとだけ見せておしまいって感じになると思うんだよね」
うんうん、と皆が頷く。
「だったらさ、さっき普が言ったみたいに、やりたいシーンを、やりたい人がみんなやったらカオスで面白そうって思ったんだ」
服部のアイディアに、皆目を輝かせた。
「なるほど……!そうすれば、誰が何人ロミオになっても問題はないわけだし!」
「いいじゃんいいじゃん!それ絶対面白いわ!」
うんうんと皆も感心したが、幾久は、はっと気づいて言った。
「じゃあさじゃあさ、誰かジュリエットやりたい人!」
そう怒鳴るも、全員がしーんとして返事をしない。
「なんでだよ!ジュリエットだって主役じゃん!」
「いやー……やっぱロミオがいいかなって」
「ロミオがいいよ」
「俺もロミオがいい」
「なんだよ!誰かやればいいじゃん!」
幾久が言うも、普が首を横に振った。
「やっぱさ、ジュリエットって言ったらもういっくんじゃん?そこは決まってるじゃん?」
うんうん、と皆が頷く。
「というわけで、いっくんがジュリエット役に賛成な人は挙手!」
そう普がいうと、幾久以外の全員の手が上がった。
「ひっでえ!」
幾久が抗議するも、御堀が幾久の肩に手を置いて首を横に振った。
「僕のジュリエットは幾だけだよ」
「どっちにしろオレだけ貧乏くじじゃん!」
もう、と文句を言う幾久だが、まあまあ、と全員が宥める。
「たった十五分程度だし、今回はそこまで本気でセリフがどうとかもないし」
「当たり前だよ、オレ今更言われてもセリフなんか覚えてないよ」
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